20 月がきれいだから
kjこと宮里賢太は、町の問題児。売れない作家宮里賢治の一人息子だ。
母、涼子を交通事故で早くに無くし、賢治の不在中は、涼子と歳の離れた女子高生の妹、若葉が身の回りの世話をしている。
そんな、夏のある日の夜・・・。
<登場人物>
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
マチコ先生(32)kjの1年1組の担任。
空に月が輝いた。
kjの家の向かいの巨大なコンクリのタコの滑り台があるタコ公園へ、バケツを提げたマチコを先頭に、若葉と手を繋いで、アイスキャンディーをしゃぶってkjがやって来る。
「賢太くんには、カシミールカレーは辛すぎたわね?」
「わたしが、一口たべて辛かったんだから、甘いカレーの王子さまを卒業したてのkjにはムリだって言ったのに、食べちゃうんだからまったく」
kj、キャンディをしゃぶりながら、マチコに指で6の字を作りグーしている。
「kjあんた、喋れないぐらい辛かったんじゃないの?お陰でマチコ先生にアイスキャンディー買ってもらってラッキーだったわね」
マチコ、公園の広場へバケツを置き、リュックサックから、花火セットを取り出す。
「奮発しちゃった」
日本の心、線香花火。
サラサラとすすき、シュパーッとスパーク、手持ち花火。
火山のような噴花花火。
夜空に打ち上がる連発打上げ花火。
「kjやっぱり夏は花火よね。わたしも子供の頃お姉ちゃんとよくやったわ懐かしい」
マチコの機転で夜空に咲いた打上げ花火をみあげ、kjは泣いている。
「あら?どうしたの賢太くん?」
kj涙を脱ぐって、首を一生懸命横に振る。
若葉、kjの肩を抱いてやる。
「姉のこと思いだしちゃったのかも知れないね」
「賢太くんの亡くなったお母さん?」
「姉はkjがヨチヨチ歩きの時、交通事故で亡くなって、姉と母子の記憶がないんです」
kj、若葉の手を払って、
「ちがうわい!目にゴミが入っただけや!」
マチコ、サッと、kjを包み込むように抱きしめる。
「淋しかったわね」
「淋しくなんかあらへんわ!」
kj、マチコの手を振りほどこうとするが、マチコはぎゅっと強い力で抱きしめはなさない。
kj黙ってそのまま肩をゆする。
若葉が、
「あら、kjやっぱり泣いてるじゃない」
kj、月を見上げて涙をこらえ、
「ちゃうわ!月がきれいだから・・・」
マチコ、kjの言葉が終るか終わらないかで、頭を胸に抱き寄せる。
「強いわね賢太くん・・・」
ヒューー!ヒューー!
バン!バン!
突然!空気を裂くように、ヒュンヒュンと、3人にロケット花火が撃ち込まれた。
つづく・・・。
賢治の助けが得られないポンコツ作者!お前が書かなきゃつづきは生まれないぞ!がんばれ作者!けっぱれ作者!馬車馬のように執筆して燃え尽きるんだ!!




