第17話:冒険者はとりあえずビールのノリでとりあえずダンジョンを探検する08
五層目と六層目ではモンスターとの戦いは何度かあったが、三層目でゴブリンライダーを倒したアレン達の敵ではなかった。そこでの攻略の様子は特に解説することもないつまらないものだったので割愛させていただく。
道のりはわかりきっているので階段を目指してまっすぐに最速で突き進む。襲ってくるモンスターも最後の方は適当に不意打ちを喰らわせ、怯んだ隙に真横を突っ切りろくに相手をしなかった。
そしてとうとうクロノス達のパーティーは、ダンジョン洞窟茂りの最下層である七層目に到着したのだ。
「さん、に、いち…やったーゴールだー‼…あれ?この部屋だけ?」
階段の残りの段数を数えながら降り切ったアレンは、ゴールにたどり着いた喜びで両腕を上げて元気に叫んだが、次に目にした光景を前に呆気に取られてしまう。
最深部にあたる七層目は階段から降りてすぐの場所に、木々の枝葉が密接に重なり合うことでできている壁で囲まれた小部屋があるだけだったからだ。そこはアレンが通っている学校の自分の教室と同じくらいの広いようで狭い部屋だ。他の場所へ繋がるような通路もない。
「だから言ったろ。最後の七層目はダンジョンの核が置いてある部屋だけだって。六層目を突っ切た時点で攻略は完了していたようなものだ。」
「なぁんだ。じゃあもう警戒する必要はないんだね。」
このダンジョンには最終階層を守っている強力なモンスターである守護者もいない。これ以上の戦いはせずにすむと、アレンは武器と荷物をその場に降ろして身軽になった。
「見て見ろアレン。あれが…」
「おー、あれがダンジョン核なんだね。」
部屋の中央に唯一あった置物の石造りの台座。その上には三メートルくらいの大きさのひし形の石が置いてあった。置いてあるというか石は台座から浮き上がり宙を静かに漂って回転している。それは青色に光を放っていてなんだか神秘的だ。光は規則的に点滅しているように見えたが、ときどきそれが不規則になり、それがまるで生き物が呼吸をしているかのように見えてなんだかおもしろい。アレンは近づいてずっと石を見つめていた。
触り心地が知りたかったのでアレンがクロノスへ許可をもらおうとしたが、彼は頷くだけで止めもしなかった。ダンジョン核に触れるのは自由にしていいらしい。さっそくとアレンが手袋を外してゆっくりと回る核の一面に直に手を乗せてみると、それはすごくひんやりとしていて、それでいてすべすべの触り心地だった。今までの人生で触ったことのあるどんな石のものとも違った感触だ。触るために近づいて気付いたが、石の周囲は見えない壁に阻まれているとか、近づきすぎると防衛機構が働くとかそんなことはないようだ。アレンが石に近づいて表面をよく見てみると、点滅の光が消えるタイミングと出始めるタイミングで、石の表面に模様が刻まれていることにも気付いたが今は触り心地を感じるのが優先で気にも留めなかった。
「ほへー、なんか不思議な触り心地。癖になりそう。」
「アレン。核に変なところはないか?」
「変なとこ?触り心地とか形とか気になることはいくつもあるけど、変ってほどじゃないかな。もしかして触っていると自分の魔力を吸い取られてダンジョンのエネルギーにされちゃうとか?」
「そんなことはない。触るだけだったらなんら問題はないんだ。…そうか。アレンにはなんともないか…」
「…?」
会話の後半が独り言になりつつ、クロノスもダンジョンの核に自らの手で触れていた。手に伝わる感触にうんうんと頷いて顎に指を置いている。クロノスの違和感のある態度にアレンは首を傾げた。
核を見ていた二人の所へ、リリファがやってきた。彼女もダンジョン攻略の緊張の糸が切れたのか、装備をすべて外して楽な状態になっていた。
「クロノス。帰還の魔法陣の設置はいいのか?」
