表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/35

ハナマルサスケ

鬼の姿を見た太郎は驚きながらも冷静に頭を働かせようとしました。今、目の前にいる鬼は黄色い鬼で背は太郎と変わらないくらいで青鬼や記憶の中で見た赤鬼よりはかなり小さい体格でした。


「戦ってみやんとわからんけど、この程度なら倒せるか?」太郎は刀を抜きました。


それとほぼ同時に黄鬼が襲いかかってきました。小さいので重心は低く足元から浮きあがてくるような攻撃で、太郎は右後方に飛び避けました。この一撃と鬼の出す殺気を感じ取った太郎は黄鬼は青鬼よりもかなり弱いと判断しました。「いける!」太郎がそう呟き、黄鬼に斬りかかろうとした時、ハナの声が聞こえてきました。


「太郎はん!道の先にも鬼がおる!」


「え?」太郎は攻撃するのをやめ、ハナたちの方を見ました。


すると、そこにはもう1匹の黄鬼が立っていて、ハナやサスケと近い位置でした。


「双子!?あかん!逃げろ!」太郎は叫びました。


しかし、2体目の黄鬼はハナたちに向かって襲いかかりました。ハナとサスケはとっさに左右にわかれて攻撃を避け、ハナは黄鬼の右足に噛みつき、サスケは左目をひっかきました。


「があああ!」と黄鬼は声をあげ動きを止めました。


「やるなあいつら!」太郎はハナたちの戦いを見て、わずかな時間なら耐えられると判断し、目の前の黄鬼をまず倒そうと思いました。太郎は刀を振り上げると黄鬼の左肩めがけて振り下ろしました。黄鬼は左腕を前に出し体を守ろうとしましたが、出した腕は斬り落ち、体にも僅かながら刀が入りました。


「ぐうう!」と声にならないような唸り声をあげ鬼は後ろに下がりました。


太郎は刀を見ました。「斬れすぎやろこの刀・・・」そう言いつつ黄鬼を見ると凄い形相で太郎を睨んでいました。


「なんや、恐怖という物がないんかお前らは」太郎が斬りかかると、それに合わせて黄鬼も右手で攻撃してきました。それをしゃがんで避け鬼の右脇腹から斬り上げようとした時、左の回し蹴りが飛んできました。太郎はなんとか直撃は免れましたが右腕をかすめ、着物の袖が破れました。


「右腕の攻撃は囮か。なかなかやりおる。でも、時はかけられん!」太郎はもう1度踏み込んでいきました。黄鬼の速さを体感した太郎はさっきよりも1段階速度を上げ、黄鬼は反応しきれませんでした。振り下ろした刀は黄鬼の体を完璧に捉え、黄鬼は前のめりに倒れました。


「よし!」そう言って太郎が振り返ると、ハナは木の根元に倒れ、サスケは鬼に首を持たれ持ち上げられていました。そして、黄鬼の右手が振り上げられサスケに鋭い爪を突き刺そうとしていました。


「あかん間に合わん!」


そう太郎が叫んだ瞬間、空から小さい物体が振ってきて、サスケの口に入りました。


「助けてー!!」サスケが叫び声を上げると、次は空から大きな物体が降ってきて黄鬼の左腕から血が吹き出しました。同時にサスケは地面に落ち、ハナのところまで逃げました。何が起きたのかと太郎が目で追うと、降ってきた物体は近くの木の枝に止まりました。その物体は見覚えのある鳥でした。


「お前、マルか?!」太郎が叫びました。


「あんたは、家に来てた男だな」マルは言いました。


「吉之助殿の所のハヤブサ・・・。なんでここに」


「ここはオレの縄張りでいつもいる場所だ。こんな話より、そこの鬼を倒すのが先なんじゃないか」


マルに言われて太郎は黄鬼に視線を移しました。「せやな!倒してから話そう!」太郎はそう言うと走り出し、黄鬼を斬れる距離まで詰め、刀を振ろうと右手に力を込めた時、黄鬼は首から血を流し倒れました。


「遅いな」マルは鬼を挟んで反対側の木の上に止まり鼻をならしました。


「マル殿ー!!」ハナとサスケが声を揃えて飛び跳ねていて、それを見た太郎は刀を鞘に戻し、全員無事で良かったとホッとしました。

今回も読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