第3話
母さんが気になる事を言っていたが、聞ける状態では無かったから、ソファでくつろいでいると、
ズドーン
何かが落ちてきた音にびっくりして、動けないでいると
コンコン
今度は優しくドアを叩く音がする。武装した執事長のアリエラさんがドアを開ける。俺はすぐ後ろで対応出来るように伺っていると
「ここはルルくんの自宅でしょうか?」
そう言ったのは、龍人族のイケメンが大量の荷物を持って立っていた。
「はい、そうですが。どなたでしょうか?」
「夜分遅くにすいません。僕はスィーダ・アストラと言います。娘がどうしてもルルくんに挨拶したいとダメだと言っても聞かないので、」
「そうですか。外はまだ寒いので中へどうぞ。」
「はい、後これを」
そう言って、荷物を下ろしてみせると中は宝石や貴金属、魔道具らしきものまである。
「えっと、後はグラードドラゴンの肉とかマグマドラゴンの肉、」
俺は慌てて止めた。
「ストップ、ストップ。スィーダさん。挨拶にしてこれは一体どうしたんですか?」
「いや、龍王として手ぶらはカッコつかないし何を持ってっていいか分からなくて、全部持ってけばいいやと、」
「りゅ、龍王様がなんで俺の家に」
「先程、言った通り、娘がね」
「親父、ほら忘れ物。」
「ありがとう。では紹介しますね。私の娘の紫暮です。」
赤い髪の美少女が
「お前が、ルルだな。俺は紫暮だ。よろしく。」
「うん、よろしくね。でも平民の俺の家になんで来たの?、それになんで俺の事を知ってるの?」
紫暮ははぐらかして答えてくれなかったが
「ルル、これを受け取ってくれ。」
紫暮の髪と同じ色の宝石がついたブレスレットを渡された。
「これは?」
「見てわかるだろ。ブレスレットだよ。常に身につけてくれ。」
「わかった大切にするよ。」
俺はブレスレットを付けた。
「うん、またね。ルル。」
紫暮は俺を抱きしめて、離れると龍王様の手を握った。
「では、また来ます。」
龍王様は龍化すると飛んで行った。俺たちはそれを見送っていると、後ろのドアが開いて、母さんが顔を出した。
「部屋にある大量の食べ物とか宝石とか、魔道具らしきものがたくさん入った物がいっぱいあるけど、何があったの?」
「えっと、色々あったんだよ。」
「そうなの、じゃあ寝るわね。」
母さんは部屋に戻って行った。それを見届けた後、俺とメイドのニーヤとハネスさん、執事長のアリエラさんと食べ物を巨大冷蔵庫に貰った食べ物を全てしまうと眠りについた。
「坊っちゃま、朝ですよ。起きてください。」
目を開けるとアリエラさんが立っていた。
「おはようございます。」
「はい、おはようございます。」
ふっと笑ったアリエラさんはとても綺麗だった。俺はそう思いながら朝ごはんを食べると家を出た。ドアを開けて門を出ようとすると見た事のない馬車が止まっていた。不思議なのは馬車を引いてるのは角がある馬。でも従者がいなかった。俺は不思議だなーと思いながら通り過ぎようとすると
「待ちなさい。ルル」
声が馬車の中から声が聞こえるとドアが開いた。出てきたのは緑の髪の美少女。
「乗りなさい。一緒に行くわよ。」
「わかった。」
断ったらめんどくさそうだから、馬車に乗った。すると馬車が動き出した。
「ねぇ、従者いなくて大丈夫なの?」
「大丈夫よ。ユニコーンに任せれば。」
彼女は話すのを途中で辞めると昨日、紫暮から貰ったブレスレットを見て。
「気に入らないわ。」
「えっ、」
すると彼女の手から緑色の鉱石で出来たネックレスが現れた。
「これ、付けなさい」
「貰えないよ。」
「いいから、付けなさい。」
俺は言われた通り付けると
「よく似合ってるわ。」
そう言って微笑んだ。俺は見惚れていると
「何よ、私の顔になにかついてるの?」
「いや、ついてないよ。それより君は誰なの?、俺の事知ってるようけど」
「私はそうね。秘密よ。」
「なんだよ、それ」
「いずれ分かるわよ。」
そう言うと馬車が止まった。
「着いたわね。降りなさい。」
「納得出来ないけど、乗せてくれてありがとう。」
俺は降りると自分のクラスへ向かった。
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一方、王都では種族の長が集まっていた。
「これで、合同会議は全て終了です。」
私と部下が各種族の王、皇帝に言った。私はメイドを近くに呼んだ。
「国王様、何でしょうか?」
「冷たい飲み物と甘いものを皆様に用意してくれ」
「分かりました。」