「ああそうだった。…前に置いた形跡もなさそうだな。やっぱり最初から誰も設置していなかったんだろう。中途半端なのが残っていたら魔法陣が競合するから前のは撤去する必要があったが、これなら新しく設置するだけだな。」
「魔法陣の設置をすれば帰りが楽になるから今後このダンジョンにももう少し利用者が増えるかもしれないな。」
「…そうだな。」
「なぁ、帰還の魔法陣だが…私が設置をやってみたんだが、やってみていいか?」
「そうか。それならやってみてやり方を覚えな。難しいものじゃないから魔術の才能がなくても誰でもできる。セーヌが魔法陣の設置法を知っているはずだから置き場所を二人で考えてここだと思った場所に設置するんだ。」
クロノスにわかったと言ってリリファは荷物を見ていたセーヌの元へ向かう。そして事の次第を伝えて彼女から帰還の魔法陣の巻物を受け取って、二人で設置場所を探しに行く。
「やはり階段のすぐ下がいいか…それとも一番奥の向こうに…」
「ここにはモンスターも罠もありませんからどこへ置いても大丈夫でございますよ。」
「しかし置いてすぐだとダンジョン核を見ないで帰還することになる。自分達が攻略したダンジョンの核を見てから帰る方が余韻に浸れていいんじゃないのか?」
二人が魔法陣の設置を終えるまでクロノスとアレンはやることがない。アレンがダンジョン核に興味津々で目を離さなかったので、クロノスも暇つぶしに核を眺めることにした。
「んー、もう触るのはいいかな。よっと…」
アレンはしばらく核を触っていたがやがて飽きたようで手を離して地べたに座った。セーヌが置いていったなんでもくんの中から食事のパンと水筒と取り出して、それを食べながらダンジョン核を眺めている。触るのは済んだようだが見てるぶんには飽きがこないようだ。
「ダンジョンの核っておっきいんだねー。珍しい石ってのもあるけど、街の中にここまで大きな石は置いてないから新鮮な光景だよ。」
「そうか?この程度の核なら大したことないぜ。」
「え?」
「これでも小さい方だ。もっと階層があるダンジョンのヤツはもっと大きい。」
「そうなの?これでも十分に大きなサイズだと思うけどなぁ。」
「こんなもんじゃない。もっと巨大で、かつ複雑な形をしている。そのうちもっと高難易度のダンジョンに挑むようになったらその目に焼き付けるといい。この程度で感動しているならもっと上を目にして感動で胸が破裂してしまうかもな。」
「そうなんだ…そういえば核の石の表面にはなにか模様が刻まれているね。」
さっきは触るのを優先して後回しにしていた核の表面に刻まれた模様。今度はこれが気になってクロノスへ質問した。
「この模様って文字なのかな?」
「文字なんだろうな。あいにく古代魔術語ですらない。もっともっと古い時代の、だれにもわからない代物さ。もしかしたらダンジョンを創ったのが本当に神様で、彼らが使っている言葉なのかもしれない。この刻まれた文字こそが核以上にダンジョンの本体なんだ」
「どういうこと?」
核のあちこちに刻まれた模様をひとつずつ見つめながら首を傾げているアレンに、「これは俺の数少ない、そしてアクの強い友人の一人に聞いた話だが…」とクロノスは説明をする。
「この核の石の大きさがこのダンジョンの大きさや複雑さを決める「容量」で、使われている石の種類がダンジョン内で何をつくることができるか決める「目録」。そして刻まれている文字がそれらを出すための「命令」なんだそうだ。」
「…?つまりどういうこと?」
「ええとだな…例えば君が神様で、これからダンジョンを創るとする。ダンジョンを創るならまずは核が必要だ。ダンジョン核を一枚の紙に例えるんだ。」
「うんうん。」
