ネコ耳少女現る!?
夜7時9分。
海斗は中央寮音楽教室のドアを開けた。
今回の授業担当の先生は、まだ来ていないらしいが、海斗以外の1組のメンバーは全員揃っていた。
海斗はさっさと、出席番号14番の札が置かれている席に座り、海斗の席の目の前の出席番号12番札が置かれているの席に座る、桜丘学園理事長の孫息子の桜丘隼人に肩を叩く。
「授業セットありがとう」
そう海斗は自分の席に置いてあった、笛と教科書の入った小さな鞄を隼人に見せた。
隼人は左の親指を立てて、自慢そうな顔をした当然だろ?と言って海斗に笑いかけていた。
「そういえば、海斗の隣今日転入するらしいぜ」
そう隼人が一言。
だが、海斗は無関心そうにそんなんだ。と答えるだけ。
現在出席番号15番は欠番となっている。
1週間前までは、15番の生徒は海斗だったのだが、以前14番だった少年が親の都合で転校してしまい、今では繰り上がりで海斗は14番になっている。
普通ならば、2組人から1組15番になる生徒を出すはずなのに、今回は何故か特例と言う事で、転入生が1組15番になる事になったらしい。
こうなったのも、学園で権力を握る大人の事情らしく、殆どの生徒は何故こうなったのかしらない。
特に2組の生徒からは反発が起こったらしく、先生も対処に苦労しているとかいう、噂を聞くぐらいだ。
「まあ、その転入生は出来る奴なんだろうね」
隼人がそう付けたした後、丁度いい具合にチャイムがなった。
確かに出来る奴なんだろう。海斗もそう思いつつホワイトボードの方を見て、先生が来るのを待った。
それから30秒経って、ドアが開く。
「やあ諸君、授業を始めようか!」
長い前髪を触り、そう言いながら入ってきたのは、いつかの時代の英国の貴族が着るような服を見にまとって、腰には剣の飾り物を挿した、髪は長めの金髪で色々な部分が濃いそうな先生だった。
彼の名前は、登園成海。
学園内ではナルシストのナルと呼ばれている、自分大好き人間の1人だ。
「音楽はナルの方だったのか」
そう1人の男子生徒が嫌そうに言った。
その後、何人かの男子生徒がもう一人の音楽の先生の名前を叫び、そっちの方が良かったとブーイングを出した。
彼は男子生徒には、全く人気がない先生。
その代わり何人かの女子生徒は大騒ぎしていた。
海斗はそんなナルを哀れそうな目で見てやった。
「幾宮くん!そんな目で先生を見ないでくれ」
ナルは海斗に気が付いたらしく、悲しそうな顔をして海斗に訴えたが、海斗は無視をした。
海斗は、なんだか疲れきってため息をついた。
ナルがみんなに何か話しだしたが、なんだか聞こえない。
眠いらしい。
海斗は目を擦り、少しぐらい寝ても大丈夫かな?と思い、手を机の上に乗せその上に頭を置いて、目を閉じようとしたそのときだった。
「はじめまして、猫又濡誇と申しますでし」
とんでもないものを見たように、目を見開き起き上がった。
そう、海斗の視線の先・・・・・・教卓の前に居る少女は、夕方海斗に対してものすごい発言をしたあのネコ耳少女だった。
ネコ耳は帽子で上手い事隠しているようだったので、誰もその事に付いて触れない。
だが、海斗は知っている。
あのネコ耳は本物で、あの少女がかなり変だと言う事に。
「さて、猫又さんは、あちらに座っている幾宮くんの横の席に座ってもらいましょう」
そうナルは、ぬこに説明してぬこが海斗の方に近づいてくる。いや、だた自分の席に向かっているだけなのだが、海斗にはそう見えた。
ぬこは自分の席にゆっくりと座り、自身の小さな体でも前が見えるように、クッションを椅子に敷いてその上にちょこんと座った。
「海斗さん、よろしくでし」
そう言って、ぬこは海斗に笑いかけた。
(なんだよこの展開は!!)
海斗は心の中でものすごい激しいツッコミを入れた後、大きなため息をついて、なんだか泣きたくなって、机に頭を伏せた。
海斗の頭の中で、何かが崩れる音がした。
始まりなのか、終わりなのか海斗には分からない。
序章終了。次回から1章スタートです!
まだこのテンションで、進むらしい。ファンタジー要素あんまりねぇーな(笑)
ですので、次回もよろしくお願いします♪