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朱き天使と大賢者  作者: 木花咲耶
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十六夜真琴の姉妹達

「十六夜…?」


大和は「真琴と同じ姓だ」と思いつつ、


「あ、えっと…僕は吉川大和です。今、白き巨人が出たらしく、十六夜真琴さんが向かっていきました。その際に、救援要請を頼まれました。」


そう大和が言うと、


「お姉ちゃんが?!白き巨人と?!えぇぇぇ…。ど…どうしよう…!」


と鏡の向こうでかなり慌てているようだった。

大和が落ち着かせようと思ったその刹那、鏡の画面横から手が伸びてきて琴葉の狐耳をデコピンをするように弾いた。


「ひゃい!!?」


と、琴葉が驚いて弾かれた耳を手で守りつつ伸びてきた手のある方を見た。


「琴葉が慌ててどうするのよ。要請してきてくれた子も困ってるじゃない。」


そう言って狐耳を弾いた本人が映った。

仮面マスクのようなもので顔の下半分を隠している女の人だった。

その人はこちらを向き喋り始めた。


「お見苦しいところをお見せしました。朱き天使 特S級 十六夜琴音と申します。私の妹、真琴はどの方向に飛んでいきましたか?」


琴葉とは違い冷静に、そして丁寧に聞かれたので少し固まってしまった。

が、すぐにもとに戻り、


「真琴さんは、東の方で戦ってると思うと言って飛んでいきました。」


「わかりました。とりあえず貴方のところに行かさせていただきます。」


「あ、はい。わかりました。場所わかりますか?」


大和がそう聞くと琴音は、


「ご安心を。貴方の持っている鏡で場所はわかります。それではまた後程。」


そう言った後、二人の女性を写していた鏡は普通の鏡に戻った。

それから数秒後、大和は真琴が飛んでいった方を見ていると赤い翼を生やした二人の女性が降りてきた。


「はやっ!?」


と、大和は思わず言ってしまった。

すると琴葉は、

「私たち特S級は天界から地上に来るとき、時転送の穴を活用するの。だから早いのよ。貴方も特Sになれれば教えてくれるから頑張ってね。」


と、教えてくれた。

が、大和には始めて聞く単語が出てきた。


「時転送の穴?」


そう聞くと琴葉は、


「あ、知らない?見せてあげるね」


と、いって真琴の様に何も無い空間に穴を開けた。


「これが時転送の穴。これが天界と繋がってるの。」


「真琴さんがやってたやつだ!」


そう琴葉と大和が話していると琴音が、


「お喋りもいいけど今は私の妹が心配だから助けに行きたいのだけれどいいかしら?」


と、琴葉に言った。

すると琴葉は吃驚した顔をして、


「そうだった!」


と、東を向いて飛ぼうとした。


「あ、ちょっと待ってください!」


「どうしたの?」


琴音はこちらに振り向いた。


「僕も連れていってくれませんか?足は引っ張らないように努力しますから!」


「着いてくる分には構わないわ。さ、貴方も翼出して。」


と、琴音は言った。

そのとき琴葉はふと疑問に思った。


「ねぇ貴方。なんで翼隠せるのに時転送知らなかったの?翼隠せるようになるの特Sからだったと思うんだけど…」


その疑問はもっともだった。

朱き天使が時転送の穴を開けれるようになるのも、翼を隠せるようになるのも特S級にならないと本来できないはずだからだ。

そして特S級ならば誰もが両方知っていなければならないことだった。

大和は、普通の人間なので翼は無いし時転送の穴の事も知らない。

そして大和の事を知らない二人には、特S級未満なのに翼を隠せる天使、または特S級以上なのに時転送の穴の事を知らない天使と映ったのだ。


「あー…えっと、僕は朱き天使じゃないんです。普通の人間です。なので翼も無いのです…」


そう答えると二人はフリーズしたように数秒固まった。

そして、その固まった中で最初に口を開いたのは琴音だった。


「えっと…あー…く、詳しいことは後で聞かさせて頂戴。とりあえず琴葉、」


「あ?え?はい!なんでしょう?」


「この子が乗れてかつ戦うことができる神獣出してあげて。」


「あ、うん。わかった。麒麟でいいかな?」


そう琴葉が訪ねると、琴音は頷いた。


「あの子なら速いし戦えるわね。」


「ちょっと待ってね。」


そう琴葉が大和に言うと、琴葉は右手を広げて前に出し、目をつむり、念じているようだった。

すると直径3m程の魔方陣が現れた。

不意に琴葉は出していた手を上に上げると、


「我々を導く神獣よ、その力を我々にお貸しください。“雷獣”麒麟!」


そう叫ぶと魔方陣の真ん中から、翼の生えた馬が出てきた。

その神獣を見て大和は、


(なんか麒麟と言うよりペガサスみたい…)


と、思っていた。


「はい、この子に乗って!振り落とされる心配はないから!どういう仕組みかはわからないけど走ってるときの風圧とかもないから。それにこの子強いし!」


そう琴葉が言うと麒麟は大和の前に寄ってきた。

そして、大和が乗りやすくなるように麒麟は、伏せをした。


「乗せてくれるの?」


と、大和が聞くと麒麟は催促するような仕草をした。


「ありがとう。よろしくね。」


大和そういうと麒麟にまたがった。

すると麒麟は立ちあがった。

それを見ていた琴音は、


「よし、じゃあ行こうか。」


そういって飛んだ。

後に琴葉、続いて大和を乗せた麒麟も飛んだ。真琴がいるであろう場所を目指して。

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