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懐かしき再会

新年初投稿です!

今年もよろしくお願いします!

 冒険者たちを拘束してから二日後、半壊した村長宅……ではなく村の中央広場に村人全員とアレンたちが集まり、これからやってくる衛士隊の対応について話し合っていた。


「それじゃあ、事前に取り決めていたように村長と商会の代表である俺、後は当事者としてアレンとレンの坊主で対応するって流で良いっすね」


 司会役として話を纏めていたヴァルドは全員の了承の確認をすると、村長が挙手をしてから発言を始めた。


「わしらはそれで構わが、説明を求められた際に当事者は全員呼んでおいたほうが良くはないかね」

「そうっすね。っというわけで悪いんだけどリンのお嬢ちゃんも、ここに残っていてくれな」

「わかりました。良いですよ」


 もともと護衛でいるはずだったシエルは良いとして、予定になかったリンも了承してその場に残った。

 この場にいるのはアレンたち四人とヴァルドに村長、それと衛士隊に引き渡し予定の冒険者と護衛たちが数人そこにいた。予定では今日の昼頃に着くと聞いていた。

 アレンは縛り上げられ大人しくしている冒険者たちの姿を見ながらヴァルドに問い掛けた。


「なぁおっちゃん。こいつらってこの後どうなるんだ?」

「おいおい。なんだ、気になるのかよ」

「別に死んでくれても構わないんだけど、ほら情報を引き出すとかなんとか言ってたからどうなるのかなって」

「そうだな。俺もそこら辺は詳しくねぇんだが、情報収集専門の魔法使いなんかがすべて吐かせるんじゃねぇ?そんでその後は犯罪者奴隷落ちだろうな」


 行くつくところはそうだろうなとアレンは思った。

 あの冒険者たちの話を聞いている限りは人買いに手を貸して、果には自分たちも人を物のように売っていたのだ、それを加味しても犯罪奴隷で済むのはまだ軽いほうだろう。

 っと、そんな事を考えていると村の入口の方から商会の人間が一人走ってきた。


「商会長、衛士隊の馬車が来ました」

「おっ、もう来たか、こっちに連れてきてくれ。後お前らは護衛としてしゃきっとしろよ」


 衛士隊がきているならあの冒険者たちが暴れ出したところでなんとかなるだろうが、ヴァルドの護衛役であるため呼ばれるまでは職務をまっとうすることにする。

 何か会った時すぐにヴァルドを守れるようにアレンとシエルが後ろに控え、レンとリンはどこにいればと悩んだ末に二人の横に落ち着いた。

 結局そこかと思ったシエルは隣に並んだリンの姿を見ながら、ちょうどいい機会なので昨日から聞いてみようと思っていたことについて訪ねた。


「ねぇリン、レンから聞いたんだけど私達と一緒に衛士隊に入りたいって、本気なの?」

「えっ、あぁ……うん。今回、アタシは何も出来なかったし………もしものときに、何かできればなって」

「そっか……あなたも、強くなりたいのね」


 コクリと頷いたリンの横顔を見ながらシエルは小さく頷き返した。

 キッとたくさん考えたのだろう、悩んだのだろう。考えて考えて、悩み抜いたがゆえの結論ならばとシエルはこれ以上何も言うつもりはない。

 シエルが前を見ると先程の護衛仲間が鎧を着た集団を連れてきた。

 人数は五人、体格からして男四人と女一人だろう。深い紺色の団服の上には急所を守る最低限の鎧が身に着けられ、顔半分を覆うように兜が付けられているので顔がわからない。


「第三十二部隊の者だ。冒険者たちの引き取りと聴取に来た。おい、後は頼むぞ」

「はい」


 返事をして前にでたのは女性の衛士隊員だった。彼女はヴァルドの前にやってくると小さく会釈をした。


「それではお話を聞かせてもらいます」

「はいはい。事情はこちらからまとめて説明しても構いませんかい?」

「えぇ。構いません」


 ヴァルドが女性の衛士に事のあらましを説明し初めた。

 森で魔獣を見つけ冒険者を雇ったが、事前に自分たちで解決し、やってきた冒険者へは事情を説明しお引き取りを願おうとしたが、説明の途中で冒険者の一人が突如の暴動、加えて人身売買関与を仄めかす発言など。

