3 8月16日 奄美大島ーー
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
雲の切れ間から、マリンブルーの海。マングローブの緑の森に、包まれた奄美大島が眼下に広がる。
搭乗口から、KJと若葉がおしゃれに揃いのカンガルーマークのキャップをかぶって降りてくる。
出迎えの美女が、ハイビスカスの花輪を二人の首にかける。
終始ハッピーな笑顔が消えない若葉。
「来たわ奄美大島!待ってろ南国リゾート!!」
KJはいつものサングラスと、キャップを目深にかぶって、表情が見えない。
「へー」
「うれしくないの?」
「そうなの・・・」
「あ!あんたまだ怒ってんの?」
「別にーー」
「(ちょっと昔の沢尻えりかみたいね)わたしがムリヤリ麦ワラじゃなくて、カンガルーのキャップにしたのが、そんなに気に入らないの?」
「僕は奄美大島の海賊王になるんや」
「ごめんね。飛行機で麦ワラはナイって思ったの。後で買ってあげるわよ」
「へー。そうなの」
「(まったく拗ねちゃって)・・・そうだ!知ってる?奄美大島には悪魔の実があるって!」
つづく




