流れろ、ネズミの美少女へ
:「昼、明るい、室内」
「はぁ、ネズミは一生影で暮らすのね」
@実利
「おや、室内に似合わぬ暗さだな、実利。擬人化美少女ネズコンのときの笑顔はどこへいったのか」
@ネエコ
「(何で勝手に上がりこんでくつろいでるのよ)
ついに現れたわね、元凶!」
@実利
「元凶は酷いなぁ。今日の全種族擬人化コンテストのことだろう?私は一位でお主は最下位。まず恨むべきは下から二番目だろうに」
@ネエコ
「ふん。猫は優遇されすぎなのよ」
@実利
「くくく、何を当然のことを。一般審査なのだぞ?流行の種族が優遇されても仕方なかろう
(まあもはや流行というより猫の為のコンテストになってはいるがな)」
@ネエコ
「あーあー、猫ブームはしばらく終わりそうにないわ。ネズミの時代はいつなのかしら?」
@実利
「(む、これだと次の全種族コンを辞退しかねんな。実利の赤っ恥だけが楽しみだというのに)
ふむ、そうだなあ。ではネズミブームを作ってみてはどうだ?」
@ネエコ
「え、ブームって自分で作れるの?」
@実利
「あー、まあ。運と素材がよければな」
@ネエコ
「どっちも私は自信あるわ!教えて頂戴!」
@実利
「そうか。ではまず一つ目だがな。……いや、これは後に回すか
(こっちが先だと落ち込みかねんし)」
@ネエコ
「えー、何よ!そっち先がいいわ!そっち先に紹介してよ!」
@実利
「(むぅ、仕方ないな)
では、まず一つ目。ネズミブームが起こるほどの大ヒットを起こすこと。つまりは超絶美少女の擬人化ネズミがコンテストに出て会場を沸かし、ネズミブームを引き起こせばよい」
@ネエコ
「なるほど!じゃあ来週やってみるわ!」
@実利
「(お主が超絶美少女なら既にネズミブームはきているはずだろうに)」
@ネエコ
:「一週間後、」
「……今朝のコンテストもダメだった。最下位よ」
@実利
「(まあそうだろうな)
すまんな。役に立たない策を授けてしまって
(最下位のときの涙目は可愛いんだけどなぁ)」
@ネエコ
「ふ、この程度ではめげないわ。さあ次の策を頂戴」
@実利
「うむ、その意気だぞ。二つ目は流行に会わせて人気を取り、徐々に本来の自分に近づけていくこと。つまり猫に変装してコンテストに出て、人気が出たら徐々にネズミに近づけていけばよい」
@ネエコ
「それってルール違反じゃないかしら?」
@実利
「いやいや、種族ネズミとして登録すれば大丈夫。古い手段だから浮くかもしれんがな。どれ、ちょっとやってみるか」
@ネエコ
:「耳をリボンで曲げる、尻尾を綿で大きく見せる」
「どんな感じ?大きな鏡がないから分りにくいわ」
@実利
「(むぉ、な、何とも素晴らしい。こりゃああれか。猫ではないからこその良さかもしれんな)
うむ、うん。その辺の猫ならまず落とせるだろうな」
@ネエコ
「猫の方が向いてるのかしら?まあいいや。次回からはこれで行くわよ!」
@実利
:「二週間後」
「うわーん!前回は良かったのに!前回は良かったのにー!」
@実利
「(いやぁ、この姿の泣き顔は本当にくるものがあるな。多分私より可愛いと思うが)
前回は三位だったのになぁ。まさかネズミっぽくに近づける前に最下位とは
(会場の反応は良さそうだった気がするが)」
@ネエコ
「もういいわよ!次の策よ!」
@実利
「ああ。でもこの策はあんまり実力を使う策ではないぞ?それに最後の策だし」
@ネエコ
「……とりあえず聞く」
@実利
「そうか。三つ目は自分、或いは自分の得意分野を好む審査員を集めて、場の雰囲気を奪うこと。つまりネズミ好きや、……そうだなぁ、サディズムな趣味の審査員を会場に集めれば良い。一般審査だからこそできる策ともいえるな」
@ネエコ
「なるほど。いやでも何でサディズムな審査員なの?ネズミ好きはわかるけど」
@実利
