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星々の華等  作者: 乃木莞爾
3/3

曇天の明くる朝

艦の運用方法や号令距離の表し方な実際にはどうするのかなどは分かりません。設定などガバガバしてる所があるので温かい目で読んで下さいますようお願いします!

前回の投稿より月日が経ちすみません!

高校受験の勉強に励んでました。

不定期投稿となりますが何卒よろしくお願いします。


ーそれは,墨汁を垂らした様な鈍い灰色の日であったー

「艦長!第四エンジンが停止しました」

「艦長!機関銃がほとんどやられました!」

「艦長!」

「艦長!」

荒れ狂う海の上,いまにも沈没しそうな艦が一隻。

「艦長。もう終わりです...。」

すでにわかっている。

轟轟と燃える火災,次々と壊されるエンジン。

艦橋の窓からいかに被弾しているか。

黒い煙,焼け焦げた匂い,兵士達の悲鳴。

数キロ離れた敵艦からは次々と発砲され,こちらに向かって来る。

「応急員は火災を出来るだけ抑えろ!敵艦隊の接近を許すな!」

刹那,

艦が大きな轟音と共に大爆発した。

艦長室の警報ブザーがまた鳴り響いた。

沈む早さが速くなり始めた。

隣にいる頭から血を流した兵士が彩華に必死に伝える。

「艦長!お願いです。今,ボートを使えば艦長だけでも本土に帰れます」

この兵士は今回の乗艦が初めてで目がキラキラしていた。

否,

「ダメだ!仲間を残して国には帰れない!」

「いえ,艦長はこんな所で死んではいけません!どうか,どうか,生きて下さい!」

あぁ,私は死んでしまうんだ。

目の前の国に無理やり動員されたこの少女も。

「置いていけない。この艦と皆んなで地獄へ行けたらそれでいい」

無論,私は戦争で人殺しを沢山してきた。

今だってそう。一人でも多く敵を。

艦は着々と沈んで,海水は足元まで浸っていた。

「さて...。」

彩華はよいしょと椅子から立ち,艦橋の外に出る。

ぶわぁと風がたなびき煙の匂いがした。

扉が閉まる瞬間,少女は泣いている様に見えた。

悲しんでいるのか,怒っているのか,悔しいのか。

そうだ,私だって悔しい。

この海戦の前は船員で宴会をした。

馬鹿みたいなことで笑い合い,将棋などもした。

そんな毎日ももう終わりだ。

おもむろに歩き甲板にたどり着く。

火災は少し抑えられていた。

寒い。揺れる。臭い。

もう地獄にいる。

人々は血を流しており生死も判断出来ない。

僅かに敵艦を倒さんと機関銃を撃つ兵士もいる。

(何もかもが無駄なのに...。)

「あぁ...私,私,私...」

黒くくすんだ白の軍服の脇差しから護身用の短刀を取り出した。

二十センチ位の短刀は綺麗は装飾が施されている。

士官学校の成績優秀者にのみ渡される貴重な物。

喉に当てる。

短刀は鋭く,少し当てただけで血が出た。

どうせ死ぬのなら敵ではなく自分で。

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」

手に力を入れて叫ぶ。

蒼い海と黒い雲の漂う中,一輪の赤い華が生まれた。

ー神和帝国海軍少佐朝葉彩華

   燈型駆逐艦三番艦「欄燕」艦長ー



お読み頂きありがとうございます。現場の雰囲気や匂いなどその場にいる臨場感を我ながら出してみたつもりです。

心の琴線に触れるものがあると幸いです。

何かおかしな文やこうした方が良いや感想,評価を頂けると嬉しいです。(生きる糧にしますので何卒!!)

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