「その紙に君が書いたこと、命令は実際のダンジョンに反映される。「このダンジョンは全部で三階層」、「一階層目にはゴブリンとウルフが出現。出現率は六対四」、「二階層目には宝箱のある隠し部屋を用意」、「最後の三階層目には守護者のトロルを一匹出現させる」、「ウルフは群れで出現しやすく侵入者を執拗に追う」、「宝箱の中身は三割の確率で外れ」…そんな感じでいろいろ決めていっては紙にどんどん書いていくわけだが…これらはとうぜん君の頭の中の知識をもとに考えたものなわけだ。君は「インバウメントスライム」や「キメライズバフォメット」といったモンスターを知らないだろう?そんなものを出そうとしても出せない。」
「何そのモンスター。確かにおいらは知らないよ。そもそもおいらが知らないわけだから最初から書き込めないよ。」
「そう、君が知らないものをイメージできないように、ダンジョンもまたダンジョンが知らないものを用意することはできない。もし君が命令を聞く側のダンジョン核だとして、それらを用意してくれと神に言われたって困るだろう?そんなもの知らなくて作れないんだから。そして紙の大きさには上限がある。従ってあれこれ書きまくれば紙はたちまち文字でいっぱいになりそれ以上は何も命令を書き込めなくなる。これが容量の限界。」
「うーん…つまりダンジョン核が大きくて質が良いほど、複雑でいろんなことができるダンジョンを創れるようになる。そんでつくれるのは神様とダンジョン核がお互いに知っているものだけ。でもその知識と経験が豊富なほど強力な罠やモンスターを出現させることができるし、同じようにお宝もいい物を用意できるってわけだね。なんとなくわかったような気がするよ。」
「俺の適当な説明で理解できるか。やはり君は賢いな。」
「けっこうわかりやすいから自信もっていいよ。クロノス兄ちゃんって戦いの教え方はアレだけどそれ以外は物知りだし…あれ?いまここ…あ、また…」
アレンが文字の一つを眺めていたらそれが突然にすぅっと消えた。そして最初あったのとは違う文字が新たに出てきた。石全体を見渡してみれば、どこかしらで常に同じようなことが起こっているのだ。さっきまで気づかなかったそれを、もしかしたら自分がやってしまったのかもしれないとアレンは慌てる。
「勝手に文字が別のに変わっちゃった‼お、おいら何もしてないよ‼」
「別に君の行動で文字が書き換わったわけじゃない。ダンジョン核が自分で修正を入れたんだ。ダンジョンはまるで生き物のように常に動いている。俺達が暴れて壊した場所、動かした仕掛け、倒したモンスター、そういうものが復活したり、神の命令に基づいてダンジョン内部の構造を微妙に変えたりしているんだ。」
「なーんだ。そういうこともするんだ。ますます生き物みたいだね。…ねぇ、もしもこの文字の意味を理解して、そんで書き換えることができたら、ダンジョンを自由にいじくりまわせるってこと?石をナイフか何かで掘れば人間でも文字を刻めるよね。」
「そういうことかもしれないな。冒険者ギルドやいろんな国の研究機関が調べているが、完全には解明されていない。わかっているのはダンジョンの核は人間の持つ技術力ではどうすることもできないってこと…そしてどうやっても再現できない謎の力を与えてくれる場所ってことだけだ。…ここへ入る前にダンジョンの核を破壊されることがあるって話をしたろ?実は冒険者の中にもダンジョン核を積極的に破壊したがるモノズキはいる。そもそも大昔は神が与えた試練であるダンジョンは、核を壊すところまでが試練であるとされていたらしいからな。壊すことで核の力を得てより強い生き物になるという言い伝えもあるわけだし…」
「それって「スキル獲得」のためでしょ?冒険者の兄ちゃんから聞いたことがあるよ。ダンジョンの核を壊すと「祝福の宝玉」を割ったときと同じ力が得られるんだって。」
ダンジョンではときどき「祝福の宝玉」と呼ばれる不思議な珠がお宝として見つかることがある。これは人間に祝福を与えるというもので、使った者は宝玉に封じられたスキルを得ることができる。