 簡単に説明をしたヴァルド、その話を聞いていた衛士はメモを取りながら所々で説明を求めてきた。


「なるほど、ではそちらにいるアレンさんとシエルさんにも二三質問をよろしいでしょうか?」

「はい、答えられる範囲なら」

「ではまず、あなた方はなぜ魔獣を助けに向かわれようと?」


 最初にその質問が来るのかと、アレンが思いながら答える。


「僕を襲った魔獣の行動に違和感を覚えたからです」

「違和感とは?」

「魔獣が手負いの僕を殺さずに狩りの獲物を持っていったのでね、魔獣が何かの目的で獲物を求めているのだと思ったから調べただけです」

「なるほど……では次に冒険者が怪しいと思ったのはなぜですか?」

「私達が助けた魔獣の子供、傷口が腐敗して完全には断定はできませんでしたが、剣などの傷や暴行を受けたあとがありました」

「わかりました、お話は以上です。隊長、終わりました」


 女性衛士が隊長と呼ぶと最初にヴァルドに声をかけた衛士がやってきた。

 女性衛士からメモを受け取って内容を読んだ隊長は、メモを返してからヴァルドの方を振り返った。


「事情はわかりました。今回の件はもう一度こちらで調査しますので、後日また詳しくお話を聞くことになると思いますが構いませんか?」

「えぇ。それでは我々は先に彼らを連れていきますので、あなた方は後日こちらに」


 そういいながら隊長さんは一枚のメモをヴァルドに手渡すと踵を返して立ち去ろうとしたが、少しして何かを思い出したかのように振り返った。


「あっ、そうだった。そこの……えっと、あぁ~っと……剣三本もった青コートくん」

「僕?」

「ちょっとこっち来てくれ」


 いきなりのご指名に驚きが隠せないアレンだったが、一応ヴァルドの顔を見ると行ってこいとジェスチャーをしたので前に出でる。

 隊長さんの方へと歩いていくアレンは、なぜ呼ばれたのかと思う一方で、なんだかこの人と何処かであったような気がしていた。

 いったいどこで会ったのか、それが思い出せないアレンは歩きながら隊長さんの顔を見ようとしたその時、口元が小さく釣り上がり殺気が放たれたのを感じた。


「───ッ!?」


 何か嫌な予感がしたアレンは後ろへ下がろうとした瞬間、隊長さんが腰の剣に手をかけたのが見えるとほぼ同時に鞘から剣が抜き放たれた。


 ⚔⚔⚔


 鞘から抜くと同時に振るわれた剣の一閃がアレンを斬り捨てた。そう、後ろから観ていたシエルたちには目に映った。


「アレンッ!?」

「うそっ、なんで!?」


 リンが悲鳴を上げるなか即座に剣を抜いたレンがアレンを斬った隊長へ斬り掛かろうとした。だが、それをシエルは立ちはだかるようにして止める。


「シエルッ、テメェ何してやがるッ!?」

「待ちなさいレン、落ち着いて良く見なさい」

「はっ?……あっ」


 落ち着いてアレンの様子を見ると、アレンは生きていた。どうやってかはわからなかったが先程の一撃を防ぎ剣を抜いていた。

 その姿に一安心したシエルは、戦うアレンを援護しようと考えたがすぐにその考えを排除した。


「おじさん、後ろに下がってレンとリンは前に出て!」

「あっ……あぁ、おう」


 ヴァルドを後ろに下がらせると剣を構えたレンと大鎌を組み立てたリンが並び立ち、シエルも矢をつがえた弓をいつでも射てるように準備する。

 これで何があっても対処できると思っていると、先程の女性衛士が近づいてきたのでシエルは矢を向ける。


「皆さん、落ち着いてください。我々は敵ではありません」

「じゃあなんであの人はアレンを斬ろうとしたの?」

