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買い物を済ませてから、恭は小学校時代からの友人の家に向かった。今日は彼の24回目の誕生日なのだ。
「ぅおっ、ほんとに来てくれたのか!」
アズサが恭を見た時の第一声だ。恭が少し笑った。
「今日晩飯作りに来くれ!そうしないと俺、誕生日に餓死しちまうよ〜!って言ってたのは、どこの誰ですか?」
「悪かった、マジで死にそうなんだ。風邪ひいちまったからしばらく仕事休んでてさ。」
たしかに、アズサは鼻声だった。
「まあ、なんかしら作ってやるさ。とりあえずお邪魔しまーす。」
そう言って、恭は彼を押しのけて家に侵入した。
「あ゛〜、オレじぬかも。」
「おいおい、大丈夫かよ。」
アズサが何度目になるか分からないくしゃみをした。見ていて可哀想なぐらいだと恭は思った。二人は、小さなテーブルに身を寄せ合って、恭の作った溶き卵粥を食べている。
「お前の卵粥は世界一だっ!」
「悪いけど、朝ご飯は作ってやらないから。」
恭は最後の一口を食べ終わってから、吐息混じりにそう言った。
「ぬぉぉお!なぜだ?!お前はそんな非情な奴だったのか?!」
アズサが大袈裟にリアクションを取る。
「俺はお前の恋人じゃないんだぞ。ましてや、妻でもない。」
呆れたように言ってから、恭は洗い物をする為に、食器を持って台所に向かった。
「妻、か。あいつ元気かな。」
彼が懐かしそうに微笑みながら言うのを聞き、恭の動きが一瞬止った。
「都姫に会ったよ、今朝。」
「……そうか。」
しばらくの間があって、アズサは茶化すことなく頷いた。恭は、今朝の都姫の顔を思い浮かべ、密かに笑みを浮かべた。




