朱き天使の世界について
「悪魔と対峙したとき言ったと思うけど私は朱き天使“特S級”十六夜真琴。」
「あ、僕は吉川大和。今高1です。」
「大和?大和っていったら1945年の4月7日に沈没した船と一緒だよね?たしか…客船?」
「(客船…)戦艦大和ね」
「それそれ!頑張ってたんだけどねー…ちょっと無謀だったかな」
「…ちょっとまって真琴さん今何歳?」
「むー。女の子にそれズバッと聞いちゃう?」
「あ…それもそうか…さっきの大和をみてたような言い方だったから。」
「みてたよ?」
「…朱き天使とかって寿命長い?」
「長いよぉ。人間年齢に表すと朱き天使の平均年齢1900歳だったかな?他は知らないけど。」
「長生きな人は20世紀分生きてるのか…」
「21世紀分生きてる人もいるよ。」
「…」
「ちなみに私は今年で87だよ。」
「1932年か…たしか五・一五事件があった年じゃない?」
「みたいだね。生まれたときは人間と一緒だから何も覚えてないけど、聞いたことはあるよ」
「あ、そっか…そこら辺は人と同じなんだ。ところでこの世界についても聞きたいんだけどいい?」
「何なりとー。」
「まずここにいる種族を教えて。」
「ん。まずは私のような朱き天使、そして昨日戦ったやつが黒き悪魔、そして白き巨人と朱き堕天使、あとは人じゃないけど魔獣と奇獣と死獣と神獣と聖獣。他にもいるにはいるけど滅多に出ないから覚えなくてもいいかな。」
「獣の種類多っ!」
「アハハ…聞いててわかると思うけど朱き天使にとっての敵は黒き悪魔、白き巨人、朱き堕天使、魔獣、奇獣、死獣だよ。」
「敵多いっ!なんでそんなに多いの…?」
「朱き天使の敵だけが多いって訳ではないよ。獣は除いて悪魔は天使、巨人、堕天使が敵だし巨人も天使、悪魔、堕天使が敵って感じ。」
「なるほど。あと級っていうのは?」
「それはね私達天使の場合は熾天使セラフィル様、智天使ケルビム様、座天使トローネ様の3人の方が決めるの。下から順にD、C、B、A、特A、S、特S、大天使って感じ。」
「フム…ってことは真琴さんは上から…2番目!?」
「そうなるね。でも私は正直速さしか取り柄ないからね…速さで特Sまで上り詰めたようなものだから力とか耐久力は殆どからっきしなのよ…」
「あんな太刀を振り回しといて…?」
「ん?いや、からっきしっていっても最低限自分の持ってる武器は全部振り回せるくらいの力はあるよ?重いものだと…たしか…850kgくらいだったかな?」
「…その時点で僕の世界の重量上げの世界大会に出れるよ…」
「いや、一応特訓はしてるよ?でもそれきちんと振り回せるわけじゃないけどね…重すぎてどうしても隙ができちゃうから滅多に使わないけど。」
「まぁわかったよ。あとは白き巨人?とかのことだけど…何が目的で対立してるの?」
「んー…なんだろね?」
「え?」
「上からは白き巨人の科学技術が欲しいからって言ってるけど、単に迷惑だからって噂もあるし…よくわかんない!」
「えぇぇぇぇ…それで戦ってるの?」
「私もどうかと思うからこちらから先には手は出さないけどね。向こうが攻撃してきたら反撃する。そうして戦う理由つくって戦ってる。」
「あ、よかった。いや良くないけども…交渉とかは?」
「嫌だってさ。」
「あぁー…左様ですか…まいっか。それで白き巨人は強いの?」
「うん、でかいから攻撃範囲広いし力も強いし耐久力はえげつない。S級来たら私だけなら最悪やられるかな。」
「…単独行動のときは来ないことを祈るね……」
「そう言うことー…」
そう話している次の瞬間、
世界が揺れた。
「なに!?地震!!?震度6くらい!?」
「…」
真琴は険しそうな顔をしている。
「真琴さん!?ここにいたら危なくない!?」
「私の最悪な予想が当たればもうじき収まるよ」
「収まるのに最悪なの!?」
「うん」
といっていれば本当に収まった。
揺れた時間は…ほんの2、3秒程度だった。
「あれ?短かったのかな?」
「うへぇ…噂をすればなんとやら…って感じ…」
「へ…?それって…」
「白き巨人だよ。私もそうだけど天界とかに居て地上に来るときワープホールみたいなのからこっちに来るんだけど、その出てくる先が必ずしも地上とは限らないんだよ。」
「というと…?」
「最高でも地上300m上から出てくるときもあるの。今のがどこから落ちてきたのかわからないけど、高めのところから降りてきて、着地した振動だとおもう。さいあくだよ…」
そういって真琴はまたなにもない空間に穴を開けてそのなかをゴソゴソとあさり始めた。
「あ、それ悪魔と戦ってたときもやってたよね?なに?それ」
「天界にある私の物入れに繋がってるワープホール。…と見っけたこれもって」
そういって渡したものは…手鏡だった。
「手鏡?何に使うの?」
「それで救援要請するの。」
そういって開けたところを閉めて大和から手鏡を受け取り鏡の部分を2回コンコンと叩いた。
「はいこれもって。今ので救援要請したからもう少ししたらきつね耳のついた子か、顔下半分隠した女の人が出ると思う。そうしたら白き巨人の事言って。多分東の方で戦ってると思う。」
「わ…わかった!」
「よろしく」
そういって真琴は朱い翼を生やして東の方へ飛び去った。
真琴が飛び差って数十秒後…
「はい、朱き天使 特S級 十六夜琴葉です。どのような状況ですか?」
と、狐耳の生えた少女が鏡に映った。