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第1回「美少女YouTuberといきなり同棲生活」⑶

「のいのい、これは配信の企画か何か?」


 デスクトップに釘付けだったのいのいの視線が、壮介を捉える。

 こんなに透き通った目の女性と目が合うことは生まれて初めてで、一旦落ち着いた心拍数が再び倍増した。



「察しが良いね。これは殿方の夢を叶える配信だよ」


「……殿方の夢?」


 まさか家に突撃するだけでなく、この後にさらにムフフな企画が控えているとでもいうのか。

 まさかあんなことやこんなこともあるとでもいうのか。



「何の企画だと思う?」


「……え?えーっと」


 彼女なしの29歳男子にそんな質問されても困る。想像があらぬ方向へと広がってしまう。「殿方の夢」といえば、やはり「デリヘルを呼んだら憧れの女性YouTuberがきた」だろうか。

 ……無理無理無理。それは心臓がいくつあっても持たない。相手がのいのいだなんて,想像するだけで鼻血が止まらなくなりそうである。



「ねえねえ、聞いてる? 何の企画だと思う?」


「……え?言っていいの?」


「当たり前じゃん。私が聞いてるんだから」


 ダメだ。言えない。のいのいのような神聖な存在を前にして、「デリヘル」の4文字は決して口に出せない。



「…ごめん。言えない」


 のいのいが呆れた顔でため息をつく。



「しょうがないな。じゃあ、答えね」


 そう言うと、なんとのいのいは、おもむろにスカートを脱ぎ始めた。



 えええええええええええええええっ!!!!????? そんな急に!!!!????? まさかのデリヘル大正解!!!!!??????



 壮介の心拍数は1万を超えた。ワンルームいっぱいに充満するくらいの量のアドレナリンが流れ出てくる。



 スカートを脱ぎ捨てたのいのいは、すその長いダウンコートを羽織っただけの姿となった。

 裾の下からはスラリと長く綺麗な生脚が伸びる。


 万が一コートの下が裸だったらどうしよう。さすがにそこまでの心の準備はできていない。



「いやいや、のいのい、まだ心の準備が……」


 壮介の制止も聞かず、のいのいはついにコートのファスナーを一気に下まで降ろした。



 壮介はふいに目をつぶった。無理だ。壮介には女神様の裸を見ることなどできない。まだ早い。一生早い。



 -いや、しかし、見たい。とてつもなく見たい。死ぬほど見たい。見たい見たい見たい見たい。もう無理だ。我慢できない。

 女神様ごめんなさい。煩悩ぼんのうまみれの下衆野郎げすやろうをどうかお許しください。



 壮介が目を開けると、そこには、ヒョウ柄ビキニをまとったのいのいがいた。



「ラムちゃんだっちゃ」


 のいのいがウインクをする。



「なーんだ」


「なーんだって何よ!!?? セクシーラムちゃんのいちゃんだよ!!! エロいでしょ!!?? めちゃくちゃエロいでしょ!!??」


「た…たしかに……」


 あまりにハードルを上げ過ぎてたために拍子抜けしてしまったが、冷静に考えるとヒョウ柄ビキニはめちゃくちゃエロい。

 股間のラインも相当に際どいし、胸の谷間もハッキリ見える。これはこれでヤバイ。鼻血が出そうである。



「壮介君、鼻血出てるよ」


 出ていたようだ。


 慌てて鼻のあたりを触ると、たしかに指に赤い血が付いた。



「うわあ、撮るな!!撮るな!!」


 のいのいのスマホのカメラがまっすぐに壮介の顔を捉えていることに気付き、壮介が、のいのいからスマホを奪おうとする。


 のいのいはキャッキャと楽しそうに、壮介の手をかわす。



「よし、良い画が撮れた」


「全然良くない!! 勝手に配信に使うなよ!?」


「コームダウン! ビークワイエット!」


 のいのいは、突然のカタコトの英語を放ち,無理矢理に場を収めたことにした。



「それじゃあ、この格好になったところで、本題ね」


「本題?」


「そうお待ちかねの企画発表だよ。今回の美少女YouTuber のいのいのワクワクコブラパークの企画は〜」


 ここまで喋って、のいのいは黙り込んだ。

 これは後から編集で例のドラムロールの音を入れるための間なのだ、と壮介は気付く。



「緊急企画! 美少女YouTuberといきなり同棲生活!!」


 イエーイ、とのいのいがパチパチと拍手をする。


 ………え? 何? え? え!!????



「ごめん。のいのい、僕の理解が追いつかないんだけど、のいのい、もう一度お願いしていい?」


 のいのいがコクリと頷く。



「緊急企画! 美少女YouTuberといきなり同棲生活!!」


 イエーイ、と再びのいのいが拍手をする。



「同棲?」


「うん」


「誰と誰が?」


「美少女YouTuberと視聴者が」


「美少女YouTuberって誰?」


「世界中に私以外いないでしょ」


 たしかにそれはそうである。



「で、視聴者って誰?」


 のいのいが指を差す。無論、この部屋にはのいのいと壮介しかいないため、のいのいの指の差す方向にいるのは壮介だ。



「あなた。視聴者代表の壮介君」


「ええええええええええええええええええ!!!!!!???????」


 のいのいとの同棲生活!!!?????

 それはデリヘル嬢のいのいに匹敵する、いや、それ以上の「殿方の夢」じゃないか!!!!!



「壮介君、こんな不束者ふつつかですが、これからよろしくだっちゃ」


 のいのいは正座をすると、うやうやしく三つ指をついて壮介にお辞儀じぎをした

今後もこんな感じなんですが、R指定付けた方がいいですか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白いですね。 物語のテンポもいいですし、読みやすい文量でストレスフリーです。 しかし、のいのいはどうやって住所を調べたのだろうw
2020/07/08 18:56 退会済み
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