4 悪魔の実
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家。失踪中。
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
「え?!ゴムゴムの実もあんの?」
「ゴムゴムかどうかはわかんないけど、悪魔の実はあるわ」
若葉は、空港の売店を見回して、真っ赤なトゲトゲの実を見つけ、「どうぞ」と、KJへ渡す。
「ホンマや!悪魔の実や!!」
「でしょ。でもホントは悪魔の実じゃないの」
と、店員さんに渡してカットしてもらう。
「ええっ!どこをどう見ても悪魔の実やん」
若葉は首を振って、店員さんから、真っ二つにカットした実に、小さなみかんのようなシークヮーサーを搾って、実とスプーンをもらいKJへ渡す。
「食べてごらんなさい」
「・・・ぼくが能力者になったら、若葉も航海士として一味に入れたろか?」
「(ヒヒっと笑って)遠慮しとくわ。まずは、一口食べてみなさい」
KJ、タネのように小さいゴマのようなぷるんとした実を一口スプーンですくって食べる。
「うっ!」
KJ、うずくまる。
「ど、どうしたの?」
「すっぱーー!(フランキーがシャキーン!)、けど、あま~い(チョッパーが溶けるように)」
「でしょう。キウイとスイカの間みたいじゃない?」
「これで僕も能力者や!」
「試してみよう!」
若葉は、手をひらいてパンチを要求する。
「ゴムゴムの~~ジェットピストル!!」
「!」
KJのパンチが、的を外れ若葉のお腹へ入る。
「・・・バカ。あんた、それはドラゴンフルーツよ。本気でやってどうするの・・・」
「ううう・・・」と、うずくまる若葉。
「うーー!あーー!」
KJは、一瞬で、悪魔の実の能力を奪われた・・・。
「・・・あの、大丈夫ですか?・・・もしかするとKJくんと若葉さんじゃないですか?」
空港の待合ロビーでKJと若葉でアホやってると、懐かしい声のする麦ワラの女性が、若葉へ寄り添い抱き起こし声をかけて来た。
つづく。




