03 魔力測定
今日は突然目が覚めた。嫌な夢でも見ていたのだろうか。
今、俺は学生寮に住んでいる。今まで施設にいたため、家は無い。
この学校の生徒の半数以上は学生寮に住んでいる。都外から学校に来る生徒も少ない。
しかし、今日はいつもより早く目が覚めてしまった。何故だろう。
昨日は、自分の記憶についての情報は何も得られなかった……。まあ、まだ登校二日目だから焦っても仕方がないだろう。
今日こそは何かあることを期待しよう……。
そんなこと考えながら、時間になるまでベッドの上で天井を眺めていた――。
「み、皆さんおはようございます。き、今日は魔力測定を行うので、た、体育着を着て体育館に集合して下さい」
朝のHRも終わり、全員体育館への移動を開始した。
入学式を行った広い体育館に、一年生全員集められた。各クラス固まって番号順に並んでいる。
俺の出席番号は34番、最後の方だ。
「それでは、これから魔力測定を行う。各クラス、列の最初の者から順番に魔力測定を行え!」
怖そうな男の先生が大声で言った。
魔力測定は、魔力を測定する専用の機械で、個人の魔力量と魔力の属性を測る。
「で、ではZ組の皆さんも1番の生徒から魔力測定を開始します」
藍田先生の開始の合図で魔力測定が始まった。
「い、1番、赤坂 大吾さん、魔力量"127"、属性は"火"です」
「に、2番、安倍 文香さん、魔力量"106"、属性は"水"です」
こんな感じで番号順に魔力測定が行われていった――
次は久我の番か。
「じゅ、13番、久我 旭さん、魔力量"694"、属性は"火"です」
「ふっ、どうだ俺の魔力量は! すげぇだろ!」
今のところZ組の最高だ。他の人たちは皆、100を少し超えた程度だった。
それに比べて久我は、700近くまでいっている。
そういえば、"ゆうき"という黒長髪の女子の魔力量も気になるが、何処にも見当たらない。今朝のHRには、いたはずなのだが……。
大分時間も経過し、ようやく俺の番がやってきた。
よし、やるぞと意気込んだ時、後ろから誰か走って来た。
「すみません、職員室に呼ばれていて遅れました」
"ゆうき"という黒長髪の女子だった。
「で、では、次は神坂さんでしたが、本来花霞さんの方が順番が早いので、さ、先に測定しましょう」
いや、何でだよ、と突っ込もうとしたが、もう既に測定は始まっていた。
「ろ、6番、花霞 空さん、魔力量"1374"、属性は"風"です」
Z組、そして近くで測定をしていたクラスの人達が驚愕した。
そして、久我も大きく口を開けて驚いていた。
「おい、マジかよ」
「あいつ、1000超えだってよ」
「あいつ絶対"ホシモチ"だろ」
久我の約二倍、周りの反応から見て相当凄いことなのだろう。
しかし、周りの声から聞こえた"ホシモチ"とは何だ。聞いたこと無い言葉だ。
そして、ようやく俺の番が回ってきた。
俺は専用の機械に手をかざした。
「エ、エラー?」
機械の画面には"エラー"という文字が表示されていた。
「も、もう一度お願いします」
またエラーが表示された。何回試してもエラーが出る。
隣りのクラスの機械でも試したが、同じ結果だった。
「あ、あれれぇ、おかしいなぁ。機械の故障かなぁ」
藍田先生は次の番の生徒で試した。
俺の次はあの口うるさい茶髪の女だった。
「さ、35番、睦見 来海さん、魔力量"439"、属性は"水"です」
何の問題も無く表示された。その次の人も、またその次の人も問題無く測定された……。
俺は自分の魔力量も属性も分からないまま、後回しにされた。
黒長髪の女子が花霞空という名前で、魔力量が普通より多いことは分かった。あと、茶髪の女の名前も。
だが、俺の事は何も分からず、更に謎が深まっただけだった。
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