第3話「どうして、」
“今日からゴールデンウィークですね。何か予定はありますか?”
…ない。何もない。強いて言うなら小説を書き進めないと…でも、予定はないと正直に言うことにした。さすがに嘘をついて断るなんて…ここでもう一度やり直すなら覚悟を持たないと。
“予定ないんですね。なら、5月4日にちょっと遊びに行きましょう!ほかに二人誘っているので…ちゃんと伝えておきますね”
僕は断ることができなかった…あと二人…僕と仲良くしてくれるかな…?
“おはようございます。朝ですよ。”
…そうか、もう今日なのか。昼夜逆転生活は身体に悪いとはいえ、寝落ちしてしまった。遅刻してないかな…大丈夫かな…
“本多さん、待ってましたよ”
施設の正門前、バスを待つのは僕たち4人だ。自己紹介をしなければと思うが…なかなか行動に動かせない。すると目つきの悪い不良っぽい子が自己紹介をした。
“俺は森康大。何か夢を探しているんだ…そういえば本ちゃん、君のことは知ってるよ。小説家志望だなんてすごいじゃん!”
…あ、めちゃくちゃほめてくれた。ありがとう。しかし…オーラがいかつい。
“本ちゃんね…いいニックネームですね。今後使いましょうか”
あ、ニックネーム決まった。いいのかこんなに勝手に決めて…
“本ちゃん!…小説家はやめた方がいいわ”
…初対面でなんてことを言うんだ…そんなこと言わないでほしかった…
“おい…こみさん…夢を否定しちゃだめだぜ…”“そうですよ…佐藤さんだって夢を否定されたら困るでしょう?”
佐藤さん…?それってあの日の…
あれは4月の中頃のこと。野村さんが初めて話しかけた日の事だ。あの日話している裏で、少しだけ後ろから視線を感じた。話し終わって振り返ると本を読んでいた女の子がいた。今思えばあれが佐藤さんだった。
“さぁ、行きましょう。”
“そうだな、下北沢に!”
あー…珍しいですね…ここから何時間かかるのでしょうか?
“着きました。では15時にここで。”
みんなバラバラになってしまった。でも僕は佐藤さんに呼び出され、ファミレスに行くことになった。
“ごめんね、呼び出して。本当に小説家を目指そうとしてるの?”
…そうだろうな…今のところ夢なんて何もわからない。でも小説を書くことが唯一落ち着くところだからかな…
“そうなの…じゃあ、見せてよ。本ちゃんが書いた小説を見せて。”…こんな小説を見て何が楽しいの?どうせ馬鹿にするだけでしょ…
“馬鹿にするわけではないんだけどさ…本ちゃんの話ってありきたりだよね。結局王道のファンタジーもの。もっと驚かせる設定とかないと。”
…わかってた。わかってたよ。知ってる、でも口に出さなくてよかったのに…
“ねぇ、何その顔。言ったこっちが気分悪くなるからやめてくれない?。”
…やってしまった。すぐ感情が顔に出る悪い癖だ。別に怒ってるわけじゃないんだけど…
“どうして…こうなるの…”