第105話 闇の剣
なんだ、この中二病臭溢れるサブタイは。
っていうのは別にいいんですが、近い内にタイトル変更する予定です。
こう伝えておかないといきなり変更したら厄介な事になるかもしれませんからね。
…………まずこれを読んでる人がいるのか、って感じですが。
戻ってきたぜ城下町!!
約380日振りだが、俺の記憶と何も変わっていない。露天並んでるし。俺らの町は一年あればちっとは変わるぞ。小さいよくわからん会社が潰れたり、コンビニ建ったり。
まぁ、時の流れ遅いしな…………。あっちじゃまだ30分しか経ってないし……………。
うん。俺らの成長老化が時の流れに比例して遅くなるのは本当に良かった。時間経ったら実感できる。
で、去年と変わらない城下町を歩いている……………のだが……………。
通行人の目を引いている。
そう歩いている人の半数程がこっちを見ているのだ。
理由は……………アイナさんだろう。超ナイスバディの美人が道のド真ん中歩いているのだ。目立たない訳がない。路地裏のチンピラとかがナンパしてくるかもわからない(メレンもされてたみたいだし)。
女性もいるのは多分フロウに見とれているのだろう。見た目だけなら相当だし。これ以上いくとヤバいけど。
で、注目を集めている二人の反応は反対。アイナさんは視線なんて全く気にせず歩いていく。フロウは辺りをキョロキョロ見回し、目があった女性に向けて会釈したり手を振ったり。
…………性格の違い、なのかな。多分。
フロウならふらふら歩いて行ってナンパを始めそうなものだが、今回は前述のような行為だけで大人しくしている。
あらかじめメレンと協力して作っておいた牽制装置(石ころをロープをほどいて細くした糸と繋いで体に張り付けておく。変な素振りを見せたら糸に魔力を流して折檻を行う。服の下に張り付けているし、糸は細いので見えにくい)が役に立っているようだ。装置を壊されたら…………。その時は直接ぶっ飛ばすだけだ。
でもメレンがフロウに、
「壊さないでね(上目づかいで)?」
とやたら可愛くお願いしていた為、大丈夫かもしれない。
…………閑話休題。
「城に着いたら、まず王様に面会して、リメイカーの事と俺らが修行したこと、仲間が増えた事を伝える、でいいんだよな?」
「おう。」
ジェルスと俺が歩きながら王様に伝える事を打ち合わせする。…………一年間修行だけしかしてないと言ったらどんな顔をするだろう(王様達には修行の事は伝えていなかった。)?王様達はこの一年ずっと戦ってたと思ってるハズだ。
とりあえず、城門まで辿り着いた。俺、ジェルス、メレンの三人はあっさりと入れるが、この世界の三人が入ろうとすると、兵士がそれを制した。20くらいの、いかにも生真面目そうな人。
「失礼しますが、こちらの方は……………。」
「仲間なんですが…………通してもよろしいですか?」
「仲間………ですか。それならお通ししましょう。どうぞ中へ。」
意外とあっさり。
こうして玉座へと向かおうとした…………が?
「ん?どうかした?メレン。」
ジェルスが何か異変に気づいたみたいだ。それを聞いてメレンを見ると、なんか辺りを落ち着きなく見回し、そして、階段のほうへと歩き出した。
「おい、どうした、メレン!?」
「わからない…………わからないけど………何かに呼ばれてるような気がする…………。そして、それに引っ張られるような………不思議な感じ…………。」
「何か、様子がおかしいですね……………。」
「おい、ちょっと待てって!」
しかしメレンは止まってくれない。階段を上がり、メイド達が使用する部屋が並ぶ廊下を進み、突然立ち止まった。
「ただの壁……………じゃないですか?あ、ちょっと色が違う気が…………。」
キュリアちゃんが不思議そうに言った。確かにパッと見たら違いに気づかないが、目をこらしてよく見ると、僅かに他の壁と色が違うようだ。
「まさか…………ここって…………。」
ジェルスが呟く。
「ジェルス、何か知ってるのか?」
「ああ、確か、ここには………。」
言い終わらないうちにメレンが色の違う部分の中心を押した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ………………。
色の違う壁が展開し、通路が現れた。狭い通路で、一列にならないと通れない程だ。メレンは何の躊躇いもなく奥へと進む。急いで俺達も進んだ。
通路は天井も低く、身長180前後のフロウとアイナさんは少し屈まないと頭をぶつける程だ。そうして奥に進むと、少し広い所に出た。台座のような物があり、そこに酷く錆びている剣が刺さっていた。
メレンはその剣に手を伸ばす。
「あ、メレン、その剣は………。」
ジェルスが何か言いかけたがもう遅い。メレンは剣を掴んだ。
『!!?』
全員が驚愕した。メレンが掴んだ途端、剣の錆びが一瞬で消え去り黒光りする剣が露になった。さらに黒い、煙のような何かが吹き出してきた。ヤバい物じゃないか?これ?
メレンが台座から剣を引き抜いた。つい先程まで錆びに覆われていたとは思えない程綺麗な刃だ。
「メレン…………これか?お前を読んでいたとか言う物は。」
「……………多分そうだと思う。」
「なんだ、この剣…………。」
柄から刃まで光沢のある黒で細身の片刃剣。形状はレイピアに近いが、突剣という訳ではないようだ。柄には紅い宝石のような物がはまっている。刃の長さは1mくらい。メレンが持つにしてはかなり長い。メレンが剣を重たそうに降ろした。
「何だろこの剣…………抜けたけど…………とても重い………。今の私じゃとてもじゃないけど使えない……………。」
そんなに重いか?俺が軽い気持ちで剣に触ろうとすると、
!!!
バチィッ!!
な、なんじゃこりゃ……………剣が俺を拒むかのように弾き飛ばした。衝撃で後ろに下がる。
「あのさ、俺、この剣去年見たことあるんだ。」
ジェルスがこんな事を言った。
「本当?ジェルス(メレンの台詞)。」
「ああ。その時、俺は剣を取ろうとして弾き飛ばされた。メイドから聞いた話によると、その剣は恐ろしい力を持っていて、尚且つ持ち主を選ぶ剣だって……………。だから、剣がメレンを選んだ、と思う……………。」
「でも、私去年は何も感じなかったよ?何で今になって?」
その疑問にはフロウが答えた。
「恐らくですけどそれは、その時のメレンさんは剣に認められる程の力が無かったからではありませんか?一年間修行して、力が上がって、剣が認めて、呼んだ、と……………。」
「メレンさんだけに呼び掛けたってことは、実力以外にも剣に認めてもらうには条件とかあるんでしょうか?(キュリア)」
「どうだろう?でも、カインが弾かれたからその可能性は高いな。」
「……………ま、それはどうであれ、この事も王様に伝えるべきだろ。どうするんだ?メレン、その剣は。元に戻すか?」
「いや…………なんか、この剣を戻すと、また私を呼びそうな気がする…………。でも、扱えないし、とりあえず別次元に入れておくね。」
勝手に持ち出していいんだろうか…………、でも、置いていってまたメレンを呼んでも困るし、これがいいのかもしれない。
俺達はこの事も報告するべく、玉座へとむかっていった。