冒険5km
銀狐が何か作るようです。
次の日、俺は朝食を取ってからFWFにログインする。FWFの発売日は連休の前日だったため今日から5日間は休みなのだ。世間一般で言うところのゴールデンウィークだ。
そういう訳なのかは分からないが、9時頃のログインだったのにも関わらず村の中央部には結構な数のプレイヤーがいた。
正直ジロジロと見られるのは精神衛生上良くないので、さっさと西の森の方へ行くことにする。西の森に行く理由は単にゲーム内ではまだ早朝で店が開いていないからと、プレイヤーが何故か少ないからだ。店が開くまで現実の時間で1時間ほど掛かるから、森で暇つぶしがてら残りの矢の材料を探す魂胆ってわけ。他にも、昨日のMPについての検証もしたいし。
「むぅ、鏃になりそうな素材が見当たらん。」
<狩人の眼>と<発見>によって幾つかの採取ポイントで効率良く採取ができるようになっているのだが、鏃になりそうな素材が全然ないのだ。手に入れた素材は次のような感じである。
<木の枝>×10
<ニガヨモギ>×3
重量0、レア度1、品質D+
かなり苦いヨモギ。だが、苦味に薬の効能がある。
<ニガヨモギモドキ>×4
重量0、レア度1、品質D+
ニガヨモギにそっくりだが、毒がある。見分けるのは大変難しい。
<空蔦>×2
重量0、レア度1、品質D
中が空洞になっている細い蔦。見た目の割りに丈夫で、編めば丈夫で軽い網になる。
<石>×10
重量1、レア度1、品質D-
ただの石。
うん、何にも使えない石がかなり沢山手に入っている。どこの採取ポイントにもあるし、そこら辺でも手に入る。持ってる理由は、投げればウサギぐらいは追い払えるから。
ウサギを見るとつい狩ってしまいたくなるため、非常に有効なのだ。矢が少ないのに実りの少ないウサギに使えはしない。
取り敢えず、今持っている素材でお茶を濁すか。
取り敢えず、森で作業するのは危ないので村の外れまで来た。
「さて、初めの作業はなんじゃろな?」
とは言っても、レシピも何も無いんですがね。
まずは、兎の皮をお湯で煮込んでいく。いわゆる膠を作るのだ。本当の膠の作り方は生皮を50時間以上も水に漬けていないといけないが、流石にそこまでは再現していないだろうということでとりあえず長い時間煮込んでおくことにする。
皮を煮込んでいる間に、次の作業をしておく。次の作業は<木の枝>をナイフで削って行く。コレが意外と固くてなかなか削りきれない。これはSTRの値が足りてないな。
そんな事よりも、作りたい物を頭に浮かべるだけで、まだ太いとか何と無く分かる技術が凄いな!
そして、それなりに時間が掛かりつつも、何とか次の作業に移れた。
次の作業は羽を半分に切ることだ。これも本当は別のやり方があるのだろうが、今回はナイフで切っていく。このとき、内側は内側だけ、外側は外側だけで矢を作らないといけない。そのことを考えつつ切った羽根を分けていく。
とりあえず棒と羽根を量産しつつ、膠ができるのを待つ。
最終的には加工した棒は11本できたが、かなり長く矢にするには半分ぐらいにしないといけないため、最終的には22本できる。羽は石打を含めて28枚完成した。とりあえずこれで矢が9本、最大9本手に入る。
膠はまだ完成していないようだが、さて何をしよう。
とりあえず今は目途の立っていない鏃を何にするか考えるか。
とりあえず、一番は昔から使われていた石だ。
正直、ジョブにも職業にも石工系の物がなかったから加工ができるかかなり怪しい。
とりあえず石器を作るため、石を二つ取り出し力いっぱい打ち付けてみる。
き、傷一つつかない。
もしかして鑿がないとだめなのか。
あきらめきれないので、打ち続けてみる。
うん?
