第112話 奇襲
キュリア視点は書きづらいです。キャラクターの設定はほんわかおっとりした優しい女の子なのですが、いかんせん私の表現力の無い事で。
(キュリア視点)
お城を出てから3日後、わたし達は今の所何事もなく進んでいる。男の人達とアイナさんは常に警戒していて、寝る時も周囲に警報の魔法(一定範囲内に何かが入ると大きな音を出して知らせてくれる魔法みたい。)をかけている。
「もうそろそろ暗くなってきます。この辺りでキャンプを張りましょうか。」
フロウさんがそう言って、ここで今日歩くのはここまでとなった。フロウさんはナンパしてばっかりで第1印象は軽い人だけど、なんだかんだで思いやりがあってしっかりと纏めてくれている。
普段は歩いている途中で動物を見つけて確保してきたけど、今日は途中で見つからなかった。
「暗くなるとやっかいですね……………早いとこ探しにいきましょうか。皆さんマーキングの魔法を立てておいてください。」
フロウさんはそう言ってマーキングの魔法を立てた。わたし意外の皆さんも次々と立てていく。
一人だけ魔法の使えないわたしにジェルスさんが声をかけた。
「キュリア、お前は休んでな。はぐれたらいけないし、疲れてるだろ?」
「あ、わたしも…………。」
「大丈夫だって。慣れない長い歩きなんだから。ゆっくりしてな。もし何かあったら、とにかく逃げて。」
それだけ言った後ジェルスさんは行ってしまった。他の人達も行ってしまい、あっという間にわたし一人。
……………ジェルスさんは優しいけど、あまりに心配し過ぎだ。わたしは一人じゃなんにもできないとでも思っているのだろうか。確かに魔法は使えないけど、わたしは今までいろんな事を一人でやってきたし、修業だってした。皆の役に立つためについてきたのに、こんな守ってもらってばっかりじゃあまりにも情けない。
それに、わたしは弱くったってこの銃があるんだから、これで戦える。これ………で…………。
……………クーヤさんに向けて発砲できなかったあの時を思い出してしまった。人を撃つのが怖くて、どうしても引き金を引く事ができなかったあと時を………………。
急に自信が無くなってしまった。さっきまであんなに生意気な事考えてたのに。わたし、本当に足手まといにしかならないのかな………………。
……………寂しくなってきたな……………。早く誰か帰ってこないかなぁ………………。
わたしは気の流れを読んで誰か帰って来てないか確かめようとした。
「……………ッ!!」
ズドン!!
瞬時にその場から飛び退くとわたしがさっきまでいた場所に魔力弾が撃ち込まれた。気を読んでなかったら確実に被弾していた。わたしは体制を立て直し、弾の飛んできた方へ銃をむける。
「へーえ、やるじゃぁン…………。ボクの攻撃を見きって避けてみせるなんてさァ~~~~?」
20後半くらいの男の人がゆっくりと歩いて来た。にやにやと笑いながら近づいてくる。私は銃をつきつけたまま少しずつ後ずさりした。
「おやおやァ?ビビってんのかなァ~~~~~?ちょぉっと腕が震えてるよォ~~~~~?」
「あなた……………リメイカーですか?」
「その通りィ~~~~。ボクはリメイカー幹部のゲリズ。君はァ…………異世界の人間じゃァないねェ~~~~仲間はァ~~~?どっか行ってンのォ~~~~~?」
……………戦わないと。戦わないと。なのに、銃を向けている手が震えて、引き金を引く事が、どうしてもできない………………。
「……………攻撃してこないねェ………………。じゃ、こっちからいくよォ~~~~~~~、魔力散弾ォ!」
ダァン!!
わたしはとっさに跳んで避けようとしたけど、避けきれずにいくつかが体に命中した。
「うあああああ!!」
命中した部分から血が流れる。
「どうしたのォ~~~~~?攻撃してこないのォ~~~~~~~?」
相手からの攻撃を受けても、わたしは攻撃する事ができなかった。それどころか、さっきの一撃で完全に怯えてすっかり戦意喪失してしまった。
「いや…………いや……………。」
わたしは泣きそうになりながら逃げ出した。それをゲリズはゆっくりと追いかけてくる。
「ほらほらァ、サッサと逃げないとォ~~~~、殺されるよォ~~~~?」
時々ゲリズがこっちに向けてエネルギー弾を放ってくる。逃げ回っているから当たらないけど、その一発一発が、わたしの恐怖心を更に煽った。
「きゃっ……………。」
ドサッ!
木の根っこにつまずいて転んでしまった。思わず振り返るとゲリズがすぐそこまで迫っていた。
「終わりだねェ………………。」
「い、いや………………。」
ゲリズがわたしに向けて手をかざした。手に魔力が集まっていく。駄目だ、殺される……………。
「斬撃、回転刃!!」
「!!」
突然、回転しながら飛んでいく円盤状の斬撃がゲリズに向かって飛んでいった。完全に油断していたゲリズは反応が遅れ、脇腹に深い傷ができた。
「グッ……………!!テメェ…………いい所を邪魔しやがってェ…………!!」
「おう、久しぶりじゃねぇか?ゲリズ!!」
「カインさん!!」
「キュリアちゃん、下がってろ!!」
カインさんがゲリズと対峙する。
「ヘェ………………、去年と同じ目に会いたいのかなァ…………?」
「ハッ、俺をあの時と同じと思うなよ?」
「いーい度胸だねェ…………いいよォ
、ちょいと予定が違うけどォ………………殺してやらァァアアアアッッ!!!」
カインがわたしをチラッと見てゲリズに言った。
「お前、随分と調子に乗りやがって、キッチリと落とし前つけてもらうからな……………?覚悟しろよ!!斬撃、螺旋!!!」
ドガァァァッ!!!