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ABDUCTION!! ~IN THE ANOTHER WORLD~(凍結)  作者: 迦楼羅カイ
第2部 リメイカー副将と東の大陸
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第109話 違い

最近バタバタしておりペースが目に見えて遅くなっています。申し訳ありません。

(キュリア視点)


「それではキュリア様。お部屋へと案内致します。お部屋についてのご所望などはおありでしょうか?」


王様との面会が終わった後、メイドさんの一人が歩みより、こう言った。


「あ、いえ……………。」


「はい。では、ご案内致します。」


メイドさんに着いていくと三階の部屋の一つに案内された。


「では、ごゆっくりとお休みくださいませ。何かありましたら、お手数ですが、二階にメイドの控え室がございますので、そちらまでお越しくださいませ。」


「あ、はい。ありがとうございます。」


メイドさんは一礼して立ち去った。立ち去った後、わたしは部屋の中に入り、備え付けられているベッドに横になった。綺麗な天井と大きなシャンデリアが目に止まる。


なーんか、違和感あるな、こういうの……………。


様を付けて呼ばれるのも、こんな特別扱いされるのも、こんな豪華な部屋で休むのも初めての体験。


わたしがジェルスさん達と旅立つ前まではこんな扱いされた事もなくて、正直『様』なんて付けて呼ばれるなんてしっくりこない。わたしは普通の女の子なのだから、別に呼び捨てでもいいと思う。少なくともわたしは全く気にしない。


それに、こんな豪華な部屋。もちろん、わたしの家はこんな裕福ではない。でも、少し古いものの、心の落ち着く居心地のいい場所だった。それに比べ、ここは広いし、あらゆる物が新品同然に綺麗。わたしの家は蝋燭だったのに、ここではシャンデリア。まるで落ち着けない。


…………こんな特別待遇なのに、不満に感じてしまうわたしはわがままなのかな……………。


しばらく休んだ(どうしても落ち着けなかったけど……………)後、お風呂に入る事にした。荷物を部屋に置いてお風呂場へ向かう。場所はメイドさんが教えてくれた。


長い廊下を歩く。床には真っ赤なカーペットが敷かれ、塵一つ落ちていない。シャンデリアではないが、それでも高そうな壁掛けランプが一定の間隔で置かれており、廊下を明るく照らしていた。


わたしの家の廊下は短く、こんなカーペットなんてもちろん敷かれていない。こんな明かりだってない。


なんだろう、この感じ。今までの環境とは全く違う。まるで違う世界に来たような、それほどの違い。


歩いている途中でメレンさんとすれちがった。お風呂に入った後のようで、髪が濡れていて、顔が紅潮している。…………それにしても、胸大きいな…………。身長はわたしより低いのに、胸がボンと自己主張している。………………うらやましい。


アイナさんもとても大きかったし、この二人と一緒だと、わたしだけがペッタンコでコンプレックスを感じてしまう。


「どうしたの?」


「あ、いい、いえ!なんでも!!」


「………………?」


メレンさんはしばらくきょとんとしていたが、不意にわたしに向かって言った。


「どう?」


「どう…………って?」


「いや、こんなのあなたには初めてだと思ってさ。あんなに歩くのも、こんなに豪華な所に泊まるのも初めてでしょ?どんな感じ?やっぱ慣れない?」


「…………歩くのは別に何ともないんですけど…………こんな煌びやかな所はちょっと落ち着かないですね…………。わたし、ずっとあの家だったので…………」


「やっぱそっか……………。」


「メレンさんはどうだったんですか?」


「私?まあ、私は家が名家で結構豪華なお屋敷だったけど……………。ま、ずっと住んでたから慣れてたけどね。私、普通の女の子の方がよかった。豪華なお屋敷なんて、居心地はあまり良くなかったかな。お友達の家の、狭い個室とかの方が居心地よかったよ。」


「そう、なんですか…………。」


「ま、慣れよ。ちょっと居れば、自宅のようにくつろげるよ、きっと。さ、お風呂入るんでしょ?広くて気持ち良かったよ。」


メレンさんはそう言って自分の部屋へと歩いていった。


慣れ......……か。慣れる事できるかな…………。


浴場に入り、軽く体を洗って湯船に浸かる。シャンプーもボディソープもわたしの家にあったのとは全く違う、いい香りのする高そうな物。湯船は普通に泳げる程広い。何を入れているのか、薄い紫色に染まっている。


…………………駄目だ。どうしても今までとの違いを意識して、落ち着かなくなってしまう。違いを意識せず、受け入れるのを心がけないと、やっていけないと思った。


ふと、湯船の隅に目をやると、ネットのような物が括り付けられていた。あれはなんだろう?


近づいて見ると、お湯に浸かっているせいでしなっとしているけど、紫色の葉っぱのような物が入っていた。


何だろう、これ。落ち葉…………?いや、いくらなんでも違う。茶葉…………?もっと違う。…………実物を見たことないけど、ハーブとかいう物?これがお湯を紫色に染めているの?


………………………。


…………いや、気にしない、気にしない!意識せずに、ありのまま受け入れる!!浮いている葉っぱはそういう物、それだけの存在!!


お風呂から上がり、部屋へと戻る。なんだろ、余計疲れた気がする……………。わたしの故郷にたまに色々な物を運んでくる交易船が来てたけど(わたしの故郷の島はお金がほとんど無い為、基本物々交換で取引している)、それで見た物が全てだと思っていた。それが、こんな物があるなんて………………。


やはり見たことのない料理の盛られた食事を取る。食べた事のないものが多かったけど、とてもおいしかった。


その後は部屋でゆっくりとして、その後眠りについた。


……ジェルスさんと一緒じゃないのも、随分久しぶり……………………。

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