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秘密結社KJラボ☆  作者: 星川亮司
秘密結社KJラボ☆
10/82

10 グー!

【秘密結社kjラボここまでのストーリー】


kjこと宮里賢太は、町の問題児。売れない作家宮里賢治の一人息子だ。


母、涼子を交通事故で早くに無くし、涼子と歳の離れた女子高生の妹、若葉が身の回りの世話をしている。


そんな、夏のある日の夕食・・・。


<登場人物>


KJ=宮里賢太(7)小学生でありながらサングラスをかけた町の問題児。


宮里賢治(36)KJの父、売れない作家


花巻若葉(18)KJの叔母、賢治の亡くなった妻、涼子の妹で、押し掛け女房のような事をしている。

オレンジの裸電球がkj、賢治、若葉が囲むテーブルを優しく照らしている。


賢治のおかわりの皿にカレーのルーだけを注ぎ手渡す若葉。


「(kjに)ふーん。そうなの面白そうな話ね。それより、早く食べちゃわないとカレー冷めちゃうわよ」


賢治、若葉からおかわりの皿をうけとって、トボケたそぶりで、カレールーへちぎったフランスパンをつけて食べる。


「カレーはスープより熟だな」


「(裏切った!!)」


唖然とするkj。


「kj!おとぎ話はいいから、ボヤボヤしねぇ~で早く、食っちまえ。全く、誰に似たんだか」


しれーっと、賢治が、たたみかける。


「(騙された!!!)」


呆気にとられるkj。


「で、誰から聞いたんだその手の込んだ作り話は?」


と、賢治は止めを指す。


とりなすように優しく若葉。


「あら、作り話だったの面白かったのに」


「あったり前だ。背景の大航海時代が『宝島』。目的地のガンダーラが『西遊記』。主人公が『マイケル・ジョーダン』バスケットの伝説的なプレーヤーとくりゃやり過ぎ!物書きなら致命的。オチャラケすぎだ」


賢治のカレースープにまつわる伝説の作り話を信じこんでいたkjは、チェッと、口を尖らせて怒ったような表情をみせ、カレーに手をつけない。


「あら、お腹すいてないの?」


kjは返事もせずに若葉へ背を向け、プーっと、ふくれる。


賢治、もちろんkjの心情を見てとって頭を捻って、


「あっ!お前、若葉に甘えよーと思って食わねーんだな」


「(わなわなとむきになって肩を震わせ)甘えてへんよ。僕は、辛口が好みなんだ!!」


へへッ、しめた!と賢治。


「おっ、カレーの王子様は卒業か、今日からは俺と同じ王様だながんばれよキングジュニア」


そうなの?と、若葉。kjの甘口カレーは自分が引き取って、代わりに若葉の辛口カレーを交換してやる。


思わぬ展開に威勢をはったkjは、まだきついであろうスパイシーなカレーをしょうがなく口へ運ぶ。


「辛くない?」と、心配そうな若葉。


kjは、ピリピリ痛い口の中を、必死でこらえてみせる。


そして、小さな指の人差し指と、親指をくっ付けて6の字を作り見栄をはる。


賢治、クスっと可笑しさがこみ上げながら、


「グーだってよ。グーだ。kj、若葉のカレーは旨いって言ってるぜ」


「そうなの、美味しかったのkjありがとね」


そうして、kjは照れくさそうに、顔を背けた。

kj、賢治、若葉の会話劇の回でした。次回、若葉急接近!?

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