未来の話し
(((())))※この物語の国々は現実にあった国々を参考にしています。
特に政治的悪意があるわけではありません。
世界。それは悲しみを欲し,命が軽蔑される世界。
これは,少女達が時に悲しみ,笑い合いそして嘆く,もしかしたら現実でもあり得る話。
ー 帝國少女娘子軍 ー
神和帝国の朝は早い。
陽は昇り,海沿いの朝市が栄えるこの赤煉瓦造りの海軍寮。兵士達の日朝点呼を布団の中で耳に入れることが海軍中佐「朝葉 彩華」の日課となっていた。
「彩華!おっはよー⭐︎」
バタンと扉の音を立てた主は彩華の一期生後輩の海軍少佐「栢山 鈴音」だ。
海軍は縦割り業務が基本であるため,少佐が中佐に発言する際は敬語で無くてはならないのだが…。
「鈴音。今日は起きるの遅かったね。いつもは点呼の前に布団をめくるのに」
鈴音は自身の水色の髪を手で捏ねくりながら舌をちょこんと出す。
「ふふ。昨日,遅くまで夜更かししてた」
「もう…」
鈴音はいつも気が抜けているがそこが愛らしい。この寮ではいじられキャラとなっている。
「あまり夜更かしは良くないよ」
「えへへ〜。あ,そうだ,軍の司令部から通達が入ったよ。」
鈴音がポケットから一度,丸めたかのようなクシャクシャ封筒を差し出す。
「ありがと。」
彩華はそれを広げ表面を見るとピンク色のインクに『秘』の判子が押してあった。どうやら重要な通達らしい。
「さぁ〜て」
彩華はベッドから降り,士官用の白軍服に身を通した。
これを着るといつも緊張感が高まる。
「さぁ,今日も仕事だ」
二人は扉を開け,作戦室まで歩いた。
作戦室と書かれた華美な彫刻が施された扉を開けると,二十四人座れる長机があった。
手前の二席を除いて全員着席しており,時計の針の動く音が聞こえるくらいに静かだ。
「おい,そこの朝葉と栢山!」
一番奥の席に座る少女が怒り口調で二人の名前を静かに呟く。
「「は,はいぃ!!」」
同時に背筋が伸びる。それもそのはずあの黒髪のショートの少女はこの海軍寮の長である「間宮 望月」で,主張の激しい胸の膨らみには,錨に菩提樹の葉が巻き付いている階級章は,彩華の二階級上の准将を示している。
准将は幹部の中でもかなり上の階級だ。少佐や中佐は到底,太刀打ち出来ない。
すると,この空気をさすがの鈴音でも察したのか,
「ねぇ,私たち遅れたかな?准将から怒りのオーラを感じるよ」
「ま,まさかね」
二人が冷や汗を掻いていると,頬杖のついた間宮准将の口が開いた。
「会議は六時半からだぞ。二十五分遅刻だ」
「「え…」」
ー神和帝国の朝は慌ただしかった。ー
お読み下さいありがとうございました!!
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