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秘密結社KJラボ☆  作者: 星川亮司
2章初恋のハイビスカス
57/82

35 ボクは恋について知りたいんだ

KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。父・賢治の手紙で夏休みの間、奄美大島へ来ている。


宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中から、ひょっこり顔を出した。変な奴。


花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。KJの保護者。



愛人(カナ)(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。


海咲(ミサキ)(8)徳浜ビーチで出会った女の子。愛人(カナ)の娘。今は、祖父母である加計呂麻病院の院長夫婦が無理矢理引き取っている。


リリィおばぁ(76)愛人カナの島唯一の理解者

「お父さん。ボクは恋について知りたいんだ」


KJのぶちゃあげた質問に賢治以外の大人達は困ってしまった。


「いいかいKJ少年。君たちの年代の愛だの恋だのは、未完成でとっても危険なんだ」


賢治はすべてを見通しているかのような達観した口調でKJを見つめる。


「今夜わたしは、君の成長を確かめに来たんだ。町内の問題児が旅を経験し何を学んで成長するかを」


落ち着きを与える優しい声だった。


KJは正面にいるこのチャランポランなのか、達観した仙人のような作家なのか、だが、一言で他人を制して包み込む雰囲気を持っていることに気づいた。こちらのすべてを見通す洞察力も備えている。


賢治は身を乗り出して、顔を近づけKJの耳元で囁いた。


「かわいい娘かい?」


「なんで・・・?」


KJが驚いて見返すと、賢治は片目をつぶり「少年の顔にすべて書いてあるよ」


賢治は確かに見通している。KJの置かれた立場、状況を正しく把握している。KJはすべてを打ち明けたい気持ちになった。


「はい・・・めっちゃかわいい子です」


KJが告白すると、賢治は懐かしい気持ちを見るように、親しみのこもった笑顔を見せた。


「つらいのか?」


「なんで、お父さんは・・・」


1ヶ月も失踪していたのに一緒に居ない間の心の内を誰よりも見通している。変な奴とは思っていたけど、この人はとんでもない人かも知れない。


「どうでしょうーー」賢治は愛人(カナ)、若葉、リリィおばぁに尋ねた。


「この少年をなんとか助けてやれないものでしょうか?」



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