草刈り男の誕生
長くなってしまいました
社長に草刈りの講習を受けてねと言われた。どうやら講習を受けないと草刈りの仕事をしちゃいけないらしい。あれ?こないだ社長さん僕に草刈りやらせようとしてた気が…
家に帰り、親に「俺草刈りの講習受けることになったわ」というと、何故か突然高い声で笑い出した。ちょうどその日のちいかわ(アニメ)で草むしり検定のことをやっていたらしい。確かにタイムリーである。
そんなこんなで草刈り講習の日を迎えた。受講票に4×3cmの写真を貼り付けなきゃいけないということに当日の朝気づき、慌てて最寄りのファミマで写真を印刷。電車の中で写真をハサミで切り、駅のホームで貼り付けた。
数時間後、会場に到着したわけだが、会場近くのコンビニの前にて、紙(たぶん受講票)に写真を貼り付ける若者たちの姿を目撃した。
電車で写真の切り貼りを済ませた僕のほうが、コイツらより25倍はスマートだなぁと謎の優越感を感じながら会場に入った。
草刈りの講習を受ける人間なんて10人もおるまいと考えていたが、会場には30人弱の受講生が集結していた。正直人多くてビビった。この季節は雑草がスクスクと育つ時期であるため、草刈師の需要も高まるらしい。
講習は長い。9時から昼休憩を挟んで16時半まで続く。講習開始時点でかなり眠かったが、寝たりスマホいじったら追い出しますと職員さんに脅されたので頑張って起きていた。
眠くて死にそうになったときは、目を瞑って斜め下を向いた。寝てないですよアピールをするために、手を緩慢に動かしたりした。
眠気と戦う受講生は当然僕だけではない。斜め前のおじさんも僕と同様、「目瞑り手動かし作戦」をやっていた。
このおじさんはブルジョワで、机の上に水筒、ペットボトル天然水、午後ティー(ミルクティー)、ボトルの缶コーヒーを並べ、万全の眠気対策を施していた。それでも眠くなってしまうということは、これはもう講師が悪いのではないだろうか。
だいたいこっちは高い金(一万円。まぁ会社から出るけど)払って講習を受けてるわけなので、講師は我々を寝かさないようなオモシロエキサイティングな授業をする責務があると思う。もう少し頑張ってくれたまえ。
授業はスクリーンに映し出された文言を講師が読み上げる形式で進むのだが、講師が「所謂」を「しょせん」、「今日では」を「きょうでは」と読んでいた。僕は人の失敗で嬉しくなってしまう人間なので、講師が読み間違いをするたびに少しずつ目が覚めていった。
死ぬほど長い1時間が終わり、15分の休憩に入る。入った途端、部屋にいた人間の半分ほどが外にある喫煙所にタバコを吸いに行き、残った人間は机に突っ伏して爆睡した。この光景を見て、講師はなんと思ったのだろうか。少しは自分の授業の退屈さというものを自覚してほしいものである。
いっぺん眠ると眠気は収まり、次のコマはそこまで眠くはなかった。
目が覚めたのでしばらくは真面目に授業を聞いていたが、まぁ退屈である。講師のおじいちゃんはひたすら教科書を朗読し、前の席のおじさんは午後ティーと水を交互に飲んでいる。
外からは気の抜けたラッパのプープー音が聞こえてくる。僕は眠くなり、再び目瞑りタイムが始まった。
地獄のような時間が過ぎ去り、無事昼休みを迎えた。
パンとチョコチップクッキーを3分で食べ、その後はキッチリ30分気絶した。気絶後は近くを散歩し、完全に覚醒した状態で午後の授業を迎えた。
やはり眠い…けど午後の部ではちょくちょくビデオ(やけに画質が荒い)を流してもらったおかげでなんとか乗り切った。
最後にテストがあった。講師が「教習所の効果測定みたいなモンです」というので、オイオイまさか9割以上取らなきゃ行けないヤツ!?と思い、ビクビクしながら問題を解いた。
勘を頼りに回答した問題が当たりまくり、20点満点を獲得。褒めて褒めてと思いながら職員さんのところへ向かうと、職員さんはテスト用紙に一瞥もくれず、お疲れ様でしたぁ!と言って僕に修了証(運転免許証みたいなやつ)を渡してくれた。テストの点に関係なく修了証貰えたのね…ビクビクして損した(涙)
なんか損した気持ちで会場を後にした。
実技の講習はほぼなかった…エンジンの動かし方とかワカランデス