~プロローグ1~
<登場人物>
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
ジージーと木立のセミの声。
風にゆれる風鈴。
窓枠に吊るしたスダレの陰で、売れない作家・宮里賢治の一人息子・賢太ことKJは、本が山積みの書斎の机に紛れて、書いては消し、消しては書きと、何やら頭を捻っている。
「KJ、もう3時よ。絵日記の宿題はまとめてやらないで、毎日、ちょっとずつやりなさいって言ってるでしょう!」
と、高校3年生の若い叔母・若葉が、お盆へ水滴のついた麦茶のグラスと、おやつに塩ゆでした落花生を運んで来た。
「また、落花生かよ。せめて皮むいてピーナッツにしてもって来てや」
「しかたないでしょう。わたしもそうしたいけど数が多いからメンドクサイのよ」
「おばあちゃんに頼めばいいやんか?」
「母さんも田舎からたくさん送って来たからしかたなくて処理がメンドクサイから持たせたのかもね」
"ピンポーン"
と、玄関のインターフォンが鳴った。
若葉が郵便屋から封筒を受け取って上がってきた。
「KJたいへんよ!」
何事と、サングラスを下げ、お婆さんみたいな上目遣いで若葉をみやるKJ。
「義兄さんから封筒が届いたわ!
つづく」




