花火のような初恋
ピー。
体育館に笛の音が鳴り響いた。
「練習終わり」
バレーボール部の顧問が笛を鳴らし、声を上げた。
ミーン、ミーン。
蒸し暑い体育館に蝉の鳴き声が響いた。
「水分補給忘れんなよ。今日は終わり」
バレーボールの部員は体育館の用具を片付け始めた。
「誠二、明日の花火大会一緒に行く?」
部員の金田に話かけられた。
「どうしようかな?」
僕は答えた。
「お前一緒に行く、女子いるの?」
「いるわけないじゃん」
僕と金田は笑った。
体育館の片付けが終わり、みんな帰り支度を始めた。
「誠二、花火大会どうするの?」
「また、メールする」
「じゃあな」
金田と別れた。
僕は、田中誠二。
中学2年のバレーボール部。
陰キャでもなく、スポーツ万能でもない普通の中学生。
僕は自転車のある駐輪場に向かった。
駐輪場には、学校のヒロイン的な存在の吉田玲子がいた。
吉田玲子は明るく活発な女子で男子の注目の的だった。
「吉田さん、どうしたんですか?」
僕はドキドキしながら話しかけた。
「なに?」
吉田玲子は驚いた。
「何か探しているんですか?」
「うん、自転車のカギ失くしたみたいなの」
「僕も探しましょうか?」
「嬉しいけど、教室にもないみたいなの」
吉田さんは自転車の周りを一生懸命に探している。
僕も周りを探した。
それらし物は見当たらなかった。
「どうしよう、早く帰らないといけないのに」
僕は勇気を振り絞って、
「僕の自転車に乗って行きますか?」
「田中君の自転車でニケツ?」
「はい、時間がないなら」
「ありがとう」
僕は偶然でも吉田玲子と自転車でニケツすることになった。
僕は自転車を取り出して、吉田さんを荷台に乗せた。
僕の鼻に吉田さんのシャンプーのいい匂いが香った。
僕はドキドキした。
「吉田さんの家の方角てどっちですか?」
話を聞くに吉田さんの家の方向は少し僕の家の方角と違った。
僕は急いで吉田さんの家に向かって必死に自転車を漕いだ。
「吉田さんなんで急いでいるんですか?」
「見たいドラマの再放送が最終回なの」
「そんだけですか?」
「うん」
僕は呆気に取られた。
そうこうするうちに吉田さんの家の近くまできた。
「田中くん、もうここでいいありがとう」
僕は勇気を振り絞って、
「吉田さん、花火大会、誰と行きますか?」
「ごめん、もう行く人決まってる」
僕はガッカリした。
「今日はありがとう、またね」
吉田さんは笑顔で手を振った。
僕は寂しく家に帰った。
僕は吉田さんのことを思い出した。
いつも元気な吉田さん、誰と花火大会行くんだろう?
恋人だろうか?友達だろうか?
そんなことをベットに横になりながら考えた。
ブー、ブー、ブー。
携帯が振動した。
僕は携帯を見た。
金田からメールで、明日の花火大会どうする?というメールだった。
僕は行くとメールを送った。
翌日、僕は午後6時に金田と待ち合わせの場所に自転車で向かった。
金田は10分遅れでやってきた。
「おっす」
金田が僕に話しかけた。
「おっすじゃね〜よ。遅刻しやがって」
僕達は花火大会の大きな公園にやってきた。
公園には出店が広がっていた。
金田と出店を見て回った。
その時に金田が、
「あ」と叫んだ。
僕達の目の前には、浴衣を着た吉田玲子と友達の森由里子が立っていた。
吉田さんが、
「田中君?」
「吉田さん」
吉田さんの浴衣姿はとても似合っていて輝いていた。
「田中君、昨日はありがとね」
「何かあったの?」
友達の森由里子が聞いた。
吉田さんと森さんは二人で話してる。
僕は、
「あれから自転車のカギ有ったんですか?」
「うん、制服のポケットに入ってた」
吉田さんは笑顔になって笑った。
「ドラマは見れたんですか?」
「うん、ばっちり」
「良かったですね」
吉田さんが、
「良かったら、一緒に花火見ない?」
「いいんですか?」
「いいよ」
僕達4人は花火が始まるまで、出店を見て回った。
りんご飴を買ったり、金魚掬いをして時間を過ごした。
金田が花火がよく見える神社があると言い出して、僕達はそこに移動した。
僕達は神社に移動して、神社の石の階段に座った。
金田が森さんに、
「森さんは、彼氏いるんですか?」と質問した。
森さんは、
「いないけど、君じゃ無理」と断った。
みんなそれを聞いて笑った。
どーん。
花火が上がった。
吉田さんが、
「綺麗」と言って顔を上げた。
僕は花火を見上げている吉田さんに恋をした。
どーん、どーん、どーん。
花火が連続で上がった。
みんな花火を見上げた。
僕は思わず吉田さんに声をかけていた。
「吉田さん」
「なに?」
「好きな人いるんですか?」
「はい」
吉田さんは真剣な顔になった。
「僕と付き合うことできますか?」
吉田さんは少し戸惑って、
「ごめんなさい」
僕はなんとなく気づいていた。
どーん。どーん、どーん。
花火が鳴り響いた。
どーん。
最後の特大の花火が夜空に大きく咲いた。
僕の初恋は花火のように散った。