黙々と打ち続けて気が付いたのだが、微妙に形が変わってる?
最初はもっと丸かったような。
この疑問を解消するため、いったんスクリーンショットを取ってからまた形が変わったと感じるまで打ち続けるか。
うん、やっぱり形が変わってるな。スクリーンショットを確認しているから間違いない。
どうやら、砕けたりするエフェクトがないだけで、石の加工はできるようだ。
変化が少ないのはSTRが足りない所為かもしれない。
もしかしたら何らかの特殊な条件をクリアすることで手に入るスキルやジョブがあるかもしれない。
それにしても、生産系でもSTRが必要だとか聞いてないよ。はぁ、次のレベルアップがいつになるのかわからないけど、次はSTRを中心にあげようと誓う。
とりあえず完成したのがこれだ。
<石の鏃>
重量0、レア度2、品質D+
銀狐作の石製の鏃。このままの状態では武器として使えない。
うん、失敗はしなかったけど結構時間がかかった。
矢の量産には時間がかかりそうだ。
鏃を作っている間に膠ができたようだ。
単純に煮るだけだったためか、茶色い色が強く出て、匂いも強い。
今度作るときはしっかりと余分なものを取り出しながら作ろう。
できた膠がこれだ。
<低品質の膠>
重量3、レア度1、品質D
銀狐作の膠。不純物が多い膠。一応接着はできる。
重量が重いのは鍋のせいだろう。たぶん。
ああ、鍋も新調しないといけないな。あれ高いんだよな。
まぁ、そんなことよりも矢の作成を続けないと。
最後の工程して、作った素材を組み合わせる作業をやっていく。
初めは棒に羽をつけないとな。
はじめにくっつけるのは、外側だ。最初につけた羽から120°ずつ傾けながら膠で接着していく。
三つの羽の位置が決まったら、<空蔓>をさらに細く裂いた紐で固定していく。
膠が固まるまでもう一つ鏃を作ろう。
膠が固まったので、紐をはずして付いているか確認する。
しっかりとくっついているようなので、少しだけ出しておいた羽の軸の部分に膠をつけた紐を巻いていく。これをやることで丈夫さが変わってくるはずだ。
これまた固まるまでさっきの続きをやる。
固まったのを確認したので最後の作業である、鏃をくっつけよう。
棒の先端を二股に分けて、鏃の後ろ側を差し込む。
膠を流し込んだ後、膠を浸した紐でしっかりと巻きつける。ここが一番丈夫になるようにしないとな。
これまた膠が固まるまで鏃の製作作業に戻る。
完全に固まったので矢の完成だ。
ついでに鏃もできた。さっきよりも製作速度があがったみたいだ。
できたのがこれ
〈石の矢〉
重量0、レア度1、品質C-
飛距離+10%、威力+5%
銀狐作の矢。石の鏃を利用しているため飛距離に優れる。
どうやらなかなか良い矢ができたようだ。
しかも鏃で効果が変わるのが良い。
もっと量産するため、がんばって石を削っていこう。
ネーム〈銀狐〉
種族 〈エルフ〉
ジョブ〈弓使い Lv.2〉
ステータス
HP :40/62
MP :21/70
SP :20/32
STR:10
SIZ:7
DEX:20
VIT:7
INT:11
AGI:14
MND:12
LUK:6
LP :0
スキル
〈弓入門 Lv.3〉〈狩人の眼 Lv.4〉〈木工見習い〉〈簡易調理〉〈水属性入門Lv.1〉〈発見〉
武器
メイン:<初心者の弓><初心者の矢×3>
サブ :<初心者のナイフ>
防具
頭:<無し>
体:<初心者の革鎧>
腕:<初心者のレザーアームガード>
手:<無し>
足:<初心者のレザーグリーブ>
靴:<初心者の革靴>
装飾品
無し
その他
〈初心者の鍋〉〈初心者の鑢〉〈初心者のグリーンポーション〉