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猫より役立て‼ユニオンブレイブ  作者: がおたん兄丸
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第9話:改めて、知る09


――――――――――――

クエスト名:オークを討伐して村を解放せよ‼

管轄支店:冒険者ギルドブラウコッタの街支店

依頼者:チャロ村村長

実行地:ノポラ山のチャロ村

受注条件:オークと交戦可能な冒険者パーティー

難易度:A(Cから格上げ)

達成条件:オークの群れの撃退 

特筆事項:クエスト難易度見直しにより難易度CからAに格上げ

 

 チャロ村を襲い村を乗っ取ったオークの群れを討伐して、奴らから村を奪い返してください。オークは危険なモンスターなので、生き残りがいても村からすべて追い出すことができればクエストは達成とします。森へ逃げたオークは深追いしなくて構いませんが、もしもオークを全滅させることができればしばらくは村が安泰になるので、それが可能な場合は追加の報酬をお支払いします。

*追記

 先にクエストを受けた冒険者パーティーが壊滅し、クエストに失敗しました。群れのオークの数が予想よりも多かったことが判明したので、クエスト難易度をCからAへ格上げします。それにより達成報酬と査定点の上方修正が入りますが、難易度が大きく上がっているので受けようと思っていた冒険者も更新された情報をよく確認したうえで改めて受注するか考え直してください。命あっての物種です。しかしながら村を奪われた村人たちにとっては明日生きられるかどうかの死活問題であるため、世のため人のため正義を成さんと義を抱く実力のある冒険者は、人助けだと思ってどうか受けてくださることを切に願います。


・達成報告

クエスト達成をした冒険者:クロノス・リューゼン(S級・猫の手も借り亭)

 難易度が高すぎるとブラウコッタの街の冒険者は誰も受けてはくれませんでしたが、ミツユースから派遣された高ランク冒険者によって村を占領するオークは討伐されました。逃げ遅れた村人および先にクエストを受け失敗した冒険者は残念ながら全員死亡していましたが、本来の目的である村の奪還は無事成功するとができました。彼に受注を勧めてくださった専属担当職員には感謝してもしきれません。

 冒険者クロノスの証言では群れは村で全滅させ一匹も森へ逃がさなかったとのこと。ギルド職員が現場に同行して討伐の様子を直接確認していることと、彼の実績から信用に足る証言であると判断します。管轄支店には討ち漏らしのオークを探すよりも優先して村のオークや人々の死体の片付けを行うクエストの発注を要請します。

 それと同行した職員による交渉の結果、クエストを達成した冒険者クロノスへ支払う報酬は相場相応で納得してもらうことができました。報酬は村の再興を待ってゆっくりと支払ってもらえばよいでしょう。ギルド側のせめてもの誠意として高い査定点を冒険者クロノスに付与することを要望いたします。

 

――――――――――――



 こけこっこ~‼


 ミツユースの街にまた朝がやってきた。街の一番雄鶏がいつものように元気に鳴いて朝の訪れを皆に知らせる。


「せいっ‼やっ‼とぉっ‼」


 そして猫亭の裏庭では団員のイゾルデがいつものように大剣パーフェクト・ローズを振って朝稽古に励んでいる。それをいつものように池のカメガモの親子ががあがあぴよぴよと眺めつつ池の魚を突っついていた。


「今日も絶好調ですわ‼これならばどんなモンスターとも渡り合えますの‼昨日はトレント一匹に油断してしまいましたから次はぬかりなく…‼」

「…君は本当に頑張り屋さんだな。冒険者なんだからたまにはサボるくらいでも…まぁ毎日稽古に励む冒険者もある意味個性的でいいか。」


 イゾルデが一休み入れていたところに、クロノスが裏口の扉を開けてそこから戻ってきた。手には土色の大きな包みを持っている。


「おはようございますのクロノスさん‼貴方こそ精が出ますのね‼」

「出ますっつうか、出してきた後っていうか…」

「そういえば昨晩は緊急のクエストへ向かったとか。いったいどちらまで行っていらしたんですの?昨日はミツユース管轄内での緊急のクエストはないと聞き及んでいましたが。」

「あー、それは…どこだっていいじゃないか。ほら、朝から頑張る元気な子猫ちゃんへお土産だ。」

「おみや…ってなんですのコレは!?腕!?しかも臭いですわ‼」


 クロノスが包みを地面にどすんと置いてそれをあけると、そこには大きな、人のものではない腕が一本あった。どす黒い緑色に変色しているしとにかく臭い。その臭いでイゾルデは思わず顔をしかめた。


「オークの肉だ。珍味らしいぞ。本当ならもっといい処理の仕方があるんだろうが、いい感じに血抜きができていたのがこれくらいしかなかったもんでな。」

「オーク…危険なモンスターであると聞いたことがありますわ。いったいどんなクエストをしてきたんですの…」

「少しは強かったかな?まぁ彼らよりも俺の方がそれなりに強いな。」


 こうしてクロノスは猫亭へ帰ってくる。血と死の臭いを体中に染みわたらせて。

だがそれには誰も気づかない。気づかないからクロノスは日常を送るのだ。


「そうそう、これお返ししますの。どうせ朝に戻ってくるだろうと思っていたので出しておきましたわ。」


 そう言ってイゾルデがクロノスへ渡してきたのは一冊のノートだった。これは猫亭のクランとしての活動を取りまとめた活動報告書だ。本来であればクランリーダーが責任を持って書き入れて冒険者ギルドへ提出しなくてはならないのだが、猫亭ではクロノスの思い付きで活動報告書を団員で交換日記のように持ち回りで書くことにしている。…決してクロノスが書くのが面倒だから団員へ投げたわけではい。断じて。


