会いたくない同類
1842年。
トラファルガー広場で、佇んでいると空から降り立った一体の吸血鬼が私に声を掛けてきた。
「フィーリナ、こんなとこにいたの?眷属はどこに隠しているのかしら」
「ディグニファイドか。こんなところまで来て、何の用だ?殺されたいのか」
「まぁまぁ……そんな大口を叩けるようになったのね。わざわざロンドンまで来たのは殺されに来たんじゃないわ。人間は確保できたの?」
「その辺にいるやつを襲うわ。アンタに心配されずともな。用が済んだら、消えろ!」
フィーリナに歩み寄って、腕を伸ばせば触れられる距離で、脚を止めた彼女。
「まだ趣味の悪いドレスを着ているのか?全く……お前とは何もかも合わんな」
「言ってくれるわね。ホレーショが右腕を失って、隻腕に隻眼になったのはご存知かしら?」
「何が言いたい。お前の話しは無駄が多いぞ。簡潔に喋れ!」
ディグニファイドが私の周りを一周して、前に来ると立ち止まる。
前に立ち止まったディグニファイドが腹に蹴りを入れた。
「うぐはぁっ……何か気に障ったか?お前が武力行使に訴えるとは……ハハハ。謝りはしない」
私はよろめき、後方に飛んで逃げたディグニファイドに挑発をした。
私は距離を置いたディグニファイドに一方通行な言葉を吐いた。
「やり逃げとはね……くえない奴よ、アンタは。ホレーショを悼めば良いのかしら?アンタ、食糧を側に置かずに良かったの?」
「もう帰るわ。つまらないモノだったわ、全く」
ディグニファイドが背中を露出したドレスのまま、飛び去った。
真っ赤に染まったドレスを着たディグニファイドを嘲笑しながら、見送った。
フィーリナもトラファルガー広場から飛び去って、空を飛んでいく。




