39 夏海(なつみ)の手引き
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。父・賢治の手紙で夏休みの間、奄美大島へ来ている。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中から、ひょっこり顔を出した。変な奴。
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。KJの保護者。
愛人(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。
海咲(8)徳浜ビーチで出会った女の子。愛人の娘。今は、祖父母である加計呂麻病院の院長夫婦が無理矢理引き取っている。
村田(26)東京の芸大から戦時中の画家田中一村に憧れて渡って来た絵描き。
夏海(28)加計呂麻島病院の院長の愛人との子。院長夫人が強引に引き取り養女として育てられた。
加計呂麻島病院は、出発の島渡りの古仁屋港と瀬相港を結ぶ加計呂麻島一番の町にある。
離島の繁華街である今日の作家・宮里賢治の島では珍しい講演会へ加計呂麻島病院のロビーは島人で溢れている。
いつもは、顔見知りのフリーパス来院の加計呂麻島病院も、今日ばっかりは、警備のガードマンの顔もみえるーー。
愛人の軽自動車が海岸線を走る。後部座席に、KJと若葉、助手席には村田もついてきた。
愛人バックミラーで後ろの二人を覗いて
「ごめんなさいね。せっかくのお父さんの講演会に遅れちゃったわね」
「かまへん。かまへん。お父さんの話はたくさん聞いて来たから」
ガレージに愛人の車を止めると島では見慣れない顔のガードマンが近づいてきた。
「お前たちの調べはついてる。徳浜でお嬢さんをつけ回した怪しい小僧だろう」
助手席から村田が身を乗り出して、
「人違いじゃないですか?ここに居るのは私の家族です。私は、宮里先生の大ファンでね。先生の講演を聞きにわざわざ東京から来たんです早く通してくれませんか?」
「いや、確かにこの車は、院長夫人からマークするように注意された車だ。間違いないはずだが・・!」
ガードマンがどこかへ無線で連絡すると、病院から若い女性の事務員がやって来た。事務員は愛人を見つけるとペコリと頭を下げた。
「愛人さん!父や養母が勝手をして、ご免なさい」
「よかった。夏海さんで!」
「兄が事故で亡くなってから、愛人さんには辛い思いをさせて・・・」
「実はその事で夏海さんに相談があるの」
愛人は夏海へ耳打ちした。
夏海は、一瞬で協力の決意を固めたようで頷いた。
夏海、ガードマンたちへ、
「この方たちは、私の友人です。下がっていいわ」
と、ガードマン達を下がらせた。
夏海、「海咲もここに居ます、案内します。ついて来てください」愛人たちを先導して加計呂麻島の裏口へ手引きした。
2日連載飛ばして申し訳な御座いません。今話も走るように書いてます。構成のガタガタや、設定のミスあったらご免なさい。