そうして、しばらくすると各王達に冷たい物と甘いものを用意させると私を含め、自分たちの子供の話になった。自分の娘が上級魔法を使えるようになったなど盛り上がっていると皇帝が
「僕の娘に好きな人が出来たようでね、後で会いに行こうと思うんだ。」
魔王や龍王、他の王達も息子や娘がいる為、そんな事もあるだろうと頷いていると
「名前がルルって男の子なんだよね。」
すると魔王と龍王と神狐帝そして神王が少し反応した。私の娘もルルと言う少年が好きだと聞いたなぁと思っていると
「あら、まだ皇帝は会ってないのね、私は娘と一緒に挨拶に言ったわ。ルルくんのお母さんとも仲良くなってね。娘もルルくんと仲良くなったのよ。自分の宝物である。混沌の神玉をあげたのよ。」
「ほう、」
「そうでね、ルルくんはすごい喜んで、お返しにってプレゼントくれたのよ。娘のリュエリオンとルルくんとっても相性がいいわ。将来、いい夫婦になると思うわ。」
するとさっきまでの和気靄靄とした空気はどこへやら不穏な空気が流れ始めた。。
「魔王、君は僕の娘の好きな人を奪う気かい?」
「皇帝が何を言ってるか分からないわ。そっちこそ、私の娘の好きな人にちょっかい出さないでもらえるかしら?」
「なんだと、」
「やる気?」
このふたりがやり合ったら城が大変なことになる。私は慌てて止めに入る。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いてください。」
そう言うと2人は落ち着き出した。ホットしていると龍王が立ち上がった。
「二人とも、何を言ってるんだよ。ルルくんは僕の娘の物だぞ。それに私も娘と一緒に挨拶に行ったよ。娘に抱きつかれて顔を真っ赤にしたルルくん可愛かったよ。」
すると落ち着き始めた2人に火がついた。
「龍王、貴様まで娘の好きな人を奪おうとするとは見損なったぞ。」
「我ら龍王の一族の銘は欲しいものは手段を選ばず取るものだと教えられるんだよ。」
「あんた達の娘よりも家の娘の方が彼に合っているわ。」
言い合いが激しさを増し、このままでは戦争になると思った私は再度止めに入る。
「龍王もやめてくださいよ。二人とも落ち着いて。」
私の言葉は3人に届かない。どうしようか悩んでいると、いつも話さないエルフ王が立ち上がった。
「確か、君の娘もルルくんのこと、旦那様って呼んでたよね。」
「エルフ王、なぜ今言ったのですか?」
「面白いから」
「余計な事を、」
爆発的な魔力のオーラを感じて振り返るとさっきまでいがみ合っていた3人が
「龍王、皇帝、まずスペレスア国王を倒してからにしない?」
「いいだろう。共闘してやる。」
「OK」
結託しやがった。
「いやいや、ストップストップ。頼むから魔法使わないで城壊れちゃうから」
私は絶界魔法を準備しながら、説得を試みようとした時、エルフ王が手を挙げて、立ち上がった。
「何か、引っかかるなぁーと思っていたら思い出した。娘の恩人じゃないか。そう言えば言ってたな。娘が結婚するなら彼がいいって。悪いけどその争奪戦参加します。」
すると3人は自分の最大威力を誇る魔法をエルフ王へと放った。私の方にも飛んできている。生身で受けたら即死だ。私は絶界魔法を発動させる。
「絶界魔法、拒絶」
魔法を打ち消した。その後、神狐王と神王も加わって、私は大変な目にあったのだった。他のダークエルフ王や幻王は止めに入ること無く傍観していただけだった。
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教室について、入ると全員揃っていた。
「ルル、今日から授業だよ。」
「分かってるよ。」
「じゃあ、最初は召喚魔法で触媒が必要なのも知ってるよね。」
「ああ、これだろう。」
リュエリオンさんから貰った大切な黒い水晶玉、それを見せると
「それが触媒?、僕のはこれさ」
王子が見せたのは7色に光る鉱石、
「何そのキラキラ」
「これは、虹龍の魔石、国王様から頂いたんだ。」
「そうか、良かったな。」
「旦那様、私はこれです。」
白銀の鉱石を持っていた。
「白銀龍の魔石です。お母様から貰いました。」
「とても綺麗だよ。」
そう言うと顔を真っ赤にして、王子の後ろに隠れてしまった。
「もう、ルルは女たらしだね。」
「失礼な、お前こ」
「はい、静かにこれから従魔召喚の授業のため、召喚陣室へ移動する。ちゃんと着いてこいよ。」
俺たちは会話をやめて、ついて行った。召喚陣室へ着くと入っていった。中に入ると巨大な魔法陣がひとつあった。
「そう言えば言い忘れてたがな、各国の王様たちもお前達の授業を見てるからな、頑張れよ。」
