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サムーイン国にて⑦


「なぁなぁ!かにゃでに教えて欲しい事があるんだ。」


ルドさんとランダーさんを待つ間、ルドさんの部下さん達に囲まれた私。

ムッキムキの男の人達に囲まれて平静でいられるのはランダーさんの魔法のおかげかしら?


「教えて欲しい事…ですか?」 


私が首を傾げると、部下さん達はおぉっ!と歓声をあげた。


何故?


「本で見てた仕草をリアルで見れる感激が半端ない。」


と、周りの部下さん達は言う。


「かにゃで、コレ何て読む?意味はどんな意味なんだ?」


私に教えて欲しい事があると言った人が取り出したのは『変しい』と文字の書かれた紙の入ったキーホルダーだ。


「よんが小学生の時、よんの友達のタケルが書いた手紙の冒頭に書かれてた文字なんだ。ラブレターって言ってたから恋愛に関わる文字なんだろ?」


私がこちらの文字が読めないように、こちらの人達は私達の文字が読めないのね。


よんの友達のタケル……あぁ、長谷川健君の事かな?よんの幼馴染の同級生で、よく家にも遊びに来てたっけ。


それにしても『変しい』って。

ラブレターならきっと『恋しい』の間違い?


「タケルは結局ラブレターを渡す前に相手が別の男と付き合ってるの知っちまって、ラブレターはビリビリに破いてたけどさ。何枚も一生懸命書いてた渾身の力作だったのにな。百円均一のレターセットを7つも買って消費したってよんに言ってたぞ。」

「タケルのラブレターのエピソードが載った26巻が発売されてから、好きな相手に出す手紙の冒頭にこの文字書くのが流行ってるんだ。貴族が求婚状にも書いてるんだぜ!」


『変しい』がラブレターや求婚状に……。


「よんは健君の手紙を読んでたんですか?」


よんは健君に指摘しなかったのかな?


「ああ、タケルがアドバイスをもらおうとラブレターをよんに読ませたんだ。よんはタケルから顔をそらしてか頑張れよって。きっとよんは相手が他の男と付き合ってたの知ってたんだろうな。」


よんーーー!!

友達なら字が間違ってるって指摘してあげようよ!

とは言っても、よんが健君に指摘出来なかった気持ちもよくわかる。

よんはきっと健君の好きな子が別の人と付き合ってたなんて知らなかったと思う。


「…………。」


よん…、健君がレターセットを7つも消費して一生懸命書いたラブレターを、健君からラブレターの感想を期待に満ちた目で求められたから言うに言えなかったんだよね?


「かにゃで、コレ、何て読む?」


でもさ!よんがその時指摘しなかったおかげで、お姉ちゃんは今同じような状況に追い込まれてるんだけど!!

『変しい』を恋愛関係の文字だと信じてやまないキラキラした瞳に、実は間違いでしただなんて言いづらい。


「貴様らー!!かにゃでに何をしている!!!」


私が困っている時に大声と共に現れたルドさん。


「!!」


ルドさんの大きな声にルドさんの部下さん達も私も硬直してしまった。


「ちょっ、大隊長!本気の咆哮しちゃ駄目っス!!」


この焦った声はランダーさん。


あれ?おかしいな。身体がビリビリして……気が遠くなっ…て……。


「かにゃでーっ!!」


ルドさんの本気の咆哮って言うので気絶してしまった私。目覚めた時には翌日の朝になっていました。


『変しい』の読み方と意味と正しい『恋しい』と言う文字を、後日ランダーから伝えてもらいました。

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