傘も持たずに
第1週
雨の日は、嫌いである。
黒い髪がこんなに濡れて、肌にまとわりつく感触は、心を非常に憂うつにさせる。
それでも、あなたは雨が好きだった。
あなたは、街に降り注ぐ雲の涙を見て。ぴちゃんと跳ねた、流動体の音色を聞いて。掌に染みる冷たさを感じて。あなたはいつもこう言うのだ。
「この世界は美しい」
そして私はこう答える。
「おかしな人」
するとあなたは、怒りも、泣きもせずに笑うのだ。
「いつか、君にもわかるよ」
あなたは嘘をついた。
こんな湿気った天気を好きになんてなれない。
さあ、早くも本降りだ。
私は足を止めたまま、動かない。既に頭の先から靴の先まで、悲しみは染み透っている。
「帰らなきゃ」
私が瞬きをすると、ぬるい雨が顔を伝う。懸命に拭っても、今やその手も透明にまみれているのだ。
そこでようやく気がついた。
全てを洗い流されていることに。
ワンピースの裾を絞ってみると、後悔がボロボロと落ちていく。
靴を脱いでひっくり返せば、罪悪感がドロッと落ちていく。
あまりに気持ちよくって、笑いたくなった。
座り込んで、膝を抱えた。
雨の日は嫌いだ。
それでも、あなたが好きだから。
この美しい世界に生きていく。
雫に濡れ
赤に光る彼岸花
それは世界一、憎らしいほど、美しかった。
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