21 KJのラブレター
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中。
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている女子高生。
愛人(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。
海咲(8)徳浜ビーチで出会った女の子。
リリィおばぁ(76)
海咲ちゃんへ
『ボクが海へさそったことで、お婆様に怒られていたらごめんなさい。でも、めっちゃ楽しかったです。海咲ちゃんがお母さんに会いたいと聞きました。ボクならなんとかできると思うんだ。たぶんーー』
KJは、頭をフル回転してそこまで書いた。だけど言葉がつづかなかった。頭の中では想いがぐるぐる回っているのに、それをどう書いたらいいかわからない。今日ほどお父さんが気まぐれに書いてくれていた。感想文の書き方の方法をマジメにやっておけばと思った事はない。
「KJくん書けた?」
愛人さんが、右から手紙を覗いて来た。
KJは慌てて、なんだか恥ずかしくて、教科書を引き寄せ、手紙を挟んだ。
左から若葉が、教科書を取り上げ、隠した手紙を奪いとって読み上げた。
「なになに、『ボクが海へさそったことで・・・』普通に簡潔に良く書けてるじゃない。イタズラばっかりしてるけど、さすが、作家の息子ね」
若葉、「見て下さい」と、愛人へ渡す。
愛人、「ウフフ」と微笑んだ。
「良く書けてるわね。でもまだ、勉強が必要ね」
と、言って奥へ行って百人一首を持って来て、坊主めくりでもするようにカルタを広げて、数枚を選んでKJへ渡した。
「わたしはお父さんのように作家じゃないから、難しいことまでは分からないけれど、大学で和歌。百人一首を習ったのそこにもたくさん恋の歌があったわ。創作のヒントになるんじゃないかしら?」
つづく
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