例えば筋力が倍になる「筋力倍増」、魔術の才能を引き上げより強力な魔術を習得できるようになる「魔術の才能」、暗闇でも昼のように明るく見えるようになる「暗視」、水中でも少しの間呼吸ができるようになったり「水中呼吸」、あらゆる毒に耐性ができるようになる「毒耐性」などなど…スキルの効果は様々だし、中には人間が生きているうちには絶対に得ることができない才能も入っている。
これらのスキルを習得することは冒険でも大変役に立つし、スキルの種類によっては冒険者以外でも欲しがるようなものはいくらでもいるので、祝福の宝玉は定期的に開催されるギルド主催のオークションの目玉として高い値段で取引されている。強力なスキルのオーブを一個売れば生涯遊んで暮らせると言われているほどだ。その分祝福の宝玉はダンジョンでもレアアイテム中のレアアイテムでめったに見つかることはないのだが。
スキルのオーブがダンジョンによってつくられているものなら、ダンジョンの力の源である核を破壊すればその祝福の上位の力を手にすることができるのでは?そういう考えからダンジョンを攻略して核の破壊を試みる冒険者は時々いる。
「実際それが本当ならもっとたくさんの冒険者が核を壊すから、ダンジョンもどんどんなくなるんじゃない?」
「どうなんだかな。オーブなら鑑定の技術を持つ人間に見せれば、どんなスキルを手に入れられるのかが事前にわかるが、核は破壊してどんなスキルが手に入るかもわからない。もしかしたら手に入ったと思い込んでいるだけで、実際は何の恩恵もないのかも。俺もダンジョンの核を破壊する機会が何度かあったが、何か新しい力が手に入ったという実感はぜんぜんなかったな。どんなものが手に入るか…そもそも本当に手に入ったかもわからないスキルよりも、ダンジョンを残しておいてまた挑戦できるようにするのが有益だろう。大半の冒険者はそれを知っているからわざわざダンジョン核を破壊しない。」
「ふーん。」
「おいクロノス。帰還の魔法陣の設置終わったぞ。」
「…」
帰還の魔法陣の設置を終えたリリファとセーヌが戻ってきた。どうやら作業は何事もなく完了したらしい。二人ともパンを食べてこちらの会話が終わるのを待っていたようだ。
しかしリリファに呼ばれてもクロノスはダンジョンの核をじいっと見つめたまま、動かなかった。形や大きさはダンジョンごとに異なるが、ベテランのそれなりに優秀な冒険者のクロノスにとってはこれまで攻略してきたダンジョンの無数の核のひとつにすぎないはずだ。
それなのにクロノスはただダンジョン核を見つめ続ける。正確には、表面の文字を見ているような気がする。とにかくリリファが何度も呼び掛けても全く反応を示さないのだ。
「(うーん…やっぱりこれは…)」
「おい、終わったぞ。」
「うわっ、」
ダンジョン核とクロノスの間にとうとう業を煮やしたリリファが割り込んできて無理やり注目させた。さすがにそこまでされたら気づく。クロノスもやっと反応していた。
「さっきからこの文字をずっと眺めてなんなんだ。もしかしてクロノスはこの文字を読めるのか?」
「…あ?読めるわけないだろ。読めたらその知識を活かして大儲けだ。なにせ書き換えればダンジョンに出現するモンスターや宝を自由にいじくれるわけだからな。さてと…」
齧っていたパンの最後のひとかけらを飲み込んで、それを水筒の茶で流し込んだ。クロノスはそれから仲間達へ確認する。
「この部屋にも核にも異常はいっさいなし。これまでの攻略で空白エリアの地図も埋めた。先へ続く隠し通路のようなものも見渡す限りでなさそうだ。」
「私もセンス・サーチを使ってみたが異常のある個所はなかった。そこらの木々を燃やしても何もでてこないだろう。」
「ならこれで俺達のダンジョン攻略は無事完了したわけだ。死傷者も出さずに済んでよかったな。」