そう言うと説明が始まった。1人ずつ、魔法陣の中心に立って、詠唱する。
「我が魔力に応じ答えよ。従魔召喚」
基本、1人一体しか従魔は契約できない。例外もいるよそうだ。
1人目、スライム、2人目もスライム、3人目、マジックボア、マジックボアは魔法が使える猪、4人目、ウィンドウバード、風魔法を操る魔鳥、それから7人目までスライムが続いた。残念そうにしてるけどぷにぷにで可愛いと俺は思った。そして王女様の番になった。
「次、ソフィア・スペレスア」
「はい。」
魔法陣に立つと詠唱を開始した。
「我が魔力は月と白銀を呼ぶものなり、我が問に答えるならば姿を現せ。絶氷の主よ。」
魔法陣は緑色から白銀に変わり、光を放った。光は強さを増し、視界を塗りつぶした。光が消えるとそこに現れたのは巨大な白銀の龍が王女の前に現れた。すると綺麗な声が聞こえてきた。
『貴方が私を呼び出したのか?随分と若い娘だ。』
「私と契約してください。」
『今まで、私を呼び出したものは怯えているものだが、随分肝が座っている。』
「当たり前です。私は王女なんですから。」
『嘘つきめ、好きな男の前では何も出来ぬヘタレのくせに』
「そ、それは関係ないじゃないですか。早く私と契約してください。」
『その契約、応じよう。我が主よ。』
龍が王女様に近づくと姿を消した。それを見ていた先生は
「すごいな、多分SSランクの龍だろう。」
「ありがとうございます。」
そう言って王子の元に帰ってきた。
「ソフィア、よくやった。兄として鼻が高いよ。」
「ありがとうございます。お兄様。」
そして王女は俺を見た。これは多分、俺にもなんか言えって事かな。
「凄かったですよ。王女様」
「ありがとうございます。あの、お願いがあるんですけど」
「何ですか?」
「あ、あの私の事をソフィアって呼んでもらえませんか。後敬語無しでお願いします。」
「それはダメですよ。平民のくせに王女様にタメ口なんて」
「仕方ないですね。本当はしたくないのですが、王女としての命令です。」
「わかったよ。ソフィア」
「はい、」
顔を赤くしながら答えた瞬間に黄金の光が召喚陣室に広がってまた見えなくなった。 そして光が収まっていく。すると先生が
「見ろ、あれはレインボーフェニックス。SSSランクだ。」
そのレインボーフェニックスは王子に近づくと姿を消した。
「ま、こんなもんさ。次はルルの番だよ。」
俺は先生に呼ばれる前に魔法陣の中心にたった。そしてリュエリオンから貰った水晶玉を左手に持った。
「我が魔」
詠唱しようとすると自分の意思とは関係なく、詠唱を辞めてしまった。不審に思った先生が
「どうした、ルル」
先生を無視して、俺は急に詠唱を始めた。
「時代を超え、時空を超えて、古の封を解く。我は願う。神々が施した封印を解き、混沌を解き放つ。さぁ、終焉の時だ。」
魔法陣は色を失い、魔法陣の模様が変わっている。
「おい、ルル詠唱をやめろ。」
必死に止めようとする先生でも俺の意思では止められない。
「そして更に我は繰り返す。時代を破壊し時空を消滅させよ。原典召喚。」
魔法陣が点滅して、光を放った。俺は咄嗟的に腕で顔を隠した。光が消え、現れたのは3人の美少女。
「あれ、ここはどこよ。レイン」
赤い髪の子が青い髪の子に話しかける。
「僕が知るわけないだろ。僕達は今まで神の牢獄で永久封印されてたはずなんだから、クルル、分かるかい?」
オレンジ色の髪の子は
「わからん。だが神界では無い事は確かだ。一番いいのは私達を呼び出した本人に聞くのが1番ではないか?」
「それもそうね。どうやって私達を神の牢獄から解放したのかもね。」
すると俺の前に瞬間移動した来た。
「貴方よね。私達を解放したのって。」
「そうだよ。俺が呼び出した。俺と契約してくれるか?」
「なるほど、そういう事ね。返事はNOよ。」
「なぜ?」
「私たちより強い者じゃないと契約したら発狂して死んじゃうからよ。」
「なら、俺と戦え。」
そう言うと3人は笑いだした。
「私達と戦う?、無理よ。ただの人間じゃあね。」
「いいから、やれよ。俺は自由な冒険者になるんだ。全てを跳ね除けるだけの力が必要だ。」
「へぇ、ただの人間がそこまで言うならやってあげるよ。じゃあ行くよ。」
彼女は一瞬で近づくと俺を殴った。俺はもろに受け壁に体を打ち付けた。
「これでも、手加減した方だよ。動けなくても話すことくらいできるだろ。」
俺は激痛で体が動かない。
「ブースト」
ブーストをかけて、俺はふらつきながら立ち上がった。