14 KJ叱られる・・・。
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中。
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
愛人(32)奄美大島で観光ガイドをしている。賢治の亡くなった妻・涼子に瓜二つ。
海咲(8)徳浜ビーチで出会った女の子。
海のテントのおばぁ(78)
「KJ、あんた何したの?」
若い叔母で保護者の若葉の声がした。いつの間にかKJの横へ来ている。お婆様の叫び声を聞いて慌てて駆けつけたのだ。
「若葉・・・」
KJは呆然として、若葉を見上げた。いつも優しい若葉が、眉を寄せて厳しい目でKJを叱るように睨んでいる。
「まったく、あんたどういうことなの?」
若葉は、KJのこめかみをグリグリして終わりにしたかったけど、人目があるので凛と叱りつけている。
「海で泳いだ事がないって言うから・・・」
KJの言い訳には耳を貸さず、ヤシの木の向こうのガレージを指差す。
「今日は帰りましょう。さあ、体を拭いて」
成り行きを見守っていた人々が、パラパラ海へ戻って行った。
海のテントのおばぁの店で、KJは体を拭きながら、グツグツ不満が沸いてきた。何でボクが怒られなきゃならんねん!海咲ちゃんと二人で、少し遊んだだけやないか・・・。
着替えをすませたKJをおばぁが見つけて、
「楽しんだかぃ?」
KJはおばぁを見つめ、首を横へ振った。
おばぁは、おやおやと言う顔をした。
つづく




