表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

不平等な愛情




 ポメガバース。通称、ポメガ。

 ポメガは疲れがピークに達したり体調が悪かったりストレスが溜まるとポメラニアン化する。

 ポメ化したポメガは周りがチヤホヤすると人間に戻る(戻らない時もある)。

 周りの人がいくらチヤホヤしても人間に戻らない時は、パートナーがチヤホヤすると即戻る。

 ポメガはパートナーの香りが大好きだから、たくさんパートナーの香りで包んであげるととてもリラックスして人間に戻る。

 男性でも、妊娠出産できる。


 昔は珍しく、また、奇妙奇天烈な病として、治療しようと国を挙げて躍起になっていたらしいが、今では、その人の持つ性質として受け入れられている。




 俺は、ポメガだが、十八年間生きてきた中で、ポメラニアン化した事は一度もなかった。

 体調不良とかストレスとか無縁の生活を送ってきているわけではない。

 みんなからは永遠の元気満々健康児だからポメラニアン化する事はないと言われているが、体調不良に陥る事もあるし、ストレスが溜まりに溜まる事もある。

 が、それでもどうしてか、ポメラニアン化した事はない。


 それは、何故か。

 みんなが言うように、永遠の元気満々健康児だからか。

 否。違う。

 俺は一つの結論を導き出した。

 パートナーが居ないからだ。

 運命の相手にまだ出逢っていないから、ポメラニアン化しないのだ。

 いや別に運命の相手に出逢ってないけど、しょっちゅうポメラニアン化するぜと言う同級生や先輩、後輩、親戚、近所の人も言うが、その人たちと俺は違うのだ。


 別にいいじゃないか。ポメラニアンにならなくても。

 口々に言われるし、まあ、そうだとも思うが。

 ポメラニアン化して、みんなに、チヤホヤされているポメガを見ていると、羨ましいと思うのだどうしても。

 特に、パートナーにチヤホヤされているポメガを見ていると、とっても大切にされているなあと思うのだ。


 大切にされていないわけではない。

 一人で育ててくれた母親も、兄弟も、気にかけてくれる親戚のおじさんおばさんも、近所の人も、学校の同級生、先輩、後輩も、先生も、とても大切にしてくれているのだが。

 大勢の内の一人、という枠から抜け出せない。

 与えられるのは、平等の愛情。

 たった一人、あなたにしか与えない、与えられない、そんな不平等な愛情がほしいのだ。











(2024.7.9)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