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異世界から「こんにちは」  作者: 青キング
民族とサラリーマンの夏
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歴代No.2剣士の放浪記―大会の事後―

読みにくく語彙力も表現力もなくて、すいません。

 歴代No.2剣士と金髪碧眼のイケメン剣士ブルファの対決は、歴代No.2剣士の勝利で終わった。

 だが体力消耗が故か、彼は次の対戦を辞退した。

 自分よりも遥かに格上の参加者がいたせいか、優勝者は優勝インタビューで明らかな落ち込みぶりでこう言った。


「優勝した気になれません……はい」


 そのインタビューは次の日に、号外新聞が配られる程だったのだが、起因者である二人の凄腕剣士にはどうでもよかった。

 清潔に保たれたマークスの自宅に、ブルファと歴代No.2剣士と青年がお邪魔していた。無論、突撃訪問である。


「ねぇブルファ、僕の家にあまり人を入れないでくれない? どんな未知のウイルスを忍ばせているか、わからないのに」


 マークスは優秀でもなく名声もないが、医者の端くれだ。断固としてウイルスを嫌う。

 剣志の通う学校の保健室と対して規模の変わらない病室を、自宅の隣に一枚の薄いドア続きで併設してある。病室に繋がるドアが、一枚で大丈夫なのだろうか? 少し心配である。


「なんだ、微妙そうな目をして? そうか無理もないな、初対面だし緊張するのが普通だろう」


 剣士がマークスの顔を見ながら、心得ているように頷くが、マークスは変わらず変な生き物をみる目である。


「僕の方は一度だけ、あなたを見たことありますけど、まさか服が美少女……」

「なんだとっ! まさかお前は、悪の組織の監視官か!」

「監視官が監視対象に、姿を晒すわけないですよ!」


 マークスの言葉を聞いて、剣士が素早く立ち上がり警戒して鞘から剣を抜きかけ、青年が反射神経よく剣士に突っ込み、剣士は青年の言葉に納得し落ち着きを取り戻して椅子に座り直す。

