11 H
kjこと宮里賢太は、町の問題児。売れない作家宮里賢治の一人息子だ。
母、涼子を交通事故で早くに無くし、賢治の不在中は、涼子と歳の離れた女子高生の妹、若葉が身の回りの世話をしている。
そんな、夏のある日の早朝・・・。
<登場人物>
KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。
宮里賢治(36)KJの父、売れない作家
花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。
目覚ましのスマホが鳴った。
若葉は、台所でトントントンと、小気味よくまな板をうつ。
水から煮立てた昆布だし、サッとすくって、鰹節。オタマでチョロっと、味を見て「抜群よ!」と自画自賛。
「kj、ちょっと義兄さん起こしてきて、おいしく出来たわよって加えてね!」
「ヴァ~ヴァ~ヴァ~」首振る扇風機を右に左に独り占め、kjごろりと知らん振り。
キラーンッ!若葉のオタマが光る。
「コン!」
「痛!!」
「一回で聞きなさい、一回で!お父さんに習わなかった!!」
「父さんにぶたれた事無いのに、頭叩くと馬鹿になるのに‥‥」
若葉、「以外ね」と思わぬ反応。
「義兄さん、口が悪いのに平和主義者なの?以外ね」
kj、仕返しとばかりに胸を触ろうと手を伸ばす
「あッ!」
若葉、わかってましたとオタマでリズムをとり、
「なによ。どうするつもり?」
kj、伸ばした手をそのまま、ヒョイットそりあげて、
「♪月が~出た出た~月が~あ、出た~」
「コン!」
「騙されるか!」
頭を両手で抱えふくれるkj。
若葉、やり過ぎたかな?と、頭をさすってやろうと手を伸ばす、
「キャー!」
「へへン」とkj、さっと逃げて、
「今日はサービスだからな、僕は大人の女にしか興味ないんだ」
「(わなわなと、)チッ、小1の癖に生意気ね。私も、子供には‥‥」
サササと忍者のように、逃げてゆくkj。
kjを見送って、賢治の居る二階へ上がって行く若葉・・・。
「(若葉心の声)どうしよう、間違っていきなり抱きつかれたら!キャー」
頬を赤く染め、ニンマリとほくそえむ若葉であった。
毎日、暑いですね。しっかり、水分補給してご活躍下さい。