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     ネコ耳少女現る!?

海斗は急いで、中央寮の自分の部屋に帰っていた。

気が付けば、あと30分で各学年の1組・・・・・・通称、成績トップ組の夜の1時間授業が始まるからだ。

海斗も一応、1組15人に入っている学年トップクラスに在籍する1人である。

このクラスのメンバーであれば、誰もが優遇されその上、学費免除がくつ。

海斗は学費免除を狙って、毎年このクラスに入るために必死で勉強しているのだ。

「次の授業ってなんだったけ?」

「次ですか?、次は確か音楽ですよ幾宮海斗」

そう歩きながら独り言を言う海斗の言葉に返事をしたのは、1つ上の学年の1組に在籍する、通称変態という名の紳士淳也、歩く18禁の佐倉淳也(さくらじゅんや)だった。

「先輩が何故俺のクラスの授業知っているんですか?」

「まあ、僕の可愛い妹のクラスだからです」

そう言って、淳也は生徒手帳に挟んでいる妹の写真を自慢そうに海斗に見せてきた。

海斗はそれを嫌そうな目で見ながら、淳也の手を払い、先に進もうと早歩きで歩き出すのだが、その後を全力で走って阻止しようとする淳也が居て、前に進めない。

「変態、前に居られて邪魔です退いて下さい」

「嫌ですよ、貴方の命令なんか聞きたくありません」

海斗はまじめな顔をして言うのだが、淳也は全く聞く耳持たずに海斗の邪魔ばかりしようとしている。

それを同じ中央寮に住む生徒たちが「またか」と笑いながら、通り過ぎていく。

こういったいい争いは、この2人が会うといつも起こる事で、桜丘学園では定番の言い争いになってしまった。

こうしているうちに、海斗は自分の部屋にも戻る事が出来なくなり時間だけが進むばかり。

海斗は目線の先にあった時計を見ると、もう時刻は7時5分になっていた。

「やばっ、間に合わない」

あと5分すれば、授業が始まってしまう。

1度でも授業を無断で遅刻すると、来年は絶対に1組にはなれない。

1組になるには学年20位以内に入り、専門知識を持った得意教科があり、全ての授業に無遅刻無欠席していることが絶対条件なのである。

海斗は目の前で邪魔する人物を退かすために、淳也に向かってものすごい勢いで走り出した。

「遅刻するんで強行突破します!」

そう海斗は一言言ったあと、淳也を押し倒してそのままの勢いで自分の部屋に帰っていった。

息を切らしながら海斗は走る。

先ほどまで居た場所から自分の部屋に帰るには、最低でも3分が必要だ。

だが、このままのペースじゃ、絶対に遅刻してしまう。

(間に合わないか?)

ため息をつき、海斗は立ち止まった。

次の授業である音楽を行う部屋、中央寮音楽教室に行くにはこの場所から階段を1階分上れば着くし時間には間に合う。

だが、荷物を授業の持っていかなければ絶対に教室に入る事は出来ない。

「諦めるべきか?」

「大丈夫よ、あんたの荷物はあんたの部屋から桜丘くんが持って行ったわ」

そう言って、暗闇から月明かりに照らされるように海斗の前に現れたのは、さっき海斗の邪魔をした淳也の自慢の妹である佐倉蓮(さくられん)だった。

蓮は海斗の肩にポンと手を置いた後、よかったね。と言って、さっさと階段を上がっていく。

「早くしないと、なんとかなったのに遅刻するよ!」

階段の中央部分の踊り場で蓮は止まって、海斗に忠告した。

海斗は、その後を追うように、階段を上がって行く。

「ありがとう助かった」

「それは、桜丘くんに言って」

そう蓮は海斗に言った後、海斗の間の前から階段を上りきった蓮は見えなくなった。

「鈴の音?」

リン。と、鈴の音一つ海斗の耳に響いた。

海斗は嫌そうな顔をしながら階段を急いで上がる。


その頃、海斗たちが上った階段の一番下の段で、桜丘学園高等部の制服に身を包んだ黒いネコ耳帽子を被るぬこの姿があった。

「服大きいでし」

ぬこは少し大きな制服を嫌そうな目で見た後、急いで階段をぴょんぴょん跳ねる様に上がっていく。

目指す場所はそう、中央寮音楽教室。

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