 それが三回もループしたとなると、ギネスブック認定ではないであろうか? そもそも、こんなコントみたいな問答のギネス記録なんて、記録されていないと思われる。


「本題に入っていいかマークス?」


 口を挟まず三人のやり取りを傍観していたマークスが、打ち切らせるように尋ねた。


「うん、本題に入ろう」


 マークスはホッとして、表情改めた。

 ブルファがマークスに逐一青年に確かめながら、事情を話していく。

 途中、マークスは目をかっ開いてさらに真剣に耳を傾けて話を聞きだした。

 ほどなくして、大方を聞き終えたマークスが剣士と並んで座る青年に、悩ましそうな目を向けた。


「悪いけど、僕には君の呪いを祓う術はないよ。ただの医者だからね。せいぜい健康状態をチェックすることぐらいしか……」


 率直にマークスは、自分は何もできないと青年に伝えた。

 それは予想してました、と青年は言葉を返した。

 部屋が水を打ったように、静まり返る。しかしそれも束の間、ブルファがおちゃらけて沈黙を破った。


「そう重く考えんなよー、考えたって俺達ができることなんてないからな」

「そうか、それならば長居するのは迷惑だな。そろそろ発とう」


 そう言って、歴代No.2剣士は椅子から腰を持ち上げ、スタスタと出口に向かっていく。

 待ってください! と青年は後を追い、出口の前で失礼しましたと慌ててお辞儀して部屋を出ていった。

 マークスとブルファはしばらく、二人が出ていったドアを見つめお互いの顔を見ぬまま話し出す。


「ブルファは演技が上手いね」

「そうか?」

「うん、だってさっきみたいなキザっぽい口調で喋らないでしょ?」

「実のこと言うと、じっくり話をしていたかったけどな。青年が呪い持ちでなければ」


 ブルファの瞳が、困った風で微かに揺れる。


「呪いが実像になるのを食い止めるため?」

「俺の推察が当たっているなら、そうなるな。あと、シャミちゃんも護らないといけないしな」

「ワコーが帰ってきたら、推察の内容を聞かせて」

「いいぜ。扱いずらい問題だけに、長くはなるけどな」



 剣士と青年は、宿泊している宿屋に戻る帰途にいた。

 大会の熱はすっかりおさまり、いつものナバスの賑わいになっていた。

 青年はずっと気になっていたことを、少し前を歩く剣士にいざ聞いてみた。


「ブルファさんとの対戦は、何が決め手だったんですか? 僕は集中力だけとは思えないんですけど」


 剣士は青年の顔も見ず、すんなり答える。


「風だ」

「風……ですか?」

「俺には追い風で、あの剣士には向かい風だった。それだけだ」


 はぐらかされていると感じてきた青年は、少しばかり不機嫌に抗弁する。


「それだけだ、って詳しく教えてくれたっていいじゃないですか。回りくどい答え方しないでください」

「言った通りだ。追い風か向かい風かの差だけだ」

「……抵抗ですか?」


 躊躇がちに尋ねる。

 剣士はわかっているではないか、と如何ともし難そうな顔をして言った。


「追い風を待ってたんですか?」

「そういうことだ」

「望み通りの風が吹くこと、予知したんですか?」


 青年の問いに、剣士は立ち止まりきょとんとして振り返ってから、さぞ面白そうにハハハと笑い出した。

 問いを笑われたことに、青年はむくれる。


「なんで、笑うんですか!」

「俺が魔法を使えると?」

「使えないでしょうけど……」

「それなら未来予知なぞ、できるわけがない」


 肩をすくめておどけたような台詞に、更なる疑問を青年は問いかける。


「じゃあ、どうして追い風を待ったんですか? 向かい風だったら、ブルファさんの方が勝ってたことになりますよ?」

「賭けだよ賭け」

「勝負運ってことですか?」

「あらゆる可能性を、信じれるかどうかってことだよ。勝負運とはかけ離れた実力の一つだ」

「やっぱり、すごいんですね」


 脈絡のない台詞に、剣士が不思議そうに眉を寄せる。


「何がだ?」

「あなたの剣士としての能力です。到底僕では歯が立ちません、その力の根源はどこからきてるんですか? 教えてください!」


 必死な眼差しで、剣士を見て懇願する。

 剣士は答えに困って、後ろ頭を掻いた。


「う~む、考えたことがない」

「すいません、変なこと聞いてしまって」


 眉が下がり、青年は気を落とした。

 ああそうだった、と剣士が何か思い出したような声を出して続ける。


「誰か偉い人の著書に、『人類の能力と心理関係』という心理学の本があったのだが、その中の『闘争心と愛護心』といった内容の一部が記憶にある。偉い人曰く、人類の大半が持つ闘争心が上昇する条件は、愛する何かを護ろうとする精神から成る、と書かれてあった。その理論は至極全うだと、今更になって思う……」


 記憶の棚にしまいこんでいた、屋敷での少女との日々が言葉の途中で思い起こされた。

 俺は何のために今日、剣を振るったんだ?

 何でこの青年と行動を共にしているんだ?


「……どうかしました?」


 青年が心配そうに尋ねるが、剣士は返事すらも返さない。


「どうしたんですかっ!?」


 青年は声量を大きくしてみた。

 弾かれたように顔をあげた剣士が、しばし青年の顔を見つめて笑顔を作って言う。


「心配ない、早く宿屋に戻ろう。お腹空いただろう?」

「あ、はい、大会で疲れて空腹です」


 何を考えていたのか気になるけど、そんな思い悩みそうな人ではないから、夕飯のメニューが何かを考えていたのだろう、と根拠なく気軽な結論を青年は出した。

 しかし、それは些か見当違いであるわけだが……

 二人はそのあと、大会の話で盛り上がりつつあと少しとなった帰路を辿り歩いた。

 その間も、剣士の意識は半分が屋敷と少女へと馳せていたが……

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