24 愛を込めて
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中。
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている女子高生。
愛人(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。
海咲(8)亡くなった父方の祖父母へ引き取られた愛人の娘。
リリィおばぁ(76)
「先にちゃんと朝食食べなさい」
若葉は手紙と引き替えに朝食を食べさせた。
若葉に言われてKJは仕方なく、ハムエッグに醤油をかけ口へ突っ込んだ。
「ゴハンもちゃんと食べなさい」
若葉はきっちりしている。若葉は手紙を見ながら、KJに、
「あら、海咲ちゃんから、KJへお手紙よ」
KJは慌てて食事を飲み込み、手紙の差出人を見た。
封筒は加計呂麻島病院事務局からになってるが、海咲の署名があった。
KJは破かんばかりに急いで、それでいて丁寧に封を切った。
親愛なる宮里 賢太さまことKJへ
『お元気ですか。わたしたちがしたことで、KJが困ったり悩んだりしていないを心配しています。わたしにとって、あの日はとてもキラキラした1日でした。いつか、もう一度、会える日が来ますように』
ーー愛を込めて、海咲
簡単な言葉だったが、KJにはそれで十分だった。
海咲ちゃんは嫌ってない。また、会いたいと言ってくれる。天にも昇らんばかりに嬉しい。
KJの心は、太陽がいきなり朝からお昼頃のアツアツ、ピーカン天気になるように飛び上がった。
なにより「愛を込めてーー」の一行が特別嬉しい!
若葉が冷静に日本茶をすすりながら、
「なによあんた、今にも飛び出しそうね」
KJは若葉に手紙を見せつけ、
「海咲ちゃんが、ボクに会いたいって!」
つづく




