第1話 トイレの神様に掌と手の甲を高速回転で見せつける
俺が最初にそのことに気づいたのはなんてことない……いや、本当に1日で一番なんてことないと言っても過言でもないくらいのなんてことない時間だった。
______即ち、トイレの時間である。……うっ…お腹痛い……。
ちょっと本気でヤバいので、急いでトイレに行く。なんてことないなんて言ったから罰が当たったのかもしれない……トイレの神様すいませんでした。
____話を戻す。
あれは、ある日の平日の朝のことだった。
その日はちょっと準備に余裕があったのでバスが来るギリギリまで家でダラダラしながらweb漫画を読み漁っていたのだが、よし出ようと思った直前に急にお腹が痛くなったのだ…今みたいに。
…ものすごい格闘だった。詳しく書くとちょっとアレなので色々省くが…ゴ◯ラもびっくりな混沌具合だったと言っておこう。二十分では効かないくらいだった。
まあ、とにかく俺はトイレでバスには絶対間に合わないくらいの死闘を繰り広げ、最悪遅刻でもいいかと思っていたのだが……
なんということでしょう。トイレからで時計を見ると入ってから3分くらいしか経っていないではありませんか!
俺はこの奇跡に打ち震えた……あ、バス?ギリギリ間に合わなかったよ。後でめっちゃ妹にバカにされた。
その時はラッキーとしか思ってなかったのだが、後でじっくり考えるとやっぱりおかしい。むしろその時深く考えていなかったのがおかしいくらいなのだが…
バスに乗っている途中あまりに暇だったので色々考えてみて俺が出した結論は……俺は時間停止の能力を使えるようになったのではないかということ。
この世界には能力が存在する。その種類は多岐にわたり、落とし物を探す能力から炎を出す能力、それに聞いた話では不老不死の能力なんてものも存在するらしい。時間停止の能力なんて聞いたことはないが、いてもおかしくはない。
ちなみに能力者の数は少ないが全くいないというわけでもなく50人に1人程度。
周りにそんな人間はいなかったし…俺自身もあるような感じもしなかったからてっきりないと思っていたのだが………きっと極限状態の焦りとか生存本能とかその他諸々のなんかそれっぽい理由で能力が目覚めたのだろう。トイレの神様マジありがとう。
「俺も今日から能力者だ!!!!!悪用し放題だぜ!!!ヒャッハー!!」
「お兄ちゃんうるさい。」
「はい……」
夜にリビングで叫んでいたら妹に怒られた。
……なんかめっちゃ恥ずかしかった。
「時間停止の能力に俺だけ便乗できる件」
見てくださりありがとうございます。