「それは……単に病気としか」

「病気?」


 またおかしなことをっと、シエルが思いながらアレンと隊長の戦いう姿を見たその時、シエルは隊長が握る剣を見て目を見開いた。


「あの剣、ウソ……まさか」

「なにシエル、どうしたの?」

「ちょっと………あの、一つ教えてあの隊長さんの名前───」


 シエルがだした名前を聞いた女性衛士は小さく頷いたのを見て、シエルは大きく脱力しながら弓をおろした。


 ⚔⚔⚔


 剣を重ねながらアレンはこの男が何を目的にこんなことをするのか、それを考えていた。

 初めは冒険者と繋がっており、目撃者を消しために起こしたのではとも考えたが、それならばアレンではなくヴァルドを人質にするはずなので即座に候補から消した。

 ならばなぜ?それを考えていたアレンに声が投げかけられる。


「おいおい、考え事してたら危ないぜッ!」

「ッ!?」


 男がアレンの剣を押し返すとバランスを崩したところに男の回し蹴りが当たった。

 横からの蹴りをまともに受けたアレンは倒れるが、地面を強くついてすぐに立ち上がった。


「オラッ、まだ行くぜッ!」

「くッ!?」


 起き上がったところに即座に叩き込まれる無数の連撃をアレンは真紅と紺碧の剣で防ぐが、防戦一方で反撃が出来ない。


「おら、どうしたッ!足が止まってるぞッ!」

「グッ、それがどうしたッ!」


 叫びながら振り下ろされた剣に真紅の剣を合わせて上へと弾き返すと、垂直に構えられた紺碧の剣が突き出される。

 狙うはその兜、こんなことをしでかしたやつの顔を拝んでやる。その気持から放たれた渾身の突きだったが、男の拳が剣の刀身を打ち付けて軌道を逸らす。


「えっ───グハッ!?」


 剣を逸らされたアレンの横顔にハイキックが当たった。

 蹴りをまともに受けたアレンが倒れ剣が手の中からこぼれ落ちる。


「グッ……クソッ」


 こぼれ落ちた剣を掴み直そうと手を伸ばすアレンだったが、それより早く剣の切っ先がアレンの首筋に当てられた。


「あんた、なにが目的なんだ?」

「単にお前の力が知りたかったってだけだ、アレン」

「初対面のくせに馴れ馴れしい」

「初対面ってお前───」


 男が剣を引いて何かを追いかけたその時、いつの間にかやってきた女性衛士が声を掛ける。


「隊長、兜を外さなければ顔がわかりません」

「おぉ、そうだったそうだった」


 男が兜を外し素顔を現した瞬間、アレンの目と口元が大きく見開かれていた。


「んじゃ改めて久しぶりだなアレン」

「きっ、キラ……兄……えっ、えぇ?ぅえぇぇぇえええ――――――ッ!?」


 アレンの驚きの声が村中に響くなか、素顔を現した男キラがニカッと笑いかけるのであった。


 ⚔⚔⚔


 事態が落ち着いた後改めて話し合いの席を設けた。

 話し合いと言っても今闘った場所から少し離れたところで話し合うのだが、アレンはいきなり切りかかってきた衛士隊隊長キラのことを問い詰めていた。


「おいクソ兄、何か弁明はあるか!?」

「三年、いや四年ぶりか?久々に会ったお前が思ったよりも弱くてがっかりだぜ」

「遺言はそれだけか、よし。ぶっ殺すッ!!」

「止めい、バカッ!」


 紺碧の剣で凍らせた後、真紅の剣で焼き殺そうと決めたアレンが剣を抜こうとするが、それよりも早くシエルのハリセンがアレンの頭を引っ叩いた。

 ハリセンで叩かれてテーブルに頭を強打したアレンは、頭を押さえながらうずくまった。