「アレンにダンジョンポーションを使ったから、モンスターのドロップアイテムや魔貨を売っても収支の割合はゼロに近いがな。」
「うっ、けっこう気にしているんだから言わないでよリリファ姉ちゃん。」
「まぁまぁ。それでも収入がないわけではありませんし、冒険者のランク昇格点も入りますから。まったくの無駄というわけではないのでございますよ。」
「セーヌの言う通りだ。今日のダンジョン攻略は決して無駄でも徒労でもない。冒険者として有意義なものだったろう?」
「うん‼」「ああ。」
今回攻略したダンジョンは罠やモンスターのバランスがよく、戦いの仕方や罠の解除など二人にとっていい経験になったはずだ。この経験は他のクエストやダンジョン攻略でもきっと活かされることだろう。
「じゃあ後は帰還の魔法陣の設置が正しくできてるか実際に使ってみて調べてだけだ。それで今回のダンジョン攻略は完全にお終いだ。」
「もし魔法陣が間違っていたりしたらどうなるの?」
「全身がバラバラになったり空間の狭間に閉じ込められて一生出られなくなったり…なんてな。んなことねぇよ。忘れ物はないか?忘れると二度と戻ってくる保証はないぜ。荷物まとめたら魔法陣に乗りな。」
それだけ伝えたクロノスが真っ先に帰還の魔法陣に乗ると、地面の魔法陣から放たれる淡い光が少しだけ強くなり、上にいたクロノスの姿が消える。それを追ってアレン、リリファ、セーヌの順に魔法陣に乗って七階層目から立ち去った。
―――
クロノスの言った通りで帰還の魔法陣に乗ると、すぐに洞窟茂りの一番最初のところに設置した帰還の魔法陣の真上に何事もなく転移した。何人かいなくなっているとか、体の一部が消失しているとかそんな恐ろしいことはひとつもなかった。
すぐ近くの空間の裂け目に入り、現実世界の洞窟まで戻ってくる。真っ暗な洞窟の中で出迎えてくれた壁に設置されたランプの炎が、どこか懐かしく思えた。
ライセンスカードで洞窟への侵入を防ぐ特別な壁を消して洞窟を抜けると、すでに辺りは真っ暗だ。空には星々が瞬き、真っ暗な森の中でフクロウがほうほう鳴いている。月明かりは出ているが、それが雲で隠れてしまうと洞窟の中となんら変わりないくらさだ。
「わぁ、もう真っ暗だ‼今何時くらい!?えっと…‼」
アレンが空を見上げて星を探す。季節の星の位置でだいたいの時間はわかるものだ。旅人や冒険者はそうやって時間を知るのだと星の勉強も少ししたアレンは、目印の星を見つけてそれを月の場所と比較しておおよその時間を求めた。
「…まだ閉門には間に合うな。ねぇ、急いで帰らないと街の大門が閉まる時間になるよ‼締め出し食らっちゃう‼」
「夜の森にはモンスターも出るぞ。諦めて洞窟の中でゆっくり一晩明かせばいいじゃないか。食料もあることだし。」
「少なくともこのダンジョンより強い敵なんて出ないよ‼いまならクマだってやっつけられるやい‼」
命のやり取りをしたアレンからしたら、夜の森なんて怖くない。ダンジョンの攻略を終えた自身ですっかり肝っ玉のできあがりだ。というかアレンはギルド印のクソ不味い保存食を食べたくないのだ。塩の味と防腐剤の臭いで元の食材がなんであるのかわからないあんなモノはごめんだ。少なくとも森の中で幽霊に遭遇するほうがマシだろう。
「おいらは街の中であったかいスープにパンをひたして食べるんだい‼そら、おいてっちゃうよー‼」
「どうせ夜になってるだろうから一晩明かす予定だったんだが…まぁいいか。最後にひと踏ん張り、全力で帰るか。モンスターに襲われても戦う気力は残っているな?」
「ああ。」
「はい。」
早く早くと急かすアレンの背中に暗いから足元に注意しろよと言って、クロノス達もその後を追った。
ダンジョン攻略は拠点へ帰るまでが攻略だ。ましてやここはモンスターの蔓延る森の中。街へ入る最後まで気は抜けない。




