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秘密結社KJラボ☆  作者: 星川亮司
2章初恋のハイビスカス
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50 Win Winの解決法

KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。父・賢治の手紙で夏休みの間、奄美大島へ来ている。


宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中から、ひょっこり顔を出した。変な奴。


花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。KJの保護者。




愛人(カナ)(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。


海咲(ミサキ)(8)徳浜ビーチで出会った女の子。愛人(カナ)の娘。今は、祖父母である加計呂麻病院の院長夫婦が無理矢理引き取っている。



徳山虎雄(76)加計呂麻島病院の院長。


徳山夏海(なつみ)(28)加計呂麻島病院の院長の愛人あいじんとの子。院長夫人が強引に引き取り養女として育てられた。


徳山節子(78)島の名士の娘で虎雄の妻。

「どうぞ夏海(なつみ)さん、私の隣へ」


さて、と賢治は夏海へお猪口を渡し、黒糖焼酎をすすめる。


「さて、ここまでの話をまとめると、海咲(ミサキ)ちゃんを医者にするために、英才教育をほどこす。だから、愛人(カナ)さんには返せないです。困りましたこのままでは、海咲(ミサキ)ちゃんの自由はありません……で、ご登場いただいた夏海さん」


「私は何の力もないただの養女です」


賢治は閃いたように大袈裟に手のひらをポン!と、拳で叩く。


「私、閃いちゃいました。虎雄さんの望みも、愛人(カナ)さんの望みも叶えちゃうWin Winの方法を……」


馬鹿にするなと虎雄、


「そんな方法があるなら、すでにワシが実行しておる。海咲(ミサキ)を医者にする以外に道はない!」


賢治は、人差し指を「!」と、立てて。


「いえ!あります。簡単です。ここにいる養女と言えども、虎雄さんの実の娘、夏海さんが医者になればいいんです」


「馬鹿は、休み休み言いなさい。夏海は今や26歳だもはや医者になるなど手遅れだ。それが、出来たら問題など何もない!」


賢治は夏海に尋ねた。


「夏海さんは、26歳ですよね?窮屈な人間関係に縛られたこんな島なんて飛び出して都会へ出たらどうですか?」


虎雄が、慌てて割って入る。


「君は何を言い出すんだ。夏海には、ワシが選んで好い婿を世話するんだ。余計な事を言い出すな」


賢治、ズバッ!と、虎雄を指差して、


「そうです。夏海さんに婿(むこ)をとればいいんです。しかも医者で加計呂麻島へ来てくれる。一層、都会へ出なきゃいけないですよ」


虎雄は、痛いところをつかれたと渋い顔で膝を叩く。


「夏海さん。海咲(ミサキ)ちゃんと代わってあげて下さい。あなたは、虎雄さんの実の娘なんだから、血統も申し分ない。どうでしょう?」


夏海が何か言いかけた時、奥の部屋からピシャリと虎雄の妻の声がして(ふすま)が開いた。


「夏海は加計呂麻島病院の跡取りはなりませぬ!」


節子……。



つづく

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