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花火のような初恋

掲載日:2026/01/29

ピー。


体育館に笛の音が鳴り響いた。


「練習終わり」


バレーボール部の顧問が笛を鳴らし、声を上げた。


ミーン、ミーン。


蒸し暑い体育館に蝉の鳴き声が響いた。


「水分補給忘れんなよ。今日は終わり」


バレーボールの部員は体育館の用具を片付け始めた。


誠二(せいじ)、明日の花火大会一緒に行く?」


部員の金田に話かけられた。


「どうしようかな?」


僕は答えた。


「お前一緒に行く、女子いるの?」


「いるわけないじゃん」


僕と金田は笑った。


体育館の片付けが終わり、みんな帰り支度を始めた。


「誠二、花火大会どうするの?」


「また、メールする」


「じゃあな」


金田と別れた。


僕は、田中誠二(たなかせいじ)


中学2年のバレーボール部。


陰キャでもなく、スポーツ万能でもない普通の中学生。


僕は自転車のある駐輪場に向かった。


駐輪場には、学校のヒロイン的な存在の吉田玲子(よしだれいこ)がいた。


吉田玲子は明るく活発な女子で男子の注目の的だった。


「吉田さん、どうしたんですか?」


僕はドキドキしながら話しかけた。


「なに?」


吉田玲子は驚いた。


「何か探しているんですか?」


「うん、自転車のカギ失くしたみたいなの」


「僕も探しましょうか?」


「嬉しいけど、教室にもないみたいなの」


吉田さんは自転車の周りを一生懸命に探している。


僕も周りを探した。


それらし物は見当たらなかった。


「どうしよう、早く帰らないといけないのに」


僕は勇気を振り絞って、


「僕の自転車に乗って行きますか?」


「田中君の自転車でニケツ?」


「はい、時間がないなら」


「ありがとう」


僕は偶然でも吉田玲子と自転車でニケツすることになった。


僕は自転車を取り出して、吉田さんを荷台に乗せた。


僕の鼻に吉田さんのシャンプーのいい匂いが香った。


僕はドキドキした。


「吉田さんの家の方角てどっちですか?」


話を聞くに吉田さんの家の方向は少し僕の家の方角と違った。


僕は急いで吉田さんの家に向かって必死に自転車を漕いだ。


「吉田さんなんで急いでいるんですか?」


「見たいドラマの再放送が最終回なの」


「そんだけですか?」


「うん」


僕は呆気に取られた。


そうこうするうちに吉田さんの家の近くまできた。


「田中くん、もうここでいいありがとう」


僕は勇気を振り絞って、


「吉田さん、花火大会、誰と行きますか?」


「ごめん、もう行く人決まってる」


僕はガッカリした。


「今日はありがとう、またね」


吉田さんは笑顔で手を振った。


僕は寂しく家に帰った。


僕は吉田さんのことを思い出した。


いつも元気な吉田さん、誰と花火大会行くんだろう?


恋人だろうか?友達だろうか?


そんなことをベットに横になりながら考えた。


ブー、ブー、ブー。


携帯が振動した。


僕は携帯を見た。


金田からメールで、明日の花火大会どうする?というメールだった。


僕は行くとメールを送った。


翌日、僕は午後6時に金田と待ち合わせの場所に自転車で向かった。


金田は10分遅れでやってきた。


「おっす」


金田が僕に話しかけた。


「おっすじゃね〜よ。遅刻しやがって」


僕達は花火大会の大きな公園にやってきた。


公園には出店が広がっていた。


金田と出店を見て回った。


その時に金田が、


「あ」と叫んだ。


僕達の目の前には、浴衣を着た吉田玲子と友達の森由里子(もりゆりこ)が立っていた。


吉田さんが、


「田中君?」


「吉田さん」


吉田さんの浴衣姿はとても似合っていて輝いていた。


「田中君、昨日はありがとね」


「何かあったの?」


友達の森由里子が聞いた。


吉田さんと森さんは二人で話してる。


僕は、


「あれから自転車のカギ有ったんですか?」


「うん、制服のポケットに入ってた」


吉田さんは笑顔になって笑った。


「ドラマは見れたんですか?」


「うん、ばっちり」


「良かったですね」


吉田さんが、


「良かったら、一緒に花火見ない?」


「いいんですか?」


「いいよ」


僕達4人は花火が始まるまで、出店を見て回った。


りんご飴を買ったり、金魚掬いをして時間を過ごした。


金田が花火がよく見える神社があると言い出して、僕達はそこに移動した。


僕達は神社に移動して、神社の石の階段に座った。


金田が森さんに、


「森さんは、彼氏いるんですか?」と質問した。


森さんは、


「いないけど、君じゃ無理」と断った。


みんなそれを聞いて笑った。


どーん。


花火が上がった。


吉田さんが、


「綺麗」と言って顔を上げた。


僕は花火を見上げている吉田さんに恋をした。


どーん、どーん、どーん。


花火が連続で上がった。


みんな花火を見上げた。


僕は思わず吉田さんに声をかけていた。


「吉田さん」


「なに?」


「好きな人いるんですか?」


「はい」


吉田さんは真剣な顔になった。


「僕と付き合うことできますか?」


吉田さんは少し戸惑って、


「ごめんなさい」


僕はなんとなく気づいていた。


どーん。どーん、どーん。


花火が鳴り響いた。


どーん。


最後の特大の花火が夜空に大きく咲いた。


僕の初恋は花火のように散った。


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