14 賢治の失踪!
<登場人物>
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
「起きて、KJ大変よ!」
二階の部屋で、布団に包まって芋虫みたいにグズグズしているKJを、階段下から、制服の若葉が、叫んでいる。
目覚まし時計はまだ7時だ。ベルが鳴るにはまだ30分ある。
「まだ早いよ」と、布団をうちかぶり背を向けるKJ。
トントントンと、階段を駆け上がり、若葉が、一気に襖を開けて飛び込んで来た。
「KJ!義兄さんがいなくなったの‼︎」
「(めんどくさそうに)いつもの取材でしょ」
「ちがうわ、見なさい!」
布団を剥ぎ取って、手に持った書置きを見せる若葉。
”しばらく旅へ出ます。探さないで下さい”
「(目をこすって)どうせ、取材だから、すぐに帰ってくるよ」
「でも、今日は、わざわざ書置きなんかして、”旅に出る探さないで”って書いてるのよ。ただ事じゃないわ」
「いつものことさ・・・」
その日から、一月たった。いつもは、長くても一週間で帰ってくる父さんが、帰ってこない。
生活は、若い叔母の若葉が泊まり込みで朝夕、食事の世話なりしてくれるから困らないけど、やっぱり、淋しい。
学校の帰り一人になると、お父さんに捨てられたような気がしてくる。
若葉がお母さんの代わりをしてくれているから、淋しいのは、ほんのわずかな間しか感じないけど、お父さん、いったいどこへ行ったのだろう。
親の務めを放棄して、いったい賢治はどこへ行ってしまったのか。どうなるkj、どうなるうら若き叔母・若葉さん。次回、「kj熱をだす」