第113話 カイン&キュリアVSゲリズ(その1)
(カイン視点)
「斬撃、螺旋!!!」
ドガアアアアッ!!!
「うおおおッ!!」
俺は斬撃をゲリズに放つ。と言ってもこんなモン挨拶代わりのようなモンだ。デカイだけで知恵の無い海蛇ならともかく、リメイカー幹部を仕留められるとは思えない。
ゲリズは螺旋を描く斬撃に少し手間取り、腕に少し傷を負ったが全然平気そう。ま、こんなモンだろ。予想の範囲内だ。
「へェ……………ちっとはやるジャン。やっぱり一年もありゃあ変わるかァ~~~~?」
と言いつつ走り寄ってくるゲリズ。俺は一旦剣を鞘に入れ、ハイキックを魔力を込めた左手で軽く受け止め腹にコークスクリュー(腕を捻りながら打つブロー。東洋のセイケンと同じ打ち方らしい)を打ち込んだ。これも魔力を込めている為、ゲリズを軽く吹っ飛ばし後ろの大木に叩きつけられた。そういや、コイツ大木に叩きつけられるの3回目だな。
「ぐふっ……………チクショォ……………調子に乗っちゃァいけねェようだなァ……………。」
ゲリズが両手をこちらにかざす。
「くらェェッ!魔力散弾、連射ァ!!」
大量の魔力弾がばら蒔かれる。ま、こんな大量の魔力捌ききれないよな。キュリアちゃんは……………ちゃんと木の影に隠れてるな。よし。俺は再び剣を手に取った。
「斬撃、螺旋、曲射!!」
斬撃をやや外側に放ち、そこから内側に曲げてできるだけ多くの弾をはじく。そして斬撃を追いかけるようにしてゲリズに接近する。魔力弾がガンガン命中するが、一発一発は弱い為、構わず走り続ける。斬撃はゲリズの少し前で相殺されて消えてしまったが、これも予想通り。
「散弾ォ!!!」
ゲリズに近くまで来た俺に撃とうとする。しかし!!近距離の魔力散弾の対処方法は既に知ってんだよ!!!
俺はゲリズの腕を掴んで外側に向けて弾を反らさせた。クーヤさんがメレンの魔力散弾をこうやって対処していたのを見てたからな。
そのまま膝蹴りを腹に喰らわせて動きを止め、剣を向ける。
「テメェがくらいやがれッ!!斬撃、散弾!!」
ズドン!!
おお、斬撃をバラして撃つのは初めてだけど、案外上手くいくモンだな。至近距離で喰らったゲリズは大きくノックバックする。
「斬撃、回転刃(スピンエッジ!!)」
「くっ……………そオォォォ!!!舐めんなよォ!!!」
辛うじて避けるゲリズ。が、甘いな。
ズパアッ!!
「ぐああああッ!!!」
「避けるってのはわかってんだよ、マヌケ。」
斬撃はブーメランのように戻ってくるようにしておいたのさ。
よし。さっきから斬撃を撃ってるおかげで魔力も消耗してきた(斬撃を曲げたりブーメランの様に戻ってこさせるには結構魔力を使う)。そろそろ終わりにするか。修行の時、もっと魔力面を鍛えてればよかったかなあ……………。
「く……………そ。こうなったらァ…………。」
ん?今度は何をするつもりだ?
ヒュン!!
……………消えた?
………………まさか
「魔力散弾!!」
ズドン!!
「うおお!!!」
後ろからゲリズが散弾を撃ってきた。ギリギリで魔力で防御するも吹き飛ばされる。
受け身をとってゲリズの方に向き直るが……………いない。
「カインさん、後ろ!!」
キュリアちゃんが叫んだが遅かった。後ろからキックを叩き込まれる。脇腹にクリーンヒットし、鈍い痛みが襲う。
「ぐは………ッ。」
「調子に乗りすぎだよォ?」
これ…………メレンがやってたあの魔法か。どんな方法かは知らんが短距離を瞬間移動する……………。
「忌々しいけどォ……………あの女から習った事が役立つとはねェ……………。」
「あの女…………?」
「その魔法に…………女…………まさか。」
キュリアちゃんが気づいたように言った。
「おやァ?そこのォ………キュリアとかいう子は気づいたかなァ?」
ゲリズがニヤリと笑う。
「まさか…………お母さん………ローザ…………。」
「ん?君のお母さんだったのォ?ローザ・メズン。」
「あ、あなた……………」
「その通りィ~~~~。ボクは元ローザの弟子だよォ~~~~~。」
キュリアまだ戦ってないけどな。