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「えっと殿下。私はアゼリア…」
「きみの名は知ってる」
自己紹介をしようとしたら止められた。
「え?どういうことですか?」
「きみのことはリーフやアルフレッドからよく噂を聞いているからね」
私の噂を…?
「私の噂を?もしかして私が美人ってことですか!きゃ~!照れちゃいますわ」
私は顔を赤らめた。しかし返ってきた言葉は
「きみが美人だって?そんな噂じゃないさ。僕が聞いているのはきみが金遣いが荒くてドレスやら装飾品、宝玉にお金を使うということだ」
私の噂がそんな当たり前のことを言われてしまった
「なんですって!?確かに私は身の回りのものに多額のお金を使うわ!でも私は子爵家の娘。貴族の娘として当たり前の身だしなみをしているだけですわ!」
そうよ!私は貴族の娘なの。身だしなみを整えるのも教養のひとつよ。
「それはどうかな?いくら教養とは言えどあまりにも酷すぎやしないかい?」
「そんなことありませんわ。貴族には貴族の暮らしや縦社会がありますもの。私の友人たちだってたくさんのドレスやら装飾品を持ち合わせておりますわ」
殿下は大きなため息をつかれた。なぜかしら?私は当たり前のことを言っただけなのに
「きみの妹はどうだい?ミプリカさんはあまりドレスをお持ちでないそうだ。きみと同じ子爵家の娘でありながら。」
「ミプリカは頭がおかしいのですわ。長年クルトン国にいたがために我が国ユカルタ帝国の常識を心得ていないのですわ!オリヴィエ家の者として恥ですわよ」
殿下はミプリカを話題に出してきた。しかし私の言う通りミプリカはずっとクルトン国で生活をしてきていた。ユカルタ帝国の常識を知るはずがない
「ではオリヴィエ嬢…」
「アゼリアとお呼びくださいルーズさま」
ルーズさまは顔をしかめられた。確かにいきなり殿下からルーズさまに変えればおかしいと思われても仕方がない。でもミプリカだってルーズさまって呼んでいたしいいわよね
「ではアゼリア嬢。きみは今のユカルタ帝国についてどのくらい知っているかな?」
「ユカルタ帝国のことですか?実りがよくて工業が盛んで、国民皆が幸せな国でございます」
「本当かな…。今度見に行ってみるか」
ルーズさまは小さく何か言われた。
「その首飾りは?」
「先日街のアクセサリーショップで買いましたの」
「それは確か3000リドルだよな?よくそんな高価な物を」
「私は貴族の娘ですもの。3000リドルくらい安いですわ」
私は当たり前のように言った
「きみは…ないな」
ルーズさまが何か言われたようですが聞き取れなかったわ
「なんとおっしゃいましたか?」
「いや、なんでもないよ。ほら、君のことを見ているご子息たちがたくさんだ。踊っておいで」
「えぇ。」
私はルーズさまのそばを離れた
ドンッ!
誰かにぶつかった
「なんなの!女性にぶつかるなんて失礼きわまりないのではなくって!」
「申し訳ない。お怪我はございませんか?」
ぶつかってきた相手は私の前に膝をついた
「えぇ。大丈夫よ。これからは気を付けなさい」