冒険58km
遅くなって申し訳ありません。
リアルが死にそうな程忙しかったのと、PCの調子があまり良く無く買い替えの資金を貯めていたら遅くなってしまいました。
おかしい。
そう思い始めたのは泥人形と戦い始めてからそれなりに時間が経った時だった。
岩山を登り泥人形との戦闘開始まではかなり順調だった筈だ。
何せ少なく無い敵の集団と戦いながら登ったのにも関わらず山頂に着いた時にはHPの消費はなくMPの消費も2割程度に抑えられていた。
更に<レーゲンフェール>の降雨では泥人形が反応しなかったので、此方が先制攻撃出来戦いを有利に進められると思っていた。
だがそんな事はなく、これまでにない程の苦戦を強いられる事になった。
その原因となった直径5m程の泥沼を睨みつける。
雨による無数の波紋が浮かんだ泥沼は一見すると何の変哲も無い泥沼のようだ。
暫くの間何も起こらない泥沼を睨み続けると、視界の端に不自然な漣が立つのを捉えた。
俺は急いで漣が立った方を向くと、目の前には泥の拳が迫っていた。
それを不恰好に地面を転がりながら避けると追撃を警戒して飛び起きる。
追撃は泥沼の中央から泥の腕が伸びたかと思うと此方に向かって振り下ろしてきた。
急いで左方向へ飛び込むことで難なく避けることが出来たが、強く地面に叩きつけられた腕による振動でまた体勢が崩れて膝をついてしまう。
そこを狙い澄ましたように泥の腕による薙ぎ払いが迫ってくる。
立ち上がる時間が無かったので、膝立ちの体勢から無理やり飛び上がり何とか薙ぎ払いを避ける。
そして着地の勢いのまま地面を転がり泥沼から距離を取る。
追撃が来ないことを確認してから少し息を吐く。
本当誰だよ、降雨で有利になるとか言ったやつ。
絶対に難易度上がってるよ。
弱点が見つからない事よりも攻撃の出だしが見付けにくくなったのがかなり堪えるよ。
しかも泥人形の時とは違って向きの概念が無くなったのか何処にいても迷わずに攻撃が飛んでくるし。
これは一旦降雨を止めた方が楽かもしれんね。
そうと決まればさっさと止めてしまおうか。
「<シェーネスウェッター>」
発動した魔法は<レーゲンフェール>とは違い、オレンジ色をした魔力の球が空へと向かって飛んでいく。
未見の魔法なので、このまま魔法の効果が発現するまで観察をしていたいのだが、よそ見をしているのに気が付いた泥人形が嫌でも戦闘に集中させる。
両腕を左右から半円を描くようにして振り回してくるプレス攻撃。
ご丁寧にも腕の高さは地面ギリギリで掌は限界まで開かれており今までよりも避け辛い形のでの攻撃になっている。
唸りを上げて左右から向かってくる攻撃に後方へ大きく飛び込む事で何とか回避する。
なんと言うか段々と避けにくい攻撃になってきたな。
もしかしてこのまま戦い続けていると所謂『発狂状態』とか言う状態になったりしないよな。
今でさえ辛いのにこれ以上強くなってもらっても困る。
そんな事を思っていると急に周囲が明るくなった。
どうやら<シェーネスウェッター>の効果が現れたようだ。
こうして実際に使ってみると相手の得手不得手に対応した天候を操作できるのはかなり優位な事だよな。
今回は墓穴を掘った形になってしまったが。
「さて、ここから仕切り直しだ!」
なんとなく声を張り上げてみる。
単純に天候が変わっただけであり、泥人形は未だ泥沼形態のままでどこら辺が仕切り直ったのかさっぱりだがテンションを無理やり上げなければやってられない気がしたのだ。
さて、泥沼形態が解除されるまでは頑張ってみますかね。
結果から言いますと、全然無理でした。
身体が溶ける時は動けないのに、固まる時はラッシュを仕掛けられる余裕があるってどういう事よ。
やっと泥沼が乾いてきたと思ったらいきなり地面から泥人形の両腕が生えてきて殴るは、振り回すは、叩きつけるは、最終的には両手で握り込まれる形で捕まった後、ハンマー投げの要領で振り回された挙句、前回よりも段違いの距離まで飛ばされたのだ。
まぁ、2回目の事だったので前回よりも冷静に対処出来たのは良かったな。
