1話
とある部屋の一室。
その部屋の中で異様な空気感を醸し出す二人の青年たちが佇んでいた。
その内の一人、董士は大きな身体をなるべく小さくして、目の前の人物を複雑な心境で見つめていた。
というのも、董士が数年前から懐きまくり、離れずに、いつもくっついて歩きまわっていた人物――裕已の言いつけを無視した。
その数日後、見つかって連れてこられたのが今日。
重苦しい雰囲気を漂わせる主人を前にしても、董士はつい、久しぶりに見る裕已をぼうっと見てしまう。
その膝の上に頭を乗せて、その綺麗で長い手指で髪をすいて撫でて欲しい、と場違いなことを考えていた。
焼けても赤くなるだけの、すぐ元の色に戻る自分の肌とは違う、褐色の肌。
額を露わにした柔らかそうに光る、艶を含んだ緩くウェーブするオリーブグリーンの髪、少し着崩されたシャツから覗くネックレスは、自分とお揃いのはずなのに違って見える。
「おすわり」
「…わん」
スラックスから伸びる長い脚を組んで椅子に腰掛けた裕已の前にぺたりと座る。
涼やかな目元は長いまつ毛に縁取られ、色素の薄い澄んだ瞳で見つめられると何でも言う事を聞きたくなる。
相変わらずキレイな顔…そばかすの散る自分とは大違いで思わず見惚れてしまう。
しかし、ただ今叱られている真最中だった。
「何?反抗期?」
「……ちがう」
ただ、呼び出しに応じなかった、だけ。
「じゃあ、何?」
…だって、思ってしまった。
いちいちその言動一つ一つに一喜一憂してしまう、――自分だけが。
裕已は色んな人と会って話して俺だけじゃない、沢山の付き合いがあって親しげで、俺だけではない。そう思うと何かが気持ちを覆い窮屈さを感じた。
不意にその事に気付いて、何だか酷く遣る瀬無くなった。
いやだった。独りよがりなら会いたくない、会わなくてもいいじゃないか。
一度ぐらい。
「へんじ」
「…」
もう振り回されたくない。
我儘にも聞こえる気持ちを言ったらどうなるだろうか。
やり場のない思いに戸惑い、どうしたらいいか、わからなくなった。
ずっと悶々とはしていられなかったので、裕已に比べれば決して多くない友だちに誘われるまま、遊びに外に出かけた。
身体だけは動かしていたかった。
――かくなる上は…
顔を思いっきり背けた。
「…何ソレ?」
ヤバい…間違えた、かも……
声から温度が消え、一段と低くなる。
うう…息、しづらい。
顔を見たいけど、目線を上に上げられない、ギリギリ足元までしか…見れない。
つま先を眺めていると、ため息をつかれた。それでますます伏し目がちになる。
「董士」
名前を呼ばれて、応じたくなるが意地になってしまい、もうどうしたらいいか、わからなくなった。
「脱いで」
「…え」
聞こえた言葉が幻聴であって欲しくて首をゆるく傾げて董士は聞き返した。
「なんて…?」
「早く」
しかし、有無を言わさない裕已のオーラに脳が停止しそうになる。
「もう一回言う?」
こんな躾は初めてで、董士は戸惑う。
今、謝ればゆるしてくれるだろうか…
そっと瞳を裕已へ向ける。
凍てついた瞳をしていて、董士は気づくと口を開いて許しを請いていた。
「…ごめんなさい」
たった一回、呼び出しに応じなかっただけだ…きっとゆるしてくれる。そう願いを込めてその温度のない瞳に希望を添えて董士は見つめ返す。
「その耳要らない?」
真顔で言われた。
「董士」
もう一度名前を呼ばれる。
「いや、したくない」
震える口を動かし、この重い空気に抗う。
「ふうん」
そう言って近寄ってくる裕已に思わず脚が逃げようと無意識に後ず去る。
そんな董士に気にもせず裕已は不思議そうに問いかける。
「なんで?」
なんで…?って
「…何でも言う事聞く、都合のいいおもちゃじゃない」
そんな風に扱わないでほしい。
他と同列なんて嫌だ、特別扱いしろ
「董士、俺は可愛がってるだけだよ?」
そう言ってするりと懐に入って背中に手を回す。
すっぽりと自分の身体に収まる裕已の匂いがして、無意識に力が抜ける。
「董士」
甘やかすように呼ばれ、スリっと顔を擦り寄せてしまう。
切なそうに甘えるように名を呼ぶ。
「裕已」
◆
所変わって今、風呂場の脱衣所にいる。
「ねえ、董士コレ何?」
「うぅ…」
あの後、脱いでとまた言われ、固まっていると、くさいと言われた。
え゛、と董士はショックで固まる。 そんな様子に気付いているのかいないのか、何故か笑ってない目で裕已が訊いてきた。
「お外で遊んだ?誰かと」
記憶を辿り「ああ」と董士はバスケをしていた事を伝えた。
「それで…こんな匂いつけて」
「汗臭い?」
「…脱いで、お風呂入るよ」
「え?風呂、待って」
ぐいぐい腕を引かれて風呂場まで連れてこられた。脱げと裕已に指示されるまま、無言の圧力に屈し、ヤケになり脱ぎ捨てたシャツ。
「次下、…」
「わん…」
とうとう下着一枚になった。
「脱いで」
「…」
ほんとに…?と裕已を窺い見る。僅かに目を細め早く、とお互いにしか解らない無言の会話。その後、董士は下着に手をかけた。
脱いだ後、いたたまれなさについ頼りない声で名前を呼んだ。
「…、ゆい」
「ねえ董士コレ何?」
そう言って董士の肩に手を置くと、緩く勃つそこを触れるギリギリの所で撫でる仕草で指摘され、羞恥で顔がカッと熱くなる。
キャラ設定など
いぬ とうじ 183成長中 そばかすが散った茶髪短髪くん。主人を好き過ぎるため、そうじゃない部分も含めて全てがパーフェクトに見える。最近ゆいの何気ない仕草だったり言動にドキドキして切なくなるのが悩み 基本素直
飼い主 ゆい 177 美人褐色。
とうじとのベッドでは常に主導権は自分が持つが、たまに明け渡す。とうじが可愛い
時々とうじが発光して見える。
少し天然が入ったとこがある。最近、無意識にとうじの頭を撫でまくるのが癖になっている。
リバ




