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守和流剣術と4年の月日

源流を見に行ってから数日が経ちました。太郎達は3人それぞれ、色んな事を考えていましたが、刀がどこにあるのかも、桃石が何なのかもわかりませんでした。

そんなある日の午後、おじいさんと一緒に薪割りをやっている太郎が口を開きました。


「ワイが産まれたのはなんでなんやろか」


「なんや、どういうことや」おじいさんは太郎に言いました。


「ワイは150年間産まれへんかったわけやろ。せやのに、なんで産まれたんやろか」


「さあなぁ。なんか理由があるんかも知れんな。でも、ワシとばあさんは、太郎が元気に育ってくれたらそれでええと思っとる」


「うん・・・。ありがとう」


日差しがキツイ中、2人は協力しながら薪を割りました。太郎は何も言わずに黙々と作業していましたが、おじいさんは太郎の頭の中がグルグルしてる事をわかっていました。そんな太郎の姿を見ておじいさんもたくさんの事を考えました。最後の1本になった薪を切り株の上に乗せながらおじいさんは口を開きました。


「なぁ、太郎。剣術、習ってみんか?」


「え・・・?」太郎は手を止めました。


「剣を知れば、あの刀の理由がわかるかもしれんやろ?」


「150年前にお父はんが埋めたやつ?」


「せや。今わかってんのは、刀が何か意味があるかもしれんって事や。それが分かればお前が産まれた理由に繋がるかもしれん」


「それはそうやけど・・・」


「どうしたんや」


「道場行ったら、手伝いとかあんまり出来へんくなるかもしれん」


「そんなもん気にせんでええ。お前が産まれる前までずっと2人でやっとったんや。やりたいんか、やりたくないんかどっちや」


「・・・やってみたい」


「よっしゃ。ほな決まりや。明日、道場行こか」


翌日、おじいさんと太郎は隣村にある剣道場に行きました。そこの道場は小さく、建物も年季が入っているもので、流派は守和流というあまり知られていない物でした。門下生は3人のみ、師範も年老いた男だったので、太郎は少し不安になりましたが、稽古を見てその不安は吹き飛びました。


師範の動きは目で追えない程速く、浮いているように移動し、静かなのに力強い。太郎は師範の稽古を見て目を輝かせました。そんな太郎の姿を見ておじいさんは少しホッとし、剣術を薦めて良かったなと思いました。


それから太郎はほぼ毎日道場に通い基礎から剣術を学びました。師範の稽古はとても厳しかったのですが、太郎は弱音を吐くことなく鍛錬に励みました。来る日も来る日も太郎は木刀を振り、兄弟子に倒され、傷や痣を作りました。どんどん増えていく傷におじいさんとおばあさんは心配になりましたが、太郎は楽しそうに笑い、そしてたくましくなっていくので、何も言わずに太郎の成長に目を細めました。


そして、太郎が稽古を始めてから4年の月日が経ち、季節は夏の終わりになっていました。背も伸び、体つきもがっしりした太郎は、兄弟子たちにはもう負けない程の腕前になっていました。そんなある日の稽古終わりに、師範が帰り支度をしている太郎のもとへ来ました。


「明日、ワシと打ち合おう」


太郎は、4年間1度も師範に稽古をつけてもらった事がありませんでした。太郎は凄く喜び、家に帰るとおじいさんとおばあさんにすぐ報告しました。その話を聞いて自分の事のように2人は喜びました。明日が楽しみだとワクワクしながら太郎は眠りにつきました。

今回も読んで頂きありがとうございました!

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