お陰でそれなりのダメージを負うだけで済んだ為、昼食前にはまた岩山まで戻ってくる事ができた。
取り敢えず昼食を食べながら次の作戦を考えるとするか。
昼食後、ログインしたらすぐに岩山を登り出す。
こんどこぞ泥人形の化けの皮を剥いでやる。
奇襲はダメだったし、雨で溶かすのは地雷だった。
ならどうするか、今度は正々堂々正面から殴り込む事にする。
正直に言えば俺のスキル構成は相手の攻撃範囲外からの狙撃や奇襲を主戦力としている。
だが残念な事に相手がいるのは見晴らしの良い山頂であり、奇襲を仕掛けるには最初に行ったような泥人形の後方にある崖からしかない。
しかし、得意分野の奇襲は失敗というか意味がなかったし、その後は相手の探知範囲が戦いやすい山頂全体に及んでいた為に隠れてやり過ごす事はほぼ不可能だった。
次の雨で溶かす作戦は正直に言ってやらなければ良かったと思うほどに酷かった。
まさか泥沼の状態から身体の一部を創り出し攻撃できるとは思ってもみなかった。
此方はいつ泥沼からどの様な攻撃が来るか分からないのに対し、相手は此方を完全に感知していた。
流石にあの状態では勝てる相手にも勝てなかっただろう。
得意分野が通じない相手ならなおさらだ。
得意分野である奇襲や奇策が効かないのならどうすれば良いか、正面切って戦うしかないだろう。
それに今まで使ってきたのは弓やショットやマシンガン系というどちらかといえば点の攻撃であり、貫通系の攻撃だ。
ゴーレムといえば通常、硬い、重い、馬鹿力というイメージがあるだろう。
今回は泥なので硬いとはまた違うが、貫通系の攻撃が効きにくそうではある。
泥であるからして対ゴーレム戦での常套手段の一つである物理打撃、衝撃系の攻撃はあまり効果がなさそうだ。
ならば効きそうな攻撃は?
もう一つの常套手段である魔法系の攻撃は種類に気を付ければ効果が見込めそうだ。
詳しく言えば使いやすいショットやマシンガン系では無く少々つかいにくいボールやゲイル、ラディエート系の魔法なら効きそうだ。
それに希望的観測になるが物理斬撃系も効く可能性がある。
何せ相手は泥だ。
もしかしたら切り取った部分を遠くに飛ばせればダメージに繋がるかもしれない。
こうなったら意地でも勝ってやる。
ネーム〈銀狐〉Lv.13
種族 〈エルフ〉
ジョブ〈弓使い Lv.16〉〈労働者 Lv.7〉
ステータス
HP :37/80
MP :74/74
SP :60/60
STR:18
SIZ:12
DEX:42
VIT:5
INT:13
AGI:26
MND:13
LUK:10
LP :0
スキル
〈弓術初級 Lv.3〉〈鷹の目 Lv.12〉〈木工 Lv.4〉〈簡易調理Lv.6〉〈視野探索 Lv.13〉〈隠密行動初級 Lv.2〉〈暗殺初級〉〈簡易マッピング Lv.7〉〈跳躍 Lv.10〉〈嵐属性初級 Lv.5〉〈回避 Lv.6〉〈調薬見習い Lv.1〉
武器
メイン:〈ノーマーディッシュ・ボウゲン>
├クリバー:〈イェイガー・カルヒャー〉
└アロー:〈石の矢×0〉〈黒熊の矢×1〉〈緻密な石の矢 ×5〉
〈緻密な石の矢(劣化2) ×150〉<石の棒錘矢×10>
<石の刺股矢×10>
サブ1:〈ツインクロスボウ Mk-Ⅱ〉
├クリバー:〈ボルトストッカー〉
└ボルト:〈鉄のボルト×28〉<石のボルト×50>
サブ2:〈クリス・オブ・ホーク〉
サブ3:〈鉄のダガー〉
その他:〈初心者のナイフ〉〈木の銛〉
防具
頭:〈皮の帽子〉
体:〈イェイガー・レーダーブルストン〉
腕:〈イェイガー・レーダーアルムシュッツ〉
手:〈鹿の騎射がけ〉
足:〈イェイガー・レーダーホーゼ〉
靴:〈イェイガー・レーダーシュティーフェル〉
装飾品
無し
その他
〈初心者の鍋〉〈初心者の鑢〉〈石の斧〉 〈鉄の鋸〉 〈鉄のつるはし〉 〈鉄の鑿〉 〈鉄の斧〉 〈粗悪な松明 ×3〉〈初心者の調薬セット〉〈初級グリーンポーション ×2〉〈初級ブルーポーション〉<ニガヨモギの回復薬><ニガヨモギの止血薬><ニガヨモギの胃薬>