「他のクランではどういう決まりかは存じませんが、あたくしは良い取り組みだと思いますの。団員によって書き方に個性が出るので面白ですし、意外な着眼点に気付くことだってできるかもしれませんしね。」

「ああそうさ、その通り。俺もそう思ってこういう風にしたんだからな。ハハ‼…さて、今回のタイトルは…「改めて、知る」…ねぇ。」

「あら、よくなかったですの?」

「いや、ぴったりのタイトルだと思うぜ。どれ…」

「おはようございます。セーヌ・ファウンボルト本日も務めを果たしにまいりました。」


 クロノスがページをめくり昨日の不在時の団員達の同行を確認しようとしたそのときに、いつものようにセーヌが朝食をつくりにやってきた。後ろにはお手伝いの女の子が二人控えている。


「おや残念。セーヌ嬢の手伝いをしなければならないからこれは後のお楽しみだな。」

「食事中にでも口頭でお伝えしますわ。それと今日はダンジョンへ連れて行ってもらう予定ですの。」

「それはいい。少しずつ確実に学んでいけば、きっと未来のスーパー冒険者だ。そのへんも含めていつものように朝食の後でミーティングをしようじゃないか。」


 クロノスは報告書をしまい、オークの腕を包み直してセーヌやお手伝いの女の子たちと猫亭の中へ入っていった。それを見届けてからセーヌも朝食に呼ばれるまで、またしばらく剣を振り続けた。


 こうして猫亭のいつも通りの一日が始まるのだった。




――――――――――――――

・冒険者プロフィール

氏名:クロノス・リューゼン

性別:男

年齢:25歳

ランク:S級

クラス:剣士(ソーディアン)

現ランクでのクエスト達成率:98.7%

冒険者としての総合評価:とにかく優秀。機嫌を損ねなければギルドに忠実な犬


 「終止符打ち」の二つ名を持つ冒険者。冒険者ギルドが認定しているS級冒険者の中でも、特に高い実力を持つ冒険者で、圧倒的な戦闘力を誇っており、冒険者業界内でも単純な強さだけなら「酒場の冒険者最強議論」で「利き手で数える五本指の最初の三本」に確実に入ると言われるくらい有名。名前だけなら冒険者の間で知らぬものはいない。

 中性的容姿が特徴的でたまに女性に間違えられることもある。そのため二つ名が出回りだした頃は「終止符打ち女性説」なんてものがあったほど。現在では有名になったので彼が男であると知られているが、それでも正体を知らない者は勘違いして口説かれることもあるらしい。もちろん本人はソッチの趣味は持ち合わせていないのでそれに応じることはない。次の日の朝にゴミ捨て場に頭を突っ込んだ馬鹿が見つかるだけだ。

 大陸の普人族にしては珍しい紅色の瞳の持ち主で、これが力の秘密ではと考えた者達もいたが、眼自体はごく普通のつくりで特殊な力を持つとされる魔眼(まがん)の類ではないことはギルドの調査によって判明している。本人も目立った症状の自覚はなく、単に珍しい色というだけの普通の瞳ということで決着がついている。

 これまでのクエストの実績や冒険者としての活動の功績は枚挙にいとまがない。受けるクエストに好みはないようだが、モンスター討伐や犯罪者の捕縛・殺害の実績が目立つ。

 他の冒険者とパーティーを組まずに一人で活動を行う単独(ソロ)の冒険者。クランやパーティーのしがらみがないので、突発的に発生する緊急クエストも即座に対応可能。ギルドが手を妬いている誰も受けなくなった残飯クエストを報酬に関わらず積極的に受けてくれるので、ギルドとしては大変重宝している。

 神出鬼没で大陸中で目撃例がある。変わったところでは東の果てにいた次の日に西の果てにいたなんて報告もされている。このことから彼が各地にある古代遺跡から転移魔術装置を持って移動をしているなどという説もあったが、本人はそういった魔道具の所有を否定。単に頑張って走っているだけと述べているが真偽は不明。

 大変ありがたい冒険者ではあるのだが、懸念がひとつ…実は彼は冒険者になるよりも前の経歴が一切不明で、ギルドの情報収集能力をもってしても彼の出身(ルーツ)を洗い出せていない。クロノスを冒険者業界に引き込み冒険者に仕立て上げた人物たちもその件については「拾って面倒を見ただけだから知らない」の一点張り。そんな出所のわからぬ輩を十年も重宝し続けていることについてギルド内では疑問の声があがることもあるが、それでも彼を使うことをやめることはできない。それほどに彼は便利すぎるのである。

 詳細なプロフィールに関しては閲覧に制限がかかっており、閲覧のためにはクロノスの担当職員であるヴェラザード氏から許可が必要となる。閲覧したい職員はヴェラザード氏本人へ直接コンタクトをとり許可を得ること。工作をして閲覧をしようとするとスパイ容疑で拘束される恐れがあるので注意。


※追記情報

 現在はポーラスティア王国ミツユースの街を拠点に、冒険者クラン猫の手も借り亭のクランリーダーとして活動中。それにより受注するクエストも激減している。滅多に他の冒険者と組むことがなかった彼がなぜそのようなことをしているのか…その目的は不明だが下手に探りを入れて機嫌を損ねられても面倒なので要観察。専属担当職員であるヴェラザードの報告を待つべし。


――――――――――――――



改めて、知る おわり

 この後本章の番外編がありますが、R-18描写を含むのでノクターンの方へ投稿しています。作者不慣れですがよろしければご覧になってください。

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