23 手紙
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中。
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている女子高生。
愛人(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。
海咲(8)徳浜ビーチで出会った女の子。
リリィおばぁ(76)
次の日の朝。
KJは、昨晩、遅くまで夜更かししたものだから、頭がボーッとしてハッキリしない。何もやる気が起こらない。
愛人さんは、朝早くに出掛け、リリィおばぁは、病院のボケ防止のデイケアへ行った。若葉はきっちりしているから、朝きっかりKJを起こして朝食だ。
KJはまるで食欲も気力もない。
いや、ただ一つあった海咲ちゃんに会いたい。
しかし、どうすれば海咲に会えるのか分からない。2度と会えないかもしれない。唯一の機会だった海にもお婆様の監視があるからどうなることやら・・・。
昨日の手紙はいつ届くだろう。海咲に届いて気持ちが伝わったとしても、昨日のようにお婆様に叱られたりもう迷惑はかけたくない。
「KJ食べないの?冷えちゃうわよ」
今日は、リリィおばぁが作って行った味噌汁に奄美大島のヤマアの粒味噌を使っている。
それだけだと、子供には地味だから、若葉が白米を2合炊き。ハムに卵を落としてハムエッグだ。
若葉は、先に朝食を終え、日本茶をすすっている。
KJは箸もつけず。
「お腹がすかへんねん」
「(若葉ニヤニヤと)おっと、恋の病かしら?」
「えっ?恋って病気なの?」
「さて、夏休みの終わりまでに治かしら・・・大変だわ・・・」
「治らんかったらどうなるの?」
「・・・死んじゃうかも!」
目を見開きびっくりするKJ。
「ウフフ、ウソよ。恋では人は死にませ~ん」
ピンポーン。
若葉が玄関から手紙を携えてもどると、
「加計呂麻島病院の事務局から手紙よ」
愛人の機転で、加計呂麻島病院の事務局の親しい友人宛てで昨晩送った手紙の返事がもう届いた。
作者、今気づいたのですが、2章「初恋のハイビスカス」が、本編の連載を越えて来ました。昔、偉いおっさんが言ってましたが、作家もコツコツ毎日書きすすめる真面目さがないとなれないよ。
わたし、無責任でチャランポランですけど、案外、真面目なんですね☺




