17 まいっちんぐ
【秘密結社kjラボここまでのストーリー】
kjこと宮里賢太は、町の問題児。売れない作家宮里賢治の一人息子だ。
母、涼子を交通事故で早くに無くし、賢治の不在中は、涼子と歳の離れた女子高生の妹、若葉が身の回りの世話をしている。
そんな、夏のある日。
<登場人物>
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
「すみません~、宮里さんご在宅でしょうか~?」
若葉が玄関まで来ると、若いスポーティーな動きやすい登山服と登山帽をかぶった女性が立っていた。
ウダウダと、柱の影から顔を出すKJ。
「マチコ先生!どうしてここへ?」
「こんにちは賢太くん。お父さんは、ご在宅?」
「はは~ん」と、若葉、マチコ先生と呼ばれた女性の頭の先から爪先まで値踏みするように、
「上から、90、58、88、Gカップね。くーっ、かろうじて負けたわ」
(なんのことやら)と、マチコ。kjと若葉を見やって、
「賢太くん。こちらは?」
若葉、ズイッと一歩でて、
「叔母の若葉です。あいにく、義兄は、取材で出払っておりますが」
マチコ、チラと、暗算するように上を見て、
「ずいぶんお若い叔母さんね。賢太くん、他の保護者の方は?」
若葉、ズズズいっと、肩をkjとマチコの間に差し込んで、
「(負けないぞと)選挙権もあります。義兄が不在のおりは、家事一切から、kjの身の回りの世話まで任されています。ご用の方はわたしが承ります!」
しかたないかとマチコ。
「いえ、実は、さっき肉屋の花田さん家へ買い物へ寄った時、花田くんのお母さんから、賢太くんのお父さんが、取材で賢太くんマトモな物食べてないんじゃないかって聞いたもので・・・」
と、背中を見せると、背負ったリュックサックに突き立つフランスパン。
「(若葉、めざとく)あッ!フランスパン!」
つづく
(次回、「台所は女の戦場!」英気執筆中です。