「アレンさん、うちの隊長が申し訳ありません。このバ……隊長が同郷の方がいるから暴走しまして」

「なぁおいソニア。今俺のことバカって言わなかった?」

「あなたがバカなのは今に始まったことではないでしょうに」


 隊長、キラのことをバカ呼ばわりしている女性衛士ソニアはジト目で睨みつける。


「改めまして、第三十二部隊副隊長にソニアと申します。この度はこのバカを止められず本当に申し訳なく」

「おいおい、ソニア。こいつらにそう畏まらなくていいって、俺の弟と妹みたいなもんなんだからさ」

「プライベートならそれもいいでしょうが、仕事中です。少しは分別を付けなさい」

「へいへい。それはごめんなさいね」


 いきなりキラに対するお説教が始まったことで蚊帳の外になったあれンとシエルはコソコソと話しだした。


「なぁシエル、アレがキラ兄だっていつ分かったんだ?」

「剣の鍔よ。昔あんたが入れた傷が残ってたから」


 そう言えばとアレンはキラの剣にそんな傷があったなと思い出しながら、そうなら早く教えて欲しかったと呟いていると、事情を知りたいレンが問い掛けた。


「おい、結局何者なんだよ、あいつ?兄とか言ってたけど、マジ者の兄弟とか?」

「故郷の村に住んでた兄貴分。性格はみたまんま、あんな感じだな」

「なんとなくわかったわ」


 げんなりしながら目の前で繰り広げられている二人の言い争いの声を聞いていたアレンは、大きく息を吐きながら声をかけた。


「なぁキラ兄、衛士隊にいることは知ってたけど、なんで隊長なんてやってんの?」

「ん?決まってんだろ、俺優秀だからな!」

「うわっ、ウソっぽいわね」

「シエル?いくら兄ちゃんの心が広いったって、泣くときは泣くぞ?」


 シエルがアレンの方を見ると、同じ事を思っていたのかあれンもシエルの方を向いていた。二人が顔を見合わせてからキラの顔を見つめて揃ってハッと鼻で笑った。


「よぉ~し、兄ちゃんキレたぞ~。相手してやっからこっち来いや」

「さっきのリベンジだ。ぶっ殺してやる」

「援護するわよ」

「止めなさい」


 アレンたちが殺気立ちながら剣と弓を構えようとしたところでソニアが待ったの声を掛ける。


「なんとなく、キラがどうしてこんな性格なのかがわかったわ」

「そりゃどうも。ところで、口調崩れてるぞ」

「……いいわよ、もう」


 何かを諦めたようなソニアの顔にアレンたちは苦労してるんだろうなと思いながら、後で元凶を殴っておこうと決めた。


「そう言えばキラ兄、ミカ姉も来てるわよ。会う?」

「ミカエラが?会いてぇ」

「キラ、仕事は?」

「五分くらいいいだろ?」

「………わかったわ」


 アレンとシエルが宿としている借りている家へキラを案内すると、ミカエラが来たとの再会に驚きの声を上げる。積もる話も合ったが、キラも仕事があるため簡単な挨拶をして別れることになった。


「向こう付いたら一回会おうぜ。色々話してぇし」

「おう」

「んじゃあな」


 手を振りながら立ち去っていくキラたちの乗る馬車を見送るのだった。


 ⚔⚔⚔


 唐突な再会から五日後、アレンたちが乗る馬車は首都へと戻るために出発した。


「リン、大丈夫?」

「うん。大丈夫よ」


 出発の時、リンは祖母との別れが辛そうだったが平気の声を聞いてシエルはの令嬢の言葉言わないようにしようと思った。


 馬車が走り出してから数時間、首都を覆う巨大な壁が見えていきた。

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