「(自分の持ち味をわかってないな)
まあいいから。一位だって夢じゃないかも知れんぞ」
@ネエコ
@一週間後
「…………もうダメ」
@実利
「(まさか客が来ないとは)
コンテストの開催者、カンカンに怒っていたな」
@ネエコ
「コンテスト追放されたんじゃどうしようもないじゃないのよー!」
@実利
「私もだ。まさか性別がばれるとは思わなかった
(人が居ないからってストリップの真似事なんかするんじゃなかった)」
@ネエコ
「……ああ、あれは驚いたわ。あなたってどっちの性別なの?」
@実利
「勿論両性だ。男で美少女コンテストに出たらさすがに詐欺だろう?」
@ネエコ
「(両性具有でも詐欺だと思うわ)
まあ次は美男子コンテストで頑張ることね」
@実利
「そっちも追放済みだけどな」
@ネエコ
「そう」
@実利
:「三週間後」
「おい、コンテストに復帰できるとは本当か!」
@ネエコ
「ええ。ほら、この手紙」
@実利
「実利様、ネエコ様へ。いかがお過ごしでしょうか。前にご報告申し上げたコンテスト追放の件ですが、皆様方からの反対の声が多く、開催者側でも不当な判断であったとの結論へといたりました。また、前の審査員不参加は、お二方への愛情表現との声を多数いただいております。是非、今週からのコンテストには自信を持ってご参加くださいませ。何卒ご参加をよろしくお願い申し上げます。どうかご参加くださいませ。開催者より」
@手紙
「生臭いと思ったら血文字か。軟らかい表現だが暴動のような状態なのだろうな
(あれ、私への愛情表現も込み?私のイメージってクールな策略家キャラだろうに)」
@ネエコ
「最後に出たとき観客居なかったでしょ?開催者に怒られる私を見るために外にいたらしいのよ。皆で団結してね。悪趣味極まりないわ」
@実利
「くくく、泣き顔のために最下位だったのか。
(途中で順位上がったのはサドじゃない猫の仕業だな)
いや、よかったな。実際の人気は一位かもしれんぞ?」
@ネエコ
「そうかしら、ストリップするネコさんの方が人気らしいわよ」
@実利
「え?はぁ?うわ、え、見られてたのか?見られてたんだな!
(手紙に私が含まれてたのはそういうことか!)
く、くそぅ!もう私はコンテストなんかでないぞ!」
@ネエコ
「はいはい、でも一回は出ないと主催者が死にかねないでしょ。さあ行くわよー」
@実利
[ずるずるずるずる]
「わー!頼む、やめてくれぇ!私は一生影の中で暮らすんだ!お嫁にもお婿にもいけなくなるじゃないかー!実利ぃ!うわぁん!」
@ネエコ
「(うわ、可愛いなぁ。これなら私より下にいけるんじゃないかしら?)」
@実利
:「コンテストのサディストは、実利の初参加時点の四割だったが、二人が追い出された時点で九割を超えていた。ワースト一の猫、ワースト二のネズミは毎週の人気者となる。順位発表の涙目はコンテストの目玉となる。二人は毎回恥ずかしさに本気で泣き、汚名返上を目指してコンテストに参加し続けるのだった」
@この設定になるまでの設定@
実利:(みり)
「擬人化したネズミの美少女。ネズミの美少女コンテストでは一位をとってます。特に最初のイメージから脱線してません。最後にサディズムっぽくなるのも予定調和です」
ネエコ:(ねえこ)
「擬人化した猫の美両性具有者。最後には痛い目を見る役。最初は女の子の予定でした」
舞台
「擬人化コンテストが行われているようなところです。最初は『ネエコが実利のファンになるエンド』を考えてましたが書くノリで今みたいな感じに。息抜きできるほのぼのした感じのストーリーになったと思います」
@その他メモ@
今回は『成り上がる感じ』を書こうと思って書きました。まあ最初から人気ある感じになってますが。エンディングは書きながら考える形です。このくらいのノリとテンポが今の理想。