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秘密結社KJラボ☆  作者: 星川亮司
2章初恋のハイビスカス
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22 恋の百人一首

KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。


宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中。


花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている女子高生。



愛人(カナ)(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。


海咲(ミサキ)(8)徳浜ビーチで出会った女の子。


リリィおばぁ(76)

愛人(カナ)は百人一首カルタを3枚を選んでKJへ渡した。


『難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき 』


(この蘆の根のひと節のように短い、一夜かぎりのあなたとの恋。あの難波の海のみおつくしのように、この身をつくしてあなたを恋し続けるのでしょうか)


~皇嘉門院別当~



『わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思ふ 』


(あなたとの恋のうわさが世間に知れ渡ってしまった。こんなに思いやむなら、身を捨てたも同じ事。難波の海のみおつくしのようにどうなってもかまわないからあなたに会いたい)


~元良親王~



『しのぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで』


(私の恋を誰にも知られないように、心にひめていたのに、

とうとう顔色に出てしまったようだ なにか、物思いをしているのですかと、人がたずねるほどに・・)


~平兼盛~



「KJくんには、この3枚かしら」


「・・・ムム。むずかしい・・・」


愛人(カナ)は、皇嘉門院別当をとって、


「これは出会いの歌。"みをつくし"の意味は難波江の入江へ立てられた水路の標識。入江へ一人ぼっちで残された様ってとこかしら」


「お婆様が、海咲(ミサキ)ちゃんを連れ去った後の気持ちだ。何百年も昔の人が百人一首で歌ってたんだね」


愛人(カナ)、元良親王の札をめくって、


海咲(ミサキ)の気持ちはこんなところかしら?」


「ボクは海咲(ミサキ)ちゃんにまた会いたい。海咲(ミサキ)はどうやろう?」


愛人(カナ)、平兼盛をめくって、ウフフ。


「KJくんの気持ちは、平兼盛のように、隠せないわね」


「こんなにたくさん昔の人も恋の歌を詠んでいるんやね」


「もちろん。たくさんの人がこの歌を詠んで伝えて来ました。KJくんはどう?」


「はい。気に入りました」


KJは声に出さず心で歌った。この百人一首の歌人たちも、愛人(カナ)さんも、KJの心を分かち合ってくれたように感じる。


愛人(カナ)ーー」KJは訪ねた。「ボクは、恋をしているの?」


愛人(カナ)は、真っ直ぐKJを見つめて、


「あなたはまだ若い!」


「でも・・・」


KJは答えを聞きたかった。愛人(カナ)は、こう言うだけだった。


「私にはホントのところは分からない。(KJの胸へ手をあて)ちゃんと自分でここに聞いてみないとね」


その言葉には、愛人(カナ)の甘く、とても切ない苦しい思い出が秘められていた。


だが、KJはそのことを悟には若すぎた。KJは、日付が変わるまで海咲(ミサキ)への手紙を書き上げた。その後は、百人一首の札を枕元へ並べ読みふけっていた。










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