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兄達、弟の為に走る(笑

騎士の気持ち

作者: 藍佳印

アップ。ありがち。

 顔を真っ赤にして俯く姿は普通なら(・・・・)庇護欲を誘うモノだろう。だが、若干胸が見えるようにある立ち位置は計算しつくしたように見える。


 生憎、信じる要素が皆無である。ただ、彼女を憐れむ気持ちに嘘偽りはない。たとえ、彼女に非があろうとも。この気持ちはおそらく消えないだろう。ああ、全ての色仕掛けに失敗して、気づかずにやっているなんて、可哀そうで可哀そうで。


 ある日の出来事、彼女は第4王子ライナス――ライに手作りクッキーを渡していた。


 『あのっ、ライナス様!これ……作ったんです。よ、よかったら食べてください』

 『ああ、頂くよ。ありがとう』


 もちろん王族特有の極上スマイルを添えてお礼を言うライ。その後、


 『シナモンが効いていて上手かった』

 『はい、よ、良かったです。そこは工夫した個所で』


 などなどと言う会話があった。だが、明らかに手作りと思われるクッキー。結局、ライは一口も食べずに


 『あの、殿下コレはいかがしましょうか?』

 『ん?ああ、貰ったんだが、今日はシュナイゼル兄上とご飯を食べる日だ。食べてしまって夕飯が入らないのは元も子もないからな。かといって捨てるのも……。うん、誰かが食べてくれると助かる、あと細かい感想も書いといてくれ。後、念のため解毒の魔法をかけてから』

 『かしこまりました』


 と、いう事があった。察しの通りである。ライは一口も食べず、結局使用人の一人アルマ――女の名前っぽいが男である。本人に言うと笑顔でダガーが飛んでくる為、名前でからかうのはタブーである。――が食べ


 『証拠残ると拙いですし、いちいち消すのも面倒なので口頭で伝えに来ました』

 『ああ、忙しいのにすまないな』

 『お気になさらず。程よいシナモンが効いていて美味しかったですよ。おそらく健康面に考慮してハーブも配合してあるかと思います。オリジナルの配合でしょうね。全ての良さが引き立っていました。後、毒ははいっていませんでしたよ』

 『そうか、ありがとう』

 『いえ、こちらのおなかも膨れたので構いません。次もよければ』

 『ああ、頼む』


 あれから、ライに渡されたモノはアルマが処理し細かく感想を言っている。



 また、ある時には


 『あの、キュルグ君!!』

 『屋敷きて』

 『え!?でも、いきなりそんな』

 『いいから』


 お分かりになるだろうか。この会話が成り立っていない。キュルグ――ちなみにライの双子の兄の第3王子である――は少々口数が少ない。この時、


 訳『君の身体が気になるから精密検査させて。君、明らかに普通じゃないから気になる。普通の人間じゃあり得ない立ちまわりだったし』


 ちなみにこの日の出来事は魔物に襲われてすぐの事である。そしてキュルグは生粋の研究者気質である。


 訳『いいから、一人の研究者としては君の身体の神秘が凄く気になるの。早くして』



 まぁ、自業自得とはいえ続くとさすがに可哀そうとは思う。まぁ、彼女を好きになるかは別問題としてだが。


 そもそも顔・権力・能力はあってもプライベートはアレなのをことごとく狙うのは趣味が悪いというかなんというか。いや、個人的には可愛い弟分達だが。オレは女じゃないから分からないが。あるいは、異界の巫女殿の世界だとコレが普通なのかもしれない。


 まぁ、人の趣味にどうこういう気はない。オレはさりげなさを装ってそこを抜けた。ゆえに、気づかなかった彼女の叫びを。


 「え、またイレギュラー!?バグってるの!?私みたいなのが他にいる。あるいは私がいることで起きたバグかしら。いえ、でも彼らを救い、彼らの心の拠り所になるのは私よ。待ってなさい。せっかくこの世界に召喚されたんだもの。もしかしたら転生者の存在の可能性もあるわね」


シュナイゼルは第2王